狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

映画「靖国」自民議員が出演者聴取

2008-04-10 16:09:45 | 県知事選

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自民議員が出演者聴取 介入と監督反発
2008/04/10  琉球新報
 映画「靖国 YASUKUNI」の中心的出演者で刀匠の刈谷直治さん(90)夫妻=高知県在住=から有村治子参院議員(自民、比例)が事情を聴き「刈谷さんらは出演シーンの削除を希望している」と主張していることが分かった。李纓監督(44)は9日、共同通信のインタビューで「出演を納得してくれていた夫妻を変心させた。許せない介入だ」と訴えた。

 映画は「靖国刀」を作り続ける刈谷さんの姿と靖国神社をめぐる動きを描いたドキュメンタリーで、上映中止が相次いだ。シーンの削除になれば作品の成立自体を左右しそうだ。

 有村議員は9日夜「(監督の主張を)刈谷さんに電話で確かめたが、わたしの話で気持ちが変わったことはないということだった。監督の話は事実無根だ」と反論した。 有村議員によると、「刈谷さんが困惑している」との情報があったため、3月25日、刈谷さん夫妻と電話で話し、削除希望を聞いたという。
 これに対し李監督は「(削除希望は)信じられない。どうして政治家がそこまで介入するのか」と反発している。 (略)

刈屋さんの妻(83)は共同通信の取材に「思っているものと全然違うないようだったので、見るのを途中やめて『私は嫌です』と伝えた。 騒ぎになったら嫌だと心配している」と話した。 有村議員による「靖国」出演者への事情聴取に、李監督は「上映中止より恐ろしい問題」と危機感を募らせ、急きょ中国から東京へ戻り9日、取材に応じた。(琉球新報) 

                                              ◇

念のため上記記事の社会面トップの見出しを記しておく。

映画「靖国」  自民党議員が出演者聴取

シーン削除希望と主張

介入と監督反発

 

記事は共同配信のようだが、見出しでは又しても新報の印象操作。

自民党議員が「シーン削除を主張」しているような印象を与えるが、実際は約束違いで映画に上手く利用された刈屋さん自身が「シーン削除を希望」しているのだ。

刈谷さんの刀鍛冶の仕事場も映画では靖国神社の屋内に在るように誤解される作りだという。

李監督の映画に利用されたと訴えていたのを有村議員が知り事情を聞いたというから国会議員として何の問題もない。

それを「上映中止より恐ろしい問題」、・・と針小棒大に報じる琉球新報こそ「恐ろしい誤解を招く」報道ではないのか。

新報が報じる「真実」より読者のコメントの方が真実を表わしている。

 

靖国 (●Takashi)
2008-04-09 07:59:02

この映画に協力したフォトジャーナリスト、トム岸田氏へのインタビューがチャンネル桜で放送されました。

「刀匠の伝統についてのドキュメンタリーを作りたい」との申し出を受けられ、映画「靖国」製作側へ靖国刀刀匠の刈谷直治氏をご紹介なさったそうです。
岸田氏によると、刀匠の伝統についてのドキュメンタリーではなく、とても不愉快な内容だったそうです。
それで、協力者側が上映を取りやめてほしいと要請したそうです。
監督の中国人と話をしても、持論を唱えるばかりで、話にならないそうです。

新聞が伝えない映画「靖国」の真相

【動画】でどうぞ。

 http://www.youtube.com/v/QLj8wZ8a3J0&hl=en

http://www.youtube.com/v/zXw4ElVQCyI&hl=en

日本の伝統技術のドキュメンタリー映画作るといって素朴な老職人を騙して自分の政治思想表現のために利用した卑劣な中国人監督・・・これがことの真相でしょう。

これは「表現の自由」とか「言論弾圧」以前の人間の品性の問題、・・・いや、年寄りを
騙したという点から言えば犯罪行為とも言える行為ですよ、新報さん。

                    ◇

以下はぼやきくっくりさんから引用です。


「靖国」上映中止―表現の自由が危うい(朝日社説4/2)

 稲田氏は「私たちの行動が表現の自由に対する制限でないことを明らかにするためにも、上映を中止していただきたくない」との談話を出した。それが本気ならば、上映を広く呼びかけて支えるなど具体的な行動を起こしたらどうか。


 子供のような言い分で、思わず笑ってしまいました(^_^;

