映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

淵に立つ あてどころのない空虚

2016-10-08 20:35:18 | 新作映画
  久し振りに辛い気持ちで映画館を後にする。

楽しい映画じゃないことは予想してけれど、あてどころのないこの辛さはどうしたもんじゃろのう~。三人の配役は的を得ていて物語に深みと信憑性をくわえている。前半の川遊びまでは予想の範疇ではあったけれど、引き込まれていったんだ。

娘の事件から8年経って、障害者の親となった夫婦の話が後半語られる。父親は、娘を殺そうとした昔の仲間を憎みながらも過去の呪縛から逃れることが出来ないし、母親の呪縛は、その男と束の間ではあるが情を交わしたという負い目。そんな家庭に事件を起こし逃げた男の息子が現れて、物語は底の見えない淵に引き込まれてゆくのだけど、どうしてもその流れに違和感が残ってしまう。

本当の淵に立った事があるのだろうか?
監督の浅さみたいなものを感じてしまった。ラストシーンのロケーションにも問題があると思う。あんな開けた河原にある淵じゃ凄味は出ないし、飛び込む高さだってあの程度なら、郡上八幡の少年なら軽々飛び込むだろう。もう少し吟味して舞台を設定しないと、頑張って演技していた筒井真理子の熱演が活かされない。