夢幻泡影

「ゆめの世にかつもどろみて夢をまたかたるも夢よそれがまにまに」

春曉 孟浩然

2007年04月19日 09時15分50秒 |  漢詩を長崎弁で
春眠不覺曉
處處聞啼鳥
夜來風雨聲
花落知多少
  春曉 孟浩然


春眠曉を覺えず
處處啼鳥を聞く
夜來風雨の聲
花落つること知りぬ多少ぞ

今日は 孟さんたい。
と、言っても、「春眠暁を覚えず」ちゃ子供でもしっちょる詩やけん、ボクちゃんバージョンのパロディだけつけとくけん、心してお読みあそばせ。


死ぬまで目が覚めんと思うくらい春は眠たか
うるさか鳥の声で半分目が覚めた
そういえば、昨夜は風と雨がひどかった
入口の八重桜はもう散ってしまったやろか


半覚半睡 春おぼろ
鳥も鳴きかう夢の中
春の嵐の過ぎた朝
花の行方が気にかかる
       風車
        (大統領! 天才!!)


     

經下邳圯橋懷張子房   李白  長崎市長に

2007年04月18日 23時08分34秒 |  漢詩を長崎弁で
今日は李白先生の經下邳圯橋懷張子房(下邳(かひ)の圯橋(いきょう)を経て張子房(ちょうしぼう)を懐う)たい。

ほんとうはもっと長か詩ばってん、最期のところだけやるけんね。


我來圯橋上
懷古欽英風
唯見碧流水
曾無黄石公
歎息此人去
蕭條徐泗空

我 圯橋(いきょう)の上に来たり
古を懐いて 英風を欽(した)う
ただ見る 碧流(へきりゅう)の水
かつて黄石公(こうせきこう)なし
歎息す この人去りて
蕭条(しょうじょう)として 徐泗(じょし)空しきを

ちょっと背景ば説明しといてやるね。
張良が徐泗の圯橋を渡っていたら、変な爺さんが難癖つけてきたっちゃ。張良は我慢して爺さんの言うことを聞いてやったら本ばくれて、こいを読めば軍師になれるちゅうたらしか。そん爺さんの名前が黄石公って言うんじゃ。張良はそん本ば勉強して漢の高祖の軍師にまで登りつめたげな。

李白さんがこの橋にきて、川の流れを見ながら、あん爺さんがおらんけん、ただでさえ寂しかこん町がもっと空しかね~っていいよっとよ。

楽しかるべきこの町も、君なき今は空しく、寂し
               風車

       冥福を




公子行  劉廷芝

2007年04月12日 01時50分46秒 |  漢詩を長崎弁で
さっき久しぶりで漢詩を長崎弁で訳していたら、何となく疼いてきて、もっとやりたくなってきた。「公子行」(劉廷芝)の前半部分。ここまでが男のパートじゃもんね。


公子行
   劉廷芝(劉希夷)
天津橋下陽春水
天津橋上繁華子
馬聲廻合青雲外
人影搖動波裏
波蕩漾玉爲砂
青雲離披錦作霞
可憐楊柳傷心樹
可憐桃李斷腸花
此日遨遊邀美女
此時歌舞入娼家

                       
天津橋下 陽春の水
天津橋上 繁華の子
馬聲廻合す 青雲の外
人影搖動す 波の裏
波蕩漾(たうやう)として 玉を砂と爲し
青雲離披(りひ)として 錦を霞と作す
憐む可し 楊柳傷心の樹
憐む可し 桃李斷腸の花
此の日 遨遊して 美女を邀(むか)へ
此の時 歌舞して 娼家に入る

橋の下には春の水が流れ
橋の上には貴公子の姿
馬のいななきは天まで届き
緑の波に人の影が揺れる
緑の波はゆらゆら、川辺の砂は宝石のように輝いている
青雲は広がり霞は錦のよう
柳の新緑は春の思いを揺さぶる
春の花は心を動かす
たまらんばい。姉ちゃんを探して
姉ちゃんと歌い踊りに繰り出そう



昔は良かったね~
今じゃそんな元気はなかとばい~ (泣)