話題の映画「靖国 YASUKUNI」。
 私は見ていないので断定はできませんが、これまで情報を集めたところでは、公的な助成金(もちろん私たちの血税)を投入するにふさわしい作品とは言えないようです。
 

 まず、政治的中立性が疑われます。主要登場人物3人のうち、菅原龍憲氏および高金素梅氏(台湾人)は靖国訴訟の原告

 もう1人の刈谷直治さんは、何とこの映画のキャストになることをご存知なかったそうです。そして今もキャストになることを了承しておられません。

 阿比留瑠比さんのブログにそのへんの事実関係が詳しく書かれてあります。
 3月27日の参院内閣委員会での自民党の有村治子氏の質問です。

前編・映画「靖国」上映中止と参院内閣委での有村議員の質問
前編・映画「靖国」上映中止と参院内閣委での有村議員の質問

 以下、「後編」から引用します。

 映画の中でもっとも多くの時間を割かれ登場される刈谷直治さんは、靖国刀を造っていた現役最後の刀匠でございまして、現在90歳のご高齢です。「美術品として純粋に靖国刀匠、匠のドキュメンタリーを撮りたい」という若い中国人の青年の申し出に、刀をつくる自らの映像を撮影することは承諾され、「これが私の現役最後の仕事になるなあ」、と覚悟を決めて協力をされました。

 映画パンフレットによると「キャスト」というふうに刈谷さん書かれていますが、この刈谷さんは実際には本映画でキャストになることをまったく知らされておらず、このことを承諾されていないばかりか、完成品の映画を見る機会すら与えられていません。一時、進行過程での映像をご覧になって、当時政治問題化していた小泉総理の参拝映像や終戦記念日の靖国境内の政治的喧噪の映像とまぜ合わせて刈谷さんの刀をつくる映像が交錯されていることに違和感を覚え、ここからです、刈谷夫妻は不安と異論を唱えられました。すると刈谷さんの自宅に赴いた李纓監督と、助監督のナカムラさんは、「この映画には日本の助成金が出ているし、助成金を受けているというそのマークもついているから、大丈夫ですよ」と夫婦をなだめていらっしゃいます。助成金が公的お墨付きとして使われ、刈谷さん本人がキャストに仕立て上げられる、本人は嫌がっているんです。キャストに仕立て上げられることを承諾するよう、助成金のマークが入っているから大丈夫ですよ、日本政府も助成しているんですよ、という説得の材料になってしまっています。このような経過から最終作品は、刈谷氏の善意を踏みにじっており、刈谷さん夫妻はこの映画において刈谷氏の肖像が入ることをまったく承服しておらず、作品から刈谷さんの映像を一切外して欲しい、と希望をされています。これは私自身が一昨日、平成20年3月25日、刈谷さん本人と確認をとりました。

 全文読んでいただければわかりますが、他にも事実誤認(靖国神社のご神体は日本刀ではない)があったり、肖像権の問題(参拝した現役自衛官が無許可で撮影され映画に使われた)があったり、プロデューサー8人のうち7人までもが中国人だったりと、まあ、多くの問題があるわけです。

 また李纓監督の政治的喧伝意図も明らかで、それはメディアとのインタビューを見ればわかります。

 多くの戦争は自分が正しいという考えを持つ国々によって始められたもの。そして記憶というものは自分の都合の良いものだけを覚えています。これは人間の持つ根源的な問題です。靖国神社では、戦没者の全員を英雄だと思っています。しかしその「英雄」たちがアジア各国にもたらした苦痛を忘れているのです。
(2007年釜山国際映画祭 The Daily 10月11日)
映画「靖国」公式サイト

 私の映画が具体的に示しているのは菊と刀で、その二者の間の関係です。最後に問いただす最もカギとなるのは、やはり天皇の問題です。天皇の問題が解決されず、永遠に曖昧のままに過ぎ去れば、靖国神社の問題を解決することはできません。
北京週報日本語版2/29

 法的に問題があったり政治的中立性が疑われたり、そういう映画に日本の公的な助成金が拠出されていることに疑問を呈し追及するのは、国会議員として当然の行為でしょう。
 しかも稲田さんたちは助成金が投入されたことを問題にしているのであって、上映を中止にしろなんてことは言ってないわけです。
 
