シルヴィア・アサー著、新潮社刊
以前、同名の映画を観ましたが、本書はその原作です。しかし、映画とは大分異なっており、同一人物を描いた別な作品と考えた方が良いと思います。(まぁ、映画はとても良かったのですが)
世の中には、こんな天才が居るのかという見本のような存在が、本書の主人公ジョン・フォーブス・ナッシュ・ジュニアです。しかも、徹底的に性格が悪い。いわゆる社会的知性の面では、どうしようもないろくでなしです。しかしながら、圧倒的な天才振りに、周囲が圧倒されてしまう。そして、20代には、後にノーベル経済学賞の受賞の理由となるゲーム理論の論文をまとめ上げています。あたかも、軽自動車にロケットエンジンを載せて、全出力で突っ走るような感じの生き方でした。
私生活では、多くの面で異常な性格を反映した過ちを犯します。そして、美貌の妻を迎え入れ、輝かしい学者生活を送るかに見えた30代の始めに精神分裂症が発症し、後の数十年間は苦渋に満ちた牢獄のような時代を経験します。しかし、そうした中にあってもナッシュの天才を救おうと考える人々がいました。天才が人類の宝である、という考え方は、同じような天才や、天才を理解出来る程天才に近い人々なのだろうと思いました。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/ジョン・ナッシュ
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本書の優れている点は、ナッシュの人生を、大まかに紹介してから、エポックごとに分けて、その時代にナッシュ自身や周囲の状況を精密かつ順序立てて紹介している点です。膨大な取材や整理を感じさせる精密な描写に満ちており、流し読み出来る内容ではありません。若き日の鼻持ちならない言動、画期的な業績、発症、回復など、その時々の状況や周辺の人々の感情や行動などが語られています。そこにはナッシュへの好悪を越えた敬意が感じられる好書でした。
評価は5です。
以前、同名の映画を観ましたが、本書はその原作です。しかし、映画とは大分異なっており、同一人物を描いた別な作品と考えた方が良いと思います。(まぁ、映画はとても良かったのですが)
世の中には、こんな天才が居るのかという見本のような存在が、本書の主人公ジョン・フォーブス・ナッシュ・ジュニアです。しかも、徹底的に性格が悪い。いわゆる社会的知性の面では、どうしようもないろくでなしです。しかしながら、圧倒的な天才振りに、周囲が圧倒されてしまう。そして、20代には、後にノーベル経済学賞の受賞の理由となるゲーム理論の論文をまとめ上げています。あたかも、軽自動車にロケットエンジンを載せて、全出力で突っ走るような感じの生き方でした。
私生活では、多くの面で異常な性格を反映した過ちを犯します。そして、美貌の妻を迎え入れ、輝かしい学者生活を送るかに見えた30代の始めに精神分裂症が発症し、後の数十年間は苦渋に満ちた牢獄のような時代を経験します。しかし、そうした中にあってもナッシュの天才を救おうと考える人々がいました。天才が人類の宝である、という考え方は、同じような天才や、天才を理解出来る程天才に近い人々なのだろうと思いました。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/ジョン・ナッシュ
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本書の優れている点は、ナッシュの人生を、大まかに紹介してから、エポックごとに分けて、その時代にナッシュ自身や周囲の状況を精密かつ順序立てて紹介している点です。膨大な取材や整理を感じさせる精密な描写に満ちており、流し読み出来る内容ではありません。若き日の鼻持ちならない言動、画期的な業績、発症、回復など、その時々の状況や周辺の人々の感情や行動などが語られています。そこにはナッシュへの好悪を越えた敬意が感じられる好書でした。
評価は5です。
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