田家春望   高適 

2007年04月12日 00時56分53秒 |  漢詩を長崎弁で
さっき、Mixiで李白の詩を引用されたので、お返しに私の現状として、これを返しました。


田家春望           
    高適 


出門何所見
春色滿平蕪
可歎無知己
高陽一酒徒

田家の春望    
門を出でて何の見る所ぞ
春色平蕪に滿つ
歎ず可し知己無きを
高陽の一酒徒


門を出たら何が見ゆる?
あたり一面春の色
この辺じゃわしんことをしっちょるもんはだ~れもおらん
ただの高陽の酒飲みたい

ボクちゃん親切
高陽、、、ある軍師が高祖に会いに行ったと、そしたら取次ぎの人が儒者には会わんと言ったとよ。それで「わしは高陽の酒飲みたい」って言ったそうな。

私の理想の終の棲家  香炉峰下 新卜山居 白居易

2007年03月25日 23時00分23秒 |  漢詩を長崎弁で
23日の日記のレスにお答えして、多摩川の河川敷には私の理想とする終の棲家があるって書いていました。
ここにその写真をアップしておきます。

傍には、20数階の高層マンションが立ち並び、一番近いマンションには居住者専用の温泉やプール、ジムまで付いている。



でもそのマンションに住むのと、このブルーシートのうちに住むのを比べれば私はこちらをとるかもしれない。

屋根や壁こそブルーシートですけど、、
上の写真は テレビアンテナがついていますね。
入り口に花台が置かれ鉢植えの花が咲いている。その右には川風を受けて食事ができるような食卓がすえつけられている。


居間から糸をたらしておけば、朝の食事の川魚は獲れるし、
前の川には夕食用の鴨が葱を背負って泳いでいる。

ダイコン花は咲き誇り、おひたしにも、ダイコン料理にもとり放題。


それよりなにより、心豊かにしてくれるもの、それは川岸には梅、桃、海棠、桜、、、時期時期の花が咲き乱れているし、
今は金色の柳の枝をベッドから眺められる。



これが理想の終の棲家でなくてなんでしょう、、、


香炉峰下 新卜山居
    白居易

日高睡足猶慵起     
小閣重衾不怕寒
遺愛寺鐘欹枕聴     
香炉峰雪撥簾看
  、、、、、、

日高く睡り足りて猶ほ起くるに慵(ものう)し
小閣に衾を重ねて寒を怕れず
遺愛寺の鐘は枕を欹てて聴き
香炉峰の雪は簾を撥げて看る


  眠っても、眠っても、けだるか春の日
  寒さは忍び込む、ばってん布団の中はぬくぬく
  寝っころがったままで本門寺の鐘を聞き
  窓をちょっと開けて雪山の景色を堪能する

随分前の写真ですけど、ここからの夕陽の眺め



劉希夷   白頭吟

2007年03月16日 12時59分57秒 |  漢詩を長崎弁で
洛陽城東桃李花
飛來飛去落誰家
洛陽女兒惜顏色
行逢落花長歎息
今年花落顏色改
明年花開復誰在
。。。。
  白頭吟   (代悲白頭翁)
 劉希夷



洛陽城東 桃李の花
飛び來り飛び去りて 誰が家にか落つ
洛陽 女兒  顏色を惜しみ
行(ゆくゆ)く 落花に逢ひて長歎息す
今年 花落ちて 顏色改まり
明年 花開きて 復た誰か在る
。。。。


都の外れの桃の花
風に吹かれてひらひらと
女の子たちもぐずぐずしとるうちに
時節はどんどんと過ぎていってしまう
今年の花は終わってしまったけど
来年は花の咲くときには誰が残っとるじゃろうか


レトルト食品様々  桃花笑春風

2007年03月09日 20時08分45秒 |  漢詩を長崎弁で
昨日の外出の折、レトルト食品を買い込んできた。
これが大当たり、昨日からの風邪っぽいのが大分進んできているようだ。
近所のコンビニや弁当屋に走って食べ物を買っても10分はかかる。
レトルトなら5分でOK。外に出る必要もない。

いつも、あちこちに買い置きを置いてはいるけど、今日ほどそれがありがたかったことはない。

まあ、食欲があるだけ、まだ元気なんだろうけど、、、

トップは昨日の写真だけど、許されて、、



そして、今日のお軸

桃花笑春風
       崔護

  去年今日此門中
  人面桃花相映紅
  人面不知何處去
  桃花依舊笑春風
     
  去年の今日この門の中では
  人が桃の花のように赤くなっていた
  人はどこへ消えて行ったか知らない
  桃の花は以前と同じように春風に笑っている

  去年の今頃、こん家ん中では
  みんな集まってドンちゃん騒ぎ
  桃も人もまっかっかやったと
  そん時の人はどこへ行ってしまったとやろか
  桃ん花は前と同じように咲き誇っとるというのに

