仕事仲間の栄転祝いで、普段は暖簾をくぐる事ないちょっぴり敷居の高い場所へ。
あえて座敷にすることなく、大将が眼の前でにぎっている姿を見ることができるカウンターに陣取った。白木が美しい。何が高級なのかはさて置いて、清潔感と気品は欠くべからざるものだろう。
大昔、横浜にお住まいの奥様と結婚する前、思い切り背伸びして日比谷公園を一望できる高級レストランに行った事がある。ウェイティングルームの絨毯の毛足が異様に長くて上手く歩けない程の場違いさ。我々の他は年輩のおじさまおばさまが大半で、居心地が悪かった事しか記憶にない。
まあ、そんな所を経験しておくと多少の恥は怖いものではなくなるけれど。
寿司職人の技は日本料理の華
本山葵を鮫肌で丁寧におろす
酒は銘酒 蓬莱泉とシャブリ
一貫ずつ並べられるお鮨は品の良い大きさで、もう一貫食べたいなと思わせるところが如何にもな演出。中トロのシャリが赤酢で和えてあることに感動。総てのネタに工夫が施され、手前に置かれた時には程良い味付けがされているため、醤油に浸すことがないのも感激。塩と酢橘と柚子で味付けされた烏賊(何烏賊だったか失念)にはお見事の一言。
美味しいものを鱈腹食べたいのは世の習いだろうけれど、旨い酒と美味しいお鮨を程ほどに戴く大人の余裕はこの歳になって手にすることのできる特権だ。