中国滞在中のこと。市場から宿への帰り道にある大きな交差点の角にナンを焼く40代くらいのウィグル人夫婦の屋台がある。屋台は木と鉄板の組み合わせでできており、手づくりのような感じだ。大きな木の台に丸い穴が開いており、その中が焼き釜になっている。脇に置いてある衣装ケースの中にパン生地がたくさん入っていて、旦那さんが取り出しては器用にナンの形を作って釜の中に入れていく。販売は奥さんの担当だ。
ナンといっても、ウィグルのナンはインドのナンと違って分厚くボリューム満点のパンだ。焼きたてはまだしも、冷めるとかなり固くなり、食べるのにちょっと苦労する。普通は羊の串焼きなどをおかずにしたり、スープに浸したりして食べたりする。昔、ウィグルを旅した時、土地の人らはメロン(ウリ)と一緒にウィグルナンを食べていた。やはり水分がないと食べにくいのだろう。しばらく置いておくとそれほど固くなってしまうのだ。
話を戻すと、このウィグル人のおじさん夫婦を見たのはちょうど1年ぶりだった。昨年の今頃、その日も夕方、市場の帰りにその屋台の前を通ると、このおじさん夫婦が10人くらいの警察に囲まれていた。警官の一人は、後ろの方でその様子を動画で撮影していた。ウィグルおじさん夫婦は何か尋問を受けているようだったが、その日を境におじさん夫婦を見かけることがなくなった。その後は屋台はそこに置かれたままで、ビニールがかけられて放置されていた。
そんなこんなでここ1年、そこを通るたびに、気にかかっていた。
どんな事情があったのかはわからない。中国におけるウィグル人の立場は、いろんなところで報道されているように、気の毒としか言いようがない。この国の少数民族は大なり小なり辛い思いをしているはずだし、嫌なら国を出るか、現実を受け入れて上手く生きていくしかない。
ただ、もしかしたら個人的事情だったのかもしれないし、何らかの理由で権力に抑圧されて店があけられなかったのかもしれない。けれど、また、夫婦そろって屋台が復活できたことは本当に良かったと思う。
8年ぐらい前に一度、買って食べてことがあった。その時は、焼きたてではなかったので、硬くて半分も食べられず、頑張ったが廃棄してしまった。そこで久しぶりなので今回、リベンジを果たすべく買ってみた。8年前はひとつ3元(48円)だったが、今は5元(80円)になっていた。ただ、今回も残念ながら、焼きたてではなく、作り置きのを渡されることになった。
食べてみると、やはり固かった。いや、固すぎた。さらに味が悪くなった、ように感じた。
いや、すべては私の歳のせいかもしれない。絶対、そうだ。ナンが固く感じたのは、私の歯が弱くなったせいであり、味の悪さは、単に私の味覚がおかしいのであって、間違ってもおじさんに非はないはず。
大変、心苦しいが、結局、4分の1も食べられずにナンは、再び廃棄処分となってしまった。
もう、ウィグルパンは卒業しようと思う。
まぁ、ともかくおじさん夫婦、復活おめでとう!
ナンといっても、ウィグルのナンはインドのナンと違って分厚くボリューム満点のパンだ。焼きたてはまだしも、冷めるとかなり固くなり、食べるのにちょっと苦労する。普通は羊の串焼きなどをおかずにしたり、スープに浸したりして食べたりする。昔、ウィグルを旅した時、土地の人らはメロン(ウリ)と一緒にウィグルナンを食べていた。やはり水分がないと食べにくいのだろう。しばらく置いておくとそれほど固くなってしまうのだ。
話を戻すと、このウィグル人のおじさん夫婦を見たのはちょうど1年ぶりだった。昨年の今頃、その日も夕方、市場の帰りにその屋台の前を通ると、このおじさん夫婦が10人くらいの警察に囲まれていた。警官の一人は、後ろの方でその様子を動画で撮影していた。ウィグルおじさん夫婦は何か尋問を受けているようだったが、その日を境におじさん夫婦を見かけることがなくなった。その後は屋台はそこに置かれたままで、ビニールがかけられて放置されていた。
そんなこんなでここ1年、そこを通るたびに、気にかかっていた。
どんな事情があったのかはわからない。中国におけるウィグル人の立場は、いろんなところで報道されているように、気の毒としか言いようがない。この国の少数民族は大なり小なり辛い思いをしているはずだし、嫌なら国を出るか、現実を受け入れて上手く生きていくしかない。
ただ、もしかしたら個人的事情だったのかもしれないし、何らかの理由で権力に抑圧されて店があけられなかったのかもしれない。けれど、また、夫婦そろって屋台が復活できたことは本当に良かったと思う。
8年ぐらい前に一度、買って食べてことがあった。その時は、焼きたてではなかったので、硬くて半分も食べられず、頑張ったが廃棄してしまった。そこで久しぶりなので今回、リベンジを果たすべく買ってみた。8年前はひとつ3元(48円)だったが、今は5元(80円)になっていた。ただ、今回も残念ながら、焼きたてではなく、作り置きのを渡されることになった。
食べてみると、やはり固かった。いや、固すぎた。さらに味が悪くなった、ように感じた。
いや、すべては私の歳のせいかもしれない。絶対、そうだ。ナンが固く感じたのは、私の歯が弱くなったせいであり、味の悪さは、単に私の味覚がおかしいのであって、間違ってもおじさんに非はないはず。
大変、心苦しいが、結局、4分の1も食べられずにナンは、再び廃棄処分となってしまった。
もう、ウィグルパンは卒業しようと思う。
まぁ、ともかくおじさん夫婦、復活おめでとう!