当然ボクちゃん家のお軸はちょっと違う

桃花泣風邪

陌頭楊柳枝 己被春風吹  子夜春歌 郭震

2007年03月04日 18時07分32秒 |  漢詩を長崎弁で
陌頭楊柳枝
己被春風吹
妾心正断絶
君懐那得知
  子夜春歌 
  郭震

陌頭(はくとう)楊柳の枝
すでに春風に吹かれたり
妾が心 正に断絶するも
君が懐(おも)いは那(いか)んぞ知る得ん

道路の柳の枝
もう春風に吹かれている
私の心は千切れそうなのに
貴方の思いをしる術もない


****
柳は春風に吹かれて
あたりは陽気な春一色
でも貴方の心がわからない
私の心はちりじりに張り裂けそう
  今回は余り長崎弁じゃなかったですね~




白楽天先生じゃないけど、最近柳にこっています。
昨日のSundayWalkの植物編のトップも柳でしたし、もちろんその前の白楽天の詩を使った日記にも、その前の日記にも柳を使っています
実はこれらの写真は全部同じ柳の木なんですけど、柳の新芽、春らしく光を増した陽光のもとで、輝いています。冬は終わったって開放感が心の隅まで広がっていきます。

でも、そとが命の息吹に満ちれば満ちるほど、この時期に別れや、相手の心がつかめない恋人たちには辛い風景なのでしょうか。







野には花が満ちているのに?



白居易  楊柳枝 其三

2007年02月19日 22時40分14秒 |  漢詩を長崎弁で
多摩川の散歩道にある5,6本の柳が緑の色をつけだしました。
鴨はいなくなるけど、そろそろ白楽天先生をお呼びして、お話でもお聞きしましょうか。


依依嫋嫋復青青
勾引清風無限情
白雪花繁空撲地
絲條弱不勝鶯
   楊柳枝 其三
   白居易

依依 嫋嫋(でうでう)  復(ま)た 青青
勾引す  清風 無限の情
白雪の花 繁くして  空しく地を撲(う)ち
絲 條(えだ)) 弱くして  鶯に 勝てず

しなやかで、そして青々としている
思いを込めた清風を引き寄せている
白雪に似た花は虚しく地を覆い
その弱い枝は鶯さえ止まれない


そしてそして、忌み嫌われている長崎弁の訳

なよなよとしたしなやかさ、そして青々とした枝
風も思いを込めてひきつけられるっちゃ
雪んごたっつ花は地面を覆いつくすほど
鶯さえ、そん枝には止まれんとじゃ


白楽天にはこのほか、お茶をやる方にはお馴染みの;
春風春水一時來で終る有名な府西池があります。

早発交崖山還太室作  崔曙

2007年01月29日 23時21分27秒 |  漢詩を長崎弁で
今年は2月2日が12月15日にあたりますね。



東林気微白
寒鳥忽高翔
吾亦自茲去
北山帰草堂
杪冬正三五
日月遥相望
粛粛過潁上
朧朧辨夕陽
川冰生積雪
野火出枯桑
独往路難盡
窮陰人易傷
傷此無衣客
如何蒙雪霜

  早発交崖山還太室作
  崔曙


東林 気 微かに白く
寒鳥 忽(たちまち)高翔す
吾も亦 自茲(ここ)より去り
北山 草堂に帰らん
杪冬 正に三五
日月 遥かに相い望む
粛粛として潁上をよぎれば
朧朧として夕陽を弁ず
川冰(せんぴょう)は積雪より生じ
野火は枯桑より出ず
独往 路 盡(つ)き難く
窮陰 人 傷み易し
傷むらくは此の無衣の客
如何(いかんぞ)雪霜を蒙らん

東の林が白んできた
冬の鳥が空高く飛び立つ
わしもこっから出て
北山の草堂に帰ろう
時は、12月15日
太陽と月が相対する満月たい
馬を急がせて潁河に来れば
夕陽が沈むのが見られるじゃろ
雪が降って河の氷となって
枯れた桑はそこここの鬼火になっとる
一人旅はなかなかはかどらん
陰鬱な気は人の気持を暗くする
冬着も持たんわしは
雪や霜をどう防げばよかろうか