「引用終了」

                   ◇
 
琉球新報によると、「靖国 YASUKUNI」は那覇市牧志の桜坂劇場で7月に上映予定だという。
 
これでは言論弾圧どころかとんだ無料の前宣伝で、今まで見ようと思わなかった人まで見たくなるのでは。
 
新報さん、「言論弾圧」は幻ですよ。
 
桜坂劇場さん、是非上映して下さい。
 
きっと大入りですよ。
 
 
【おまけ】
 
◆4月2日の天声人語
 
 

【産経抄】4月3日

2008.4.3 03:18

 いやな風が吹いている。自分たちの主張にあわないものは認めない。こんな圧力に屈して、東京と大阪の映画館が、靖国神社を題材にした中国人監督の「靖国 YASUKUNI」の上映中止を決めたのは、大変残念なことだ。

 ▼上映中止の背景には、「国会議員らの動きがある」と、きのうの朝日新聞の社説はいう。自民党の稲田朋美衆院議員らが、開催を要求した試写会のことを指すらしい。しかし、稲田氏らが検証しようとしたのは、政治的に中立性が疑われる映画に対して、政府出資法人から助成金が出されたことの是非である。

 ▼社説は、稲田氏に上映中止の責任があるかのごとく、上映呼びかけの「具体的な行動」を起こすよう迫っている。筋違いも甚だしいが、この新聞の“お家芸”ともいえる。平成17年1月、当時の中川昭一経産相と安倍晋三自民党幹事長代理が、NHKの番組を改変させたと、1面で報じた記事もそうだった。

 ▼番組は、朝日の元編集委員が主催した「女性国際戦犯法廷」を扱ったものだ。昭和天皇を「強姦(ごうかん)と性奴隷制」の責任で一方的に断罪するなど、偏った内容をNHKが修正するのは当然のことと、小欄は以前にも書いた。

 ▼NHKとの泥仕合の果てに、「政治的圧力」の証拠を示さないまま幕を引き、有力政治家をやり玉に挙げた事実だけが残った。最近は、古森重隆NHK経営委員長への“風圧”を強めているようだ。「国際放送で国益重視を」。この発言のどこに、問題があるというのだろうか。

 ▼「天声人語」子は、「風に負けてはならない時がある」という。その通りだ。ただ、自分たちもまた風を起こし、それに脅威を感じる人たちがいる。自らの大きな力に無頓着にみえるのは、残念なことだ。

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「証言集」に見る新たな謎★教科書執筆者と体験者が初対面

2008-04-10 07:44:45 | ★集団自決

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記述回復へ決意新た 教科書執筆者と体験者が初対面

 高校歴史教科書執筆者の坂本昇さん=東京都=が6日、座間味島「集団自決(強制集団死)」体験者の宮城恒彦さん(74)=豊見城市=と初めて対面した。昨年9月の文部科学省による教科書検定意見の撤回を求める県民大会に力を得て訂正申請した執筆者と、その執筆者を勇気づける体験者が、「撤回」と記述回復に向け、決意を新たにした。(安里真己)
 二〇〇六年末、文科省の検定意見で記述変更に追い込まれた坂本さん。昨年九月の県民大会にも参加、十月には教科書の記述を「日本軍によって『集団自決』を強いられた」と訂正申請する、と記者発表した。それを知った宮城さんは「勇気ある行動を支援したい」と、他の体験者から聞き書きした本や関連資料、書籍、村史の写しなど、一抱えほどもある小包にぎっしり詰めて、坂本さんに送った。

 坂本さんは、ちょうど発表内容に対し「訂正申請するな」など、ファクスでの嫌がらせを受け落ち込んでいたころで、小包を受け取り力づけられたという。その後も、宮城さんから資料が届き、交流が続いている。

 坂本さんは五日、那覇市内であったシンポジウムに参加するために来県していた。「宮城さんから力をもらった。ぜひお会いしたかった」と、目を潤ませながら礼を述べた。

 宮城さんは「県民大会に参加できなかった人も含め、多くの県民や犠牲者が、坂本さんを応援していると伝えたかった」と話した。

 「宮城さんは自分自身の体験だけでなく、同じ目線でいろいろな方から体験を聞き書きしている。質も高い。感銘を受けた」と坂本さん。

 宮城さんはこの日、三月に判決が出た「集団自決」訴訟で退けられた梅澤裕元戦隊長の証言について、当時島にいた者の視点で矛盾を指摘。「体験者でなければ分からないことがある。それを、次の世代に伝えるためにも、勇気を出して教科書に書いてもらわなければ」と今後に期待した。(沖縄タイムス 2008年4月7日)

