令和の世で、つげ義春原作の映画を観ることになろうとは思いもしなかった
まだわたくしが若かった頃、つげ義春の漫画は一部のファンから神格化されていた。特にアンダーグラウンドの芝居や映画を愛する人からの熱い信頼を受けていた
わたくしも何冊か読んでみたので、そのユニークな作風は確かに中毒性がありそうだと思ったものだ
エロスとグロテスクな描写が多く、不条理で難解なストーリーは今の若者には受け付けられないだろう
だから、こんな題材をシネコンで上映する勇気何処から出てきたのか不思議だ
物語はあるようでなんだか取り留めがない。不条理な世界観は決して退屈ではなく、観客を置いてけ堀にする寸前で拾い上げるので心情に寄り添う事はできないけれど、同情に近い感情は持つことができる
演出と脚本を片山慎三がやっているから、原作がつげ義春じゃなくともある程度の察しはしていたが、重い暗さに押し潰されそうだ。ロケ地が台湾だからか湿度を感じさせ、より一層肌に纏わり付く
とても万人へお勧めできる映画とは言えないが、今年を代表する秀作だろう
時代錯誤な題材だと思うけれど、こんな作品が作られて公開される日本は文化的な多様性は担保されているんじゃないかな
成田凌は二枚目役者に落ち着かず本格的な演技派を目指しているようだ。ヒットはしないだろうけど、この作品は彼の代表作の一つになりそうだ
全然興味無かった森田剛の飄々とした存在感に驚いた。色眼鏡で見てはいけない
特筆しておきたいのは、謎めいた女給を艶めかしく演じた中村映里子だ。スレンダーな肢体を惜しげもなく晒して自分本位に生きてゆく女を格好良く演じた。今後の活動に注目したい
追伸
他の方のブログ読んでたら、この映画、あいみょんが好きなんだって
より応援したくなった