映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

それが好きだと言うこと 3月の頃

2016-03-29 06:36:16 | 旧作映画、TVドラマ
3月という月で連想するなら、圧倒的に「卒業」のキーワードが浮かぶのではないでしょうか。日本人の誰れもが何れかの場所から、この時季卒業して別れと旅立ちを経験しています。

3月の頃 「卒業」

アメリカの卒業式は3月じゃないらしい


ベタではありますが一番有名な映画の事を。
誰でも知っているあのラストシーン。
別れたエレンが忘れられなくて、彼女の結婚式場で名を叫ぶとエレンも彼ベンに振幅するかのように、二人は手を取りウェディングドレス姿のまま去って行く。....ロマンチックな結末。
ほとんどの人はそう認識していますよね。確かにそれまでのアメリカ映画なら、バスに乗りシートに並ぶ二人が見つめ合いキスをするところでTHE ENDのクレジットになった事でしょう。鐘の音が鳴ったり乗り合わせた人達の祝福があったりする演出もザラだったでしょう。
でも、この作品が50年経っても名作として生き残っているのは、バスに乗ったベンもエレンも決して笑ってなどいないからです。花嫁を略奪した後に起こるだろう様々な面倒を、二人は覚悟を持って想像しているのです。世の中はそんなに悠長で甘くない事をこのラスシーンは語っています。

所謂アメリカンニューシネマといわれた作品群には、バラ色のアメリカンドリームやハッピーエンドは描かれませんでした。男女のオシャレな銀行強盗は87発だったかの銃弾を浴び、フロリダの太陽に憧れた男は陽光を見る事なくドブネズミのように死に、家族のもとに帰ろうと砂埃の道を歩いた案山子に待っていたのは哀しい風景でした。それが現実なんだと、泥沼のヴェトナム戦争に倦んだアメリカ人は感じていたのでしょう。この頃のアメリカ映画は信用できるな。