                                              ◇

>高校歴史教科書執筆者の坂本昇さん=東京都=が6日、座間味島「集団自決(強制集団死)」体験者の宮城恒彦さん(74)=豊見城市=と初めて対面した。

元高校教師から教科書問題で騒いで国立大学教授に上り詰めた高嶋伸欣氏が有名だが、同じく元高校教師の坂本昇氏が沖縄の大学教授のポストを狙っているかどうかはさて置き、彼が沖縄のマスコミではすっかり有名人になっていることは事実だ。

だが、坂本氏がマルクス史観の歴史教育者協議会のメンバーであり、サヨク思想の持ち主であることを知る人は少ない。

歴史教育者協議会(歴教協)はマルクス史観の歴史家松島栄一氏の創立したものであり、

それに日教組の社会科教師が集まったとなると、全ての歴史はマルクス史観の色眼鏡を通して判断される。

この集団は「マルクス史観」の研究団体ではあっても、まともな歴史研究団体ではない。

いや、むしろ「政治団体」といったほうがその名に相応しい。

こんなブログもある。⇒沖縄教科書問題~坂本昇氏の正体~ 

一方沖縄タイムスがドラマッチックな坂本氏との対面劇を報じる相手の宮城恒彦氏も「集団自決」問題には必ず登場する証言者であり、『潮だまりの魚たち』という著書もある作家でもある。

この点では宮城晴美氏(「母の残したもの」)や金城重明氏(『「集団自決」を心に刻んで』)とも軌を一にする。

■似たもの同士の宮城恒彦と宮城晴美■

宮城恒彦氏は、当初は自著で「軍命や強制はない」という内容で出版しておきながら、後で「言葉としての命令だけでなく、強要や誘導、目に見えない命令があった」といった苦し紛れの弁明で証言を変更した。

あげくの果てに「改定も検討」とは『母の遺したもの』が「軍命なし派」の証拠として係争中の裁判の原告側証拠となると、改訂版を出版をした宮城晴美氏のケースと全く同じパターンである。

宮城恒彦氏:
「米兵が大挙壕の近くに来て住民はパニックになり死の道を急いだが、住民のパニックも軍の強制である」

◆宮城晴美氏:
「母が言及している時間帯における梅澤隊長の命令が無かったとしても、以外の時間で梅澤さんの命令があったかも知れず、梅澤さんの責任はあると思うし、そもそも軍としての命令はあったと思う」

                     ◇

以下は『潮だまりの魚』の著者宮城恒彦氏に関するエントリーの再掲です。

 

証言集『潮だまりの魚』に見る守備隊長の実像 

ひと》沖縄戦「慰霊の日」に体験記を出す

2004年06月23日

写真

宮城恒彦さん

 沖縄戦で米軍が最初に上陸した座間味(ざまみ)島で45年3月26日に起きた「集団自決」の生き残りだ。当時は11歳。母親と姉弟で逃げ込んだ壕(ごう)の中で手榴弾(しゅりゅうだん)が爆発し、19歳の姉と担任の教師が亡くなった。

 「戦後、母が戦争を語ることはなかった。毎年3月になると、思い出したように嘆息した」。書き始めたのは、母親が他界した翌88年から。「自決」で住民173人が犠牲になった。自分だけでなく、島の人にも聞いてまとめた。

 「慰霊の日」に合わせて出してきた体験記は今年、16冊目になった。毎回、1千部以上を発行し、学校などに配っている。さらに、23日には、東京の出版社から過去の15冊をまとめた「潮だまりの魚たち~沖縄・座間味島の戦世(いくさゆー)」(クリエイティブ21)を出版する。

 元小学校長。一番苦しんだのは「日の丸・君が代」問題。惨劇を招いた戦前の教育が頭をもたげたが、個人の意見も言えず、公私のはざまで悩んだ。「自決の時、校長が合図をし、女性教師が手榴弾を投げた」。教師になったのも、あの時の体験で教育の大切さを知ったからだという。

