コロナ禍の恐怖による世界奴隷化政策
コロナとインフルエンザを比較 大規模調査、隔離措置は不要?
「指定感染症2類には当たらない」
今月8日、全国知事会はオンラインで新型コロナウイルス緊急対策本部の会合を開き、帰省や夜間の会食、遠くへの外出を控えるようメッセージを出した。それを受けてか、今年のお盆は「帰省警察」が現れるなど、社会全体が一種のヒステリーのようになっている。が、そもそも我々は新型コロナをどう捉えるべきなのか。同じく感染力の強いインフルエンザと比較してみると……。
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京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授は、
「(結核やSARSと同じ)指定感染症2類相当にはまったく当たらない。5類で十分だと思います」
と言い切る。ちなみに、インフルエンザが該当する5類の感染症に対して実施できる措置は、発生動向の調査のみである。
「みなさん、新型コロナは感染力が強いと言いますが、インフルエンザは1シーズンに1千万人以上が感染することが多い。新型コロナは100分の1以下です。重症度も高齢者は高いけど、若年層ではインフルエンザより低い。陽性になった人はほとんど“普通の風邪より楽だ”と言います。テレビでは“辛かった”という声が取り上げられますが、インフルエンザも辛い人は辛い。新型コロナは高齢者や基礎疾患のある人を除けば、治る病気なのです。だから40代以下の若い人は、早くかかって集団免疫を獲得したほうがいいとも考えられる。一度かかれば二度と感染しない、というものではないけど、一度かかると次は楽です。それなのに、第2類の感染症であるばかりに、無症状や軽症でも、隔離措置がとられます。まったく必要のない隔離をして、医療崩壊の危機まで招いてしまっています」
仮にインフルエンザの感染者を隔離していたら、日本の医療はとっくに崩壊していただろう。また、このようなウイルスの実態を踏まえれば、
「“22時以降は営業を自粛してください”とかナンセンスです。“緊急事態宣言を早く出せ”というのも、まったくの認識不足。普通の生活を取り戻すことを最優先すべきです。知事を含めて政治家たちは、自粛のために“予算をつけましょう”“補助金を出しましょう”などと言いますが、それらは私たちが返していかなければいけないお金です。だからこそ歯を食いしばってでも、経済を回さなければいけません。冬にまた流行しうると考えれば、特に旅行業界やホテル業界は、いまが稼ぎ時です」
宮沢准教授はそう言って、
「経済的要因による死者は、遅れて出てきます」
と加えた。4〜6月期のGDPは、戦後最悪の年率27・8%減というなか、昨年は約2万人だった自殺者数が、今年は3万人を超えるとの予測も出ている。あとで数字が判明してからでは遅いが、そんななか全国知事会は、休業要請に実効性をもたせるための罰則規定を特措法に設けてほしい、と国に求めている。嘆かわしいかぎりである。
重症化を抑えるノウハウが蓄積
ところで、このところウイルスが「弱毒化」したのではないか、という観測もあるが、宮沢准教授は、
「そう見えなくもないですが、遺伝子配列情報などが明らかになっていないので、そうとは言い切れない」
と話す。とはいえ、いまでは医療の面で、重症化を防ぐ手立ては、確実に進歩しているのだ。東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅教授が説明する。
「高齢者が新型コロナに感染しても、重症化はある程度抑えられているという現状があります。原因としては、血栓に注意して抗血栓薬を使用する、などの知見が蓄積されてきたことが挙げられます。7月21日には治療薬として、レムデシビルに続き、デキサメタゾンというステロイド薬が追加されました。重症のアレルギー疾患やリュウマチなどに使用される抗炎症薬の一つで、呼吸器が必要なほど重症化した患者に使用すると、致死率が下がることがわかっています」
このウイルスについて、わかっていることを冷静に評価するだけでも、パニックを引き起こすほどのものではないと理解できるはずだ。また、巷のマスク警察に対しても、寺嶋教授の言葉を示しておきたい。
「いまの季節、屋外では熱中症対策を優先したほうがいい。熱中症は短時間で命にかかわり、マスクをしていると熱がこもるのでリスクが上がる。屋外では人との距離が適切に保たれていれば、マスクをする必要はありません」
命を金科玉条にしたマスク警察が、尊い命を奪う危険性もあるのである。
インフルエンザ患者はバッシングされないのに…
それでもワイドショーが毎日、日々の陽性者数を強調し、「感染拡大」と不安を煽るのを見れば、怖くなる人が多いのもわかる。そんな人は、国立病院機構仙台医療センターの西村秀一ウイルスセンター長の話に、耳を傾けてほしい。
「ちょっと計算してみればいいのです。概算で、1日300人が感染して回復に10日かかるとすれば、東京の患者数は3千人です。東京の人口を1400万人とすれば、現在、新型コロナに感染している人は4666人に1人。しかも感染者のうち、周囲に感染させるのは20%とされていて600人。すると2万人に1人で、そのうえマスクをしていれば、東京から自分たちのところに来た人が、どれほどのリスクだというのでしょう。それに、感染したとして重症化率は?ということです。毎日、感染者が200人出た、300人出た、と言っていますが、大事なのは街に患者がどれだけいるか、なのです」
そして、こう続ける。
「地域にインフルエンザの患者が出ても、バッシングは受けません。どうして新型コロナにかぎって、バッシングにつながるのか」
それについて、医師で医療経済ジャーナリストの森田洋之氏は、
「危機において寛容性がなくなると、社会的排除の方向に社会が向きがちです」
と指摘し、新型コロナの正しい怖れ方を説く。
大規模調査は必要なくなる段階に
「データがだいぶ揃い、新型コロナが日本ではそこまで危険でない可能性が、日に日に高まり、医療関係者の間でも、そういう論調が増えています。毎日“何百人感染”と報道される影響で、一般には、猛毒のウイルスというイメージが染みついていますが、その数字の意味をよく理解していない人が多いのでしょう。現実には、東京の新規陽性者が300人でも、死者は0とか1、2なのです。また感染者の半数程度は無症状で、8割程度は軽症ですむことを考えると、感染者を一人一人あぶり出すやり方には無理がある。ちなみにインフルエンザも、感染者の7割程度は症状が出ないといわれ、新型コロナ同様、無症状のまま感染させている可能性があります。しかし、社会はそれを許容してきた。新型コロナについても、そろそろそういうレベルの話にもっていくべき時期ではないでしょうか」
もう半年余り、全国の感染状況を日々、可視化している現状に対しては、
「死亡者が少ない日本においては、風邪の大規模調査をやってしまっただけ、という可能性もあると思います。2、3年後に振り返ったとき、医学界ではそういう評価になるかもしれない、と考えています。風邪やインフルエンザで亡くなる方も少なくないのに、新型コロナだけを特別視し、社会全体で怖れる必要があるのかどうか、考えなければなりません」
インフルエンザによる死者は、年間3千人を超えることが多い。インフルエンザがきっかけで、肺炎などで亡くなった人を加えると、数字はさらに跳ね上がる。ところが毎年、多くの日本人が流行期の正月に、故郷の高齢者のもとに帰省し、それを止めようという声は、寡聞にして聞かない。少し冷静になるだけで、新型コロナの怖れ方の異常さに気づくはずである。
「週刊新潮」2020年8月27日号 掲載