夢幻泡影

「ゆめの世にかつもどろみて夢をまたかたるも夢よそれがまにまに」

タンブッコ アンサンブルと 勝浦市芸術文化交流センター

2017年11月06日 00時43分14秒 | 芸術・文化


昨日のブログにアップしておりましたように、昨日は勝浦までパーカッションの演奏会を聞きにまいりました。
演奏会なんて、もう何年ぶりでしょう。企画していたころだって、切符を買ったり、貰ったりしていくことはあまりありませんで、たいがい楽屋裏か通路の後ろでへばりついて聞いているのが普通でしたので。
ご招待いただいたOさん、ありがとうございました。

所要があって、インターミッションまでしか聞けませんでしたが、タンブッコ。パーカッションのグループと言う触れ込みでしたので、太鼓系のアンサンブルかって早合点しておりましたが、マリンバ中心のプログラムでした。
私のような痴呆がかかった年寄りに、現代曲なんか理解できるだろうかなんて危惧しておりましたが、尖った現代曲ではなく、私にも分かるような曲ばかりでしたので、本当に久しぶりに楽しんでまいりました。



マリンバというと、もう40年以上前。オランダの現代音楽コンクールに出たいという方がいて、何年以降に作曲された曲が必要ということで、作曲家を選んで、曲を委嘱したりするのをお手伝いしたり、たまたまコンクールの期間、オランダにおりましたので、その方と、伴奏者、そしてマリンバを小さな車に積み込んで、会場まで走り回ったことがあります。この時の曲は、その後もいろんなマリンバ奏者が演奏しておりました。コンクールの結果? あぁ、グランプリをおとりになり、その後も同じ年か、その翌年に、芸術祭で入賞されておりました。

でも、もっと大変なマリンバとの関係がそれよりもずっと前にあったんですね。、彼女の1,2世代前のマリンバ奏者。日本のトッププレイヤーでしたが、その方の演奏会に行ったとき、振り下ろした撥が私めがけて飛んできて、あれ、見てくれ以上に重くって質量があるんですよ、頭に当たっていれば、夢多き若い時代に昇天ってことになっていたかもしれませんね。今となって考えると、その方が、幸福だったでしょうか???



よく言われることで、でも、あまり本気にはできないですけど、日本人って叩く音、弾く音が好きなんだ。だから日本人には琴や三味線が好まれる。中近東で生まれたリュートみたいな楽器が、ヨーロッパではこする音、繋がる音としてバイオリンになって、日本では琵琶になって行くなんて、、、まあ、当たっているようで、ほんとかな~って疑問も残りますけど。
その意味で、マリンバも日本で盛んになったんですよね。ただこれは同類が東南アジアなんかにもあったりして、、、要するに、叩く楽器は、人類の初めてのおもちゃでしたから、どこにあってもおかしくないのですよね。単音でよければ、拍子木なんてのもそのお仲間に入るでしょうし、もっと古くなれば、雅楽にだってその手のものが存在しますよね。

タンブッコの演奏に関しては、楽しんだって以上は申しませんが。
でも、観客席を見て嬉しくなりました。高齢者、後期高齢者がほとんどなんです。むしろもっと若手にも来て欲しいなって思うくらい。
あの、オランダのコンクールの時。オランダで私は、展覧会や演奏会の梯子をしておりました。それが仕事だったもんで。
その時に、羨ましいな~と思ったのが、客層。高齢者が多く、皆、楽しんでいるんです。
あの当時、日本で現代ものの企画をすれば、大都会は別にして、他ではほとんど買い手がなかったんですね。特に高齢層には尖った現代物は絶対に受けなかった。
海外のものを持ってきて、都会で2,3回イベントを組んで、それで終わりだと、大赤字になってしまうのですよ。それが分かるので、いいな~、これ紹介したいな~ってものがあってもなかなか手が出せなかったですね。
まあ、まったくやらないってことではなかったのですけど、あるとき、地方での演奏会の後、かなり老齢のおばあさんが楽屋まで訪ねてきて、とてもよかった、楽しかったって演奏家に言ってくれたのだそうです。彼が、ものすごく喜んで私に伝えてくれました。でも、こんなの日本ではほんとうにレアなことだったんです。
日本も変わってきているのでしょうか。
でも、おいちゃんは、コンテンポラリー嫌い、分からん。だからバロックホール作れなんていまだに騒いでおりますけどね。
タンブッコにかかわっておられる私の知人、彼女はその当時から現代物を、民間の企業の中でやって来られているんです。私みたいなすぐに音を上げてしまう人間にはできないことですね~



