文部科学省が高校の日本史教科書から、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に対する日本軍の強制を示す記述を削除させた教科書検定問題で、「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会の幹部ら六人が二十五日朝、三度目となる文科省への要請行動のため上京した。要請団と面談した自民党沖縄振興委員会の山崎拓委員長は「集団自決」への軍強制を示していた検定前の記述がほぼ復活すると述べた。また、岸田文雄沖縄担当相が内閣府の沖縄戦関係資料閲覧室の機能を強化する考えを示した。
山崎委員長は、県議会議長の仲里利信・県民大会実行委員長ら要請団と正午すぎに面談し、教科書会社からの訂正申請に対する文科省の対応の結果、「ほぼ検定前の記述に戻るのではないか。ただ、直接的に軍が命令したとの記述にはならないと思う」との見通しを示した。
要請団はその後、岸田文雄沖縄担当相とも面談した。岸田沖縄担当相は沖縄戦関係資料閲覧室の資料をインターネットで閲覧できるようにするなど、機能強化を図る考えを示した。
文科省は「軍の強制」を示す記述回復を求めた教科書会社からの訂正申請に対し、沖縄戦の「集団自決」について「直接的な軍命は確認できていない」などとした教科用図書検定調査審議会の指針を示し、教科書会社に「軍の強制」を薄めた記述での再訂正をさせている。
九月二十九日の県民大会では、検定意見の撤回と記述回復を求める決議がされており、県民大会実行委は教科書審議会の指針に抗議するとともに、渡海紀三朗文科相への面談を求め、「軍の強制」を示す記述の回復と検定意見の早期撤回を求める予定。
仲里委員長は「十一万六千人の意思が、文科省職員や審議会の一握りの意見で拒まれるようなことがあれば、県民一丸となり長期的に検定意見撤回と記述回復の実現に取り組むことになる」と決意を述べた。(沖縄タイムス2007年12月25日(火) 夕刊 1面 )
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新聞報道に取材記者の主観が混じりこむ以上、報じられる記事がメディアによって多少ニュアンスが異なるのは分かる。
とは言っても・・・。
>山崎拓委員長は「集団自決」への軍強制を示していた検定前の記述がほぼ復活すると述べた。
これでは、22日の次の報道とは真逆ではないか。
「強制」の記述認めず 教科書検定審 出版社が再修正(12月22日 朝刊)
それに今朝のNHKも次のように報道している。
◆教科書 5社が記述を再修正 (NHK 07/12/25)
http://www3.nhk.or.jp/news/2007/12/25/d20071224000080.html
この問題は、来年4月から高校で使われる日本史の教科書の検定で、沖縄戦で起きた集団自決に関して、日本軍の直接的な関与を表した記述が削除されたものです。これに対して沖縄県で反発が強まり、文部科学省が教科書の記述の修正を認める方針を示したことから、これに促された異例の形で集団自決について記述した6つの教科書会社すべてが、記述を修正する、訂正申請という手続きを取りました。
申請された記述は「日本軍が集団自害を強制した」などという表現で、集団自決が日本軍の命令によって起きたことをにじませる形になっています。
これに対し文部科学省の教科書検定審議会が、あらためて「住民に対する日本軍の直接的な命令を示す資料は見つかっていない」とする基本的な見解を示したうえで、5つの教科書会社に申請した記述のままでは認められないという考え方を伝え、事実上の修正を求めていたことが関係者の話で明らかになりました。これを受けて5社はいったん申請を取り下げ、再度記述を修正したということです。
修正された記述の詳しい内容は明らかになっていませんが、日本軍のかかわりを含む、住民が集団自決に至った背景を書き込んだものとみられ、審議会は今週中にも結論を出すことにしています。
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まさか沖縄から抗議団が、上京したからといって容易に文科省の判断が変わるとも思えない。
山拓が子分の渡海文科大臣にプレッシャーをかけているの分かっていたが、日本の文科省が山拓の策謀で左右されるように堕落しきっているとも思えない。検定問題、訂正勧告を要求 自民・山崎氏が文科相に (9/29 )
だとしたら福田首相が来るべき衆院選に向けてマスコミに媚びる作戦に出たのか。
それとも「薬害肝炎問題」で「政治決断」をしたのがマスコミ受けしたため、調子に乗って、
「政治決断」の名の下に「政治介入」をしたのか。
新報報道によると、いずれにせよ福田首相が27日の訪中前の26日に出すといわれる「福田談話」を発表すると言う。
軍強制記述は「回復」 自民山崎氏が示唆 (12/25 16:02)
<福田康夫首相が26日に記者団との定例会見で、検定問題に関して発言することを明らかにした。首相は沖縄戦の実相を学校教育の中で語り継ぐ必要性を強調するとみられる。>(琉球新報)
「福田談話」の内容によっては、
福田内閣は歴史教科書に「政治介入」をした最悪の内閣として後世にその悪名を残すことになる。
「教科書問題」のような取材記者の恣意的要素が入りやすい問題では、最後の刷り上った教科書を見るまでは分からないが、
敢て推測すると「日本軍の命令、強制」といった表現は避けながらも、
「工夫と努力と知恵」(10月1日の町村官房長官)を駆使して、
文脈では「命令」或いは「強制」を臭わして、
「首相談話」で「命令、強制の文言は記載してなくとも、日本軍の関与なしにはありえなかったので、教室ではそのように語り継いで欲しい」・・・・。
うーん、これでは最悪だ。
冒頭のタイムス、そして新報記事もいずれも山崎拓氏を取材したものなので、どれだけ信憑性があるのやら。
それに「軍命、強制」を教科書に記述したい地元二紙の恣意的報道で一喜一憂するのも愚かだが・・・。
とにかく教科書の現物を見るまで気は抜けない。
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