映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

期待ハズレ SCOOPの失敗

2016-10-11 06:50:41 | 新作映画

   この次頑張りましょう。

「モテキ」「バクマン」と快作が続けば、誰でも期待しちゃいますよね。
題材も面白そうだし。思い切り笑って興奮して気持ち良い後味を期待したのですが...。
何がダメかって、福山雅治はパパラッチじゃないんですよ。チャラそうな演技はしているのですが、地が出ちゃうんです。育ちの良さというか、生きてきた環境の良さみたいなものが随所に見えちゃうんです。
あの声もいけません。孤高の博士役とか、高飛車なエリートサラリーマンにはぴったりなんですけど、自堕落な生き方している男にはあんな渋い声だせるわけありませんわ。大根監督も気が付いていたと思うんですね。違うって言えなかったんでしょう。福山くらいの大物になると本人というより、周りが降板させる選択肢を認めませんでしょうし。昔、黒澤が勝新太郎をバッサリ切り捨てたように、監督には人事権を持たせてあげないと可哀想です。

失敗の要因はそれだけじゃありません。これは監督の責任。
主題が定まっていません。題名の通りスクープを狙うパパラッチの暗部と活躍が見られたのなら期待通り。パパラッチの生き様に焦点を当てても良かったでしょう。リリーフランキーの怪演も生きたでしょうから。そうじゃなきゃ、二階堂ふみ演じる新米記者の成長物語でも良かったと思います。全部全部みんなやりたかったのでしょうが、脚本も演出も消化不良で全部全部中途半端でした。

上手な若手俳優を自由に使える環境で、次回作を撮った方が監督の力量は発揮できると思います。プロデュースの問題かもしれません。太っ腹で小回りのきくプロデューサーを用意してください。






これぞ職人技 ハドソン川の奇跡

2016-10-09 23:32:20 | 新作映画

 流石です。脱帽です。

作品によって好き嫌いはあるけれど、

よくもまあ毎年上質の作品を創り出すものだと感心するばかりです。

今作は映画の教科書みたいな職人技光る逸品をご用意いただきました。

うまいなぁと思うのは、事故の公聴会から入るんですね。

凡庸な監督が撮れば、やっぱりフライト前の心象風景からじゃないですか。

クライマックスは不時着水までの奮闘と、救出されるまでの緊迫感でしょ。

イーストウッドはそんな所に拘らないんですね。

奇跡の救出劇を見せるのではなく、サリーという機長を見せたいのです。

目の付け所がやっぱり違うんです。だからすごい監督なんです。

映画はやっぱり人を見せなきゃと、イーストウッドは魅せてくれます。





淵に立つ あてどころのない空虚

2016-10-08 20:35:18 | 新作映画
  久し振りに辛い気持ちで映画館を後にする。

楽しい映画じゃないことは予想してけれど、あてどころのないこの辛さはどうしたもんじゃろのう~。三人の配役は的を得ていて物語に深みと信憑性をくわえている。前半の川遊びまでは予想の範疇ではあったけれど、引き込まれていったんだ。

娘の事件から8年経って、障害者の親となった夫婦の話が後半語られる。父親は、娘を殺そうとした昔の仲間を憎みながらも過去の呪縛から逃れることが出来ないし、母親の呪縛は、その男と束の間ではあるが情を交わしたという負い目。そんな家庭に事件を起こし逃げた男の息子が現れて、物語は底の見えない淵に引き込まれてゆくのだけど、どうしてもその流れに違和感が残ってしまう。

本当の淵に立った事があるのだろうか?
監督の浅さみたいなものを感じてしまった。ラストシーンのロケーションにも問題があると思う。あんな開けた河原にある淵じゃ凄味は出ないし、飛び込む高さだってあの程度なら、郡上八幡の少年なら軽々飛び込むだろう。もう少し吟味して舞台を設定しないと、頑張って演技していた筒井真理子の熱演が活かされない。