映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

夏ドラマ佳境に

2018-08-23 20:58:07 | 旧作映画、TVドラマ
夏ドラマも中盤から終盤に差し掛かるところ。
石原さとみは脱落したけれど、4本のドラマは楽しみに観ている。

「チア☆ダン」
ますますTV版ウォーターボーイズの態をなしてきた。
コーチに主人公わかばの姉(JETSの元プレーヤー)をもってきたのは意外と意表を衝いていたし、顧問が事故にあうのはやりすぎな感じがしないではないが、教頭先生を単なる悪者キャラにしない仕掛けとすればまあいいか。病院の中庭でリハビリに臨む顧問を元気付けるために踊るROCETSの面々には感動した。お約束だけど、敵対していたチアリーダー部の子たちもROCETSに合流したから、これから本格的に打倒JETSそして全米制覇に向けてスポ根化したドラマになるのだろうか。勝ち負けにこだわらなくても、若い彼女たちの躍動する肢体を見るだけで価値はあるかも。ストレートに王道を突き進む夏のドラマにして欲しい。

「義母と娘のブルース」
感心したのは病気と闘う決心をした夫をあっけなく亡くならせて、下手なお別れシーンを挟まなかったこと。題名通り描かれるべきは義母と娘であるから、この脚本と演出は褒めたい。だからこそ、娘が通夜に初めてお母さんと泣き叫ぶシーンが活きてきた。PTAとの対決後、若干辛気臭いメリハリに欠ける話があって失速気味だったけど、娘役の子役の涙にこちらも号泣状態で感動的だった。
物語は9年後の第二部に入り、娘は高校3年生という設定。
ちょっと違和感があるのが、子供時分には賢そうだった娘がアホっぽくなっていること。優秀なキャリアウーマンの義母によってこの娘も目覚めてゆく姿が描かれるのかもしれない。「未来のミライ」で主人公の男の子を演じた(声だけど)演技があまりにもお粗末で、姉との格差を感じてしまったからか、成長した娘役の上白石萌歌の大きな丸顔もいまひとつ。
終盤でありきたりな心温まる母娘物語にはして欲しくない。

「透明なゆりかご」
NHKらしい乾いたタッチがこのドラマの良いところ。医療現場のチームワークとか生き死にのドラマとかは最近秀作が多く作られているので、看護師を目指す少女の目線で捉えているところが一線を画している。前述したようにドキュメンタリーのような乾いた演出が、少女の不安定な心の動揺をうまく表している。先輩看護師役の原田美枝子と水川あさみの達者な演技が、安心して観ることができる要素でもある。
ネタ切れなのか、過去の話を絡ませたりもしているが、民放が良くやる感動をありがとう的なつくりだけはやめて欲しい。

「この世界の片隅に」
ますますスズさんを取り巻く人々への親近感が募ってゆく。現代パートで香川京子が登場した。原作(アニメ)通りに描かれるなら彼女はスズさんが広島で拾ってきた孤児のようだ。上手く繋げたなと思っている。
年表でしか太平洋戦争を知らないから、昭和20年4月の空気がそれ程重たいものではなかったことに驚いている。家族皆でお見合いを兼ねた花見に出かける。そこには美しいものを美しいと感じる人の心がある。
桜の美しさに負けていないのが二階堂ふみの艶姿だ。「ヒミズ」で中学生を演じていた頃とは同じ女優とは思えない成長振りだ。吉永小百合や新垣結衣のように年齢を経ても変わらない魅力も凄いことだけど、彼女のように変幻する女優こそ本当の女優なのかもしれない。
戦争の暗い影の部分では、兄の戦死が石ころ位の軽さで流されようとしている事に、母親が納得しない姿が描かれた。あの当時でもやっぱり母親は母親だ。戦地に赴く水原さんとのシーンも抑制の効いた良い演出だったと思う。敵の戦闘機が山陰から現れるシーンは恐怖心をおぼえた。アニメ映画をなぞるように実写化されているから今後の展開も良く知っているけど、最後まで丁寧にしっとりと続けて欲しい。

「半分、青い」
やっぱり岐阜に帰ってきて良かった。
鈴愛は百均のレジ打ちより、独創的な生き方があっている。律との恋愛とかは絡まなくても十分面白い。
朝ドラは東京の薄い人間関係よりも、地方の濃い付き合いを描いたほうが見応えある。それは決して舞台を地方に置かなくても良いのだが、「あまちゃん」のような人物配置は役者を良く知っている舞台出身の脚本家じゃないと難しいかもしれない。
原田知世の浮世離れした少女性が際立って秀逸だ。本物の少女の頃は全く魅力を感じなかったけど、今でこそ輝く美点となっている。



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