山本桂子著、講談社刊
江戸時代以降の日本での化粧の歴史を辿った本です。
装うことの是非ではなく、社会経済状況を反映した面が大きい化粧方法と技術及び製品、そして、その狙いを、当時の文献から引用しながら分かり易く紹介しています。
私が社会に出てから、化粧や服装が派手になったバブル期以降が記憶に残っていますが、本書を読んでいる内に、それ以前の思春期頃の流行も思い出しました。
著者は私よりも6歳年下ですから、著者が見聞きしたことは大まかにもぼんやりと私も見聞きしていたので、思い出しながら読みました。
私は「他人が不快に感じたり奇異に感じない程度」の服装や身だしなみで生きて来たので、おしゃれにほとんど関心がありません。
ましてや、その大きな要素である化粧について知識は殆どありませんが、男女ともに、おしゃれをした人は素敵だなぁ、とか、格好良いなぁとう印象は持っています。
本書を読むと、何となく持っていた時代の印象が、かなり違っていることが分かりました。
また、江戸期から文明開化を経て変遷してきた、日本の化粧の様相が、他の分野と同様、敗戦後に一変し、永らく西洋コンプレックスから抜け出られなかったことが、本書では、文献などの資料で丹念に跡付けています。
更に、時代の雰囲気を分析した上で、それが何故、どのように化粧に影響したのかも論じられています。
タイトルから受ける印象とかなり異なる内容の良書と思います。
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○山本桂子
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評価は4です。
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