映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

それが好きだということ 9月の頃

2015-09-15 14:41:50 | 旧作映画、TVドラマ
    9月の頃 「アメリカの夜」


 学生の頃、8mmフィルムで映画ごっこをやっていた。
脚本を書いて、何人かの同志を募り、ひと夏をどっぷり監督気分を味わったものだ。

 トリュフォーのたまう。
「映画製作は馬車の旅のようだ。出発する前は、あれもこれもとイマジネーションを膨らませ、意気揚々としている。始まると苦しく辛い事ばかりで、どんな形であれ目的地に早くたどり着くことだけを考えて走るだけだ。どうにか辿り着いて、もう二度と御免だと思うのだけど、暫くするとまた旅に出たくなってしまうんだ。」

 世界の大巨匠でさえ、映画をつくり上げるのには思うようにならない事ばかり。
カメラマンは「無理」としか言わないし、プロデューサーは「金を使うな」ばかりだ。
主演の男優と女優はいつしか一緒に朝帰りするような仲になっているし。
 8mm自主映画の製作現場も全く同じ事が起きる。
監督なんてただの使い走り。いや、多分それ以下。自分の頭の中にしかない映像を、具象化してもらうためにみんなの機嫌をとりながら妥協点を見出さなければならない。せっかく頑張って撮った画が全然違ったものになっていても、ダメ出しする勇気は中々持てない。

 それでも、繋ぎ合わせたフィルムに音を入れ真っ白なスクリーンに映し出された自分の映画を観ると、もう、次の映画が撮りたくなってしまう。それが好きだということ。


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