ところで、勝浦市芸術文化交流センターのホール、キュステというのだそうです、ものすごく変わったホールに見えました。
まず、ホールのピッチがつかめないところ。もしかしたら、低めに設計されているのかな~って思いますけど。まさか、なんかの仕掛けでピッチが可変になるってことはないですよね。オランダにそんなホールがありました。ジャズをメインにしている小ホールでしたが、オランダのジャズをプロモートする機関のお偉方が鼻高々に自慢しておりました。ほんとはクラッシックのホールにこそ欲しい機能ですけどね~ ただ、実際にどんな効果があるのかは聞いたことがないので分かりません。

客席は3層になっておりました。ステージ前のもしかしたら、なにかゴニョゴニョってするとオケピットになりそうな部分。真ん中の層。そして今回は使っておりませんでした上の天井桟敷ってほどじゃありませんけど高い層。
ステージ前のピットは音が頭を超えていくでしょうから論外。サントリーホールの最前列の端。普通、こんなところの切符は買わないのですけど、タダ券をもらってオケを聞きに行きました。音はスカスカ。ボディがないのですね。それ以上に、驚いたのが、手前の楽器(チェロでしたけど)とファーストバイオリンの音がものすごくずれるんです。音速って一秒間に何メートルだったっけって計算したくらいですから。かぶりつきなんてのは、踊り子さんの胸の谷間に万札のチップを挟める以外は止めた方がいいということを学習いたしました。
天井桟敷もどうだろうって多少疑問ありの感じ。ヨーロッパの有名なコンサートホールは、あそこは値段が安いので、貧乏な学生や、本当に音楽が好きな人が集まるなんて言われていますけど、やっぱり音は悪いですよね。確かに、交わされている会話は辛辣で面白いのですけど、だって、他では、出演者の知名度で評価しているような「かっこだけ」ファンが多いので。
今回、私は真ん中の層の後ろ左隅におりましたが、けっこう音響的には難しいかな~ってホールでした。
前からの音は通るのですけど、戻ってくる音が少ない。ないわけじゃないのですね。でも少ないから、音に潤いがつく以前にもにゃもにゃになってしまいそう。
でも、真ん中の層の中央部はいいのかもしれませんね。
残響、可変になるような装置は見当たりませんでしたけど、あるのかな? 
なんとなく、高音と低音が吸われているようで、ちょっと気持ち悪い感じがしました。

演奏者にはけっこう評判がいいかもしれません。ステージに上がっていないので何とも言えませんが、後ろにあるステージ上の反射板の効果はよさそう。ただし、音の全域にわたって均一に反射しているのかどうかは疑問。
特に、バイオリンとか木管のフルートはステージ上では綺麗に聞こえそうな感じがしました。
ただし、遠鳴りするバイオリンはここではどう響くのか、興味ありって感じですね~




またまた蛇の足で、
このサイズの小ホールはどうしても必要なんですけど、民間が独自で企画をしようとすると、採算が取れないのが泣きですよね~
大昔、地方にあるこれよりももう少し小さい個人が持っているホールの企画を任せてもいいけどって話があって、仕事を止めてそっちへ移るかなんて、一瞬思ったんですけど、計算してい見ると満席になってもギャラも払えないんですよ。結局、諦めましたね。
でも、大きければいいのかっていうと、さいたまアリーナができた時、オープン企画を作ってみないって声をかけられて、、、、、これはこれでビビっちゃって終わりでした。だってキャパ45000だって!
まあ、要するに、おいちゃんは何もできないってことですね~

今日の写真は、記事とは関係なしに、、、 種種種、、、