 講演をよく頼まれるが、全部断る。10年前に一度だけ引き受けたが、「自決」の場面で胸が詰まり、しばらくの間、言葉が出なかった。

 「若い人にどう伝えるかは難しい。元気なうちはとにかく聞き書きを続けたい」

(文・大矢雅弘、写真・水野義則) 朝日新聞

http://mytown.asahi.com/okinawa/news.php?k_id=48000119999991201

                    ◇

    ■証言者は「平和教育者」■

琉球新報の「沖縄戦特集<史実封殺> 届かぬ沖縄の心④」で証言をした宮城恒彦氏。

彼はこれまで何度か朝日の記事でも紹介されている。

朝日が紹介する『潮だまりの魚たち』(2004年6月発行)は、座間味島における著者宮城恒彦ほか多数の戦争体験者の証言集である。

著者自身が集団自決」の生き残りであり、集団自決に触れられている箇所も多数ある。

だが、同書では集団自決に関する梅沢命令あるいは軍命令には、伝聞も含め、全く触れられていない。

座間味島出身で集団自決の生き残りの証言集なら、当然これまでのマスコミが報じる集団自決を命じる“悪鬼”梅沢守備隊長を期待するのだが、そのような記述は一行も無い。

    ■「潮だまりの魚」に見る“悪鬼梅沢”と梅沢隊長の落差■

それどころか、集団自決発生の前後のエピソードとして、梅沢隊長が村民の女性らに山への避難を命じた記述(163頁)や、

あるいは戦闘により重傷を負った日本兵(少尉)が他の兵に対して、村の娘たちを無事親元に送り届けるよう指示した記述(167頁)などの、

軍による集団自決命令と完全に矛盾する人間的エピソードが、いくつも証言として載録されている。

これらの記述は、従来マスコミに流布している残虐非道な「悪鬼梅沢」とは全くかけ離れた普通の青年の行動が伺える。

これも、著者が、自身を含めた体験者の証言を丁寧に確認、記録した結果なのであろう。

このように、近年著される書籍においては、緻密な調査や史実の検証により、慶良間列島における集団自決については、部隊長命令あるいは軍命令によるものとはされないのが一般なのである。

より厳格に言うならば、学術的には軍命令で集団自決したという根拠は極めて薄いということになる。 

 

    ■真実と「平和教育」の狭間

その一方、元校長の宮城氏は「平和教育」との板ばさみなのか、

「軍命令」に関しては苦しい証言をしている。

<言葉としての命令だけでなく、強要や誘導、目に見えない命令があった>

「軍が直接命令をした」と言わずに「目に見えない命令があった」、

当時11歳の少年が「直接命令する軍人の姿」は理解できても、

「目に見えない命令」という抽象的な意味を理解できたとは思えない。

結局、宮城さんは多くの証言で「軍が命令して集団自決した」とは一言も証言していない。

>「自決の時、校長が合図をし、女性教師が手榴弾を投げた」

琉球新報特集でも次のように証言している。

<1945年3月26日の朝、宮城さんの家族が隠れていた壕に、気も狂わんばかりに逃げ込んできた女性が米軍上陸の様子を生々しく伝えた。  この言葉を引き金に「集団自決」が起こった>

いずれの証言も生々しい証言ではあるが、梅沢守備隊長の命令で自決したと決め付けるには根拠が乏しい。

せいぜい「目に見えない命令」とするのが精一杯。

真実の証言とマスコミの煽動で揺れ動く心のあやが読み取れる証言だ。

宮城氏は自著の証言集中では「軍の命令や強制」という部分はないが、何故かその立場は「軍命あり派」のリーダーである。

 【再掲】終了 

                      ◆

 

■日本兵と村娘と教頭先生、・・・力関係の謎■

宮城恒彦氏は元校長だが、校長は現在でも島の有力者であり、それが戦前ともなると、当時の学校の先生は島の数少ないインテリであり戦時中は村民のリーダであったことは幾多の証言で伺い知ることが出来る。

だが現在の感覚で60数年前の、しかも島を米戦艦に取り囲まれ閉塞状態になった島での人間関係を、安易に想像するのは危険である。

例えば飲み水を巡って銃剣を持った日本兵と村の女子青年団員、そして教頭先生とが争った場合を想定してみよう。

流布する伝聞に従うと飲み水を得る「権力」を持っているのは先ず日本兵、次に村のリーダーである教頭先生そして女子青年団員と考えるのが妥当だろう。

ところが宮城恒彦氏の著した「潮だまりの魚たち」には、当時の日本兵と村の住人の力関係について驚くべき証言が記載されている。

この証言は更なる次の謎を呼んでいくが、・・・

この続きは次回へ。

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