話題作とか期待作じゃなくても面白いドラマは必ず存在する
そんな事を思い知らせてくれたシーズンだった
毎田暖乃というすごい女優を発見したことも忘れてはいけないと思う
「ファイトソング」
岡田恵和のドラマとすればもうひと踏ん張り。素直に感動させてもらいたかった
耳の手術までのお試し恋愛期間をじっくり描いたわりには、良くあるそれから何年後・・・みたいに後日談めいた作りが緊張感を削いでしまったように思う。肝心のファイトソングも何となくはぐらかされてしまい、やっぱり聴力を失った清原果耶が最後に歌うスタートライン(STAR TRAIN)に勇気づけられるのはちょっと違うんじゃないかな
上手い役者が揃っていたからわざとらしいドラマにならなかったけど、心の底から主人公二人の恋を応援できなかった気がする
「恋せぬふたり」
恋はしないけど愛する事は出来るんだ。愛って言葉が大げさならば、大切に思う気持ちってことならしっくりくるだろうか。そんな感じで結末は語られた。チャレンジした内容であったから物語の落としどころは難しかしいだろうと思っていたので、不可ではない締まり方だったのかな
ラブストーリーには出来ないし、単純なホームドラマには作り変えようもない。自分のやりたいことを生活の中心に置きながらも、家族(仮)に拘った二人の選択は本当に正しかったのかを問うことはナンセンスだろう。わたくしは恋する気持ちが芽生えないという感情が理解できないため、コメントのしようもない
NHKの攻めたドラマとしては評価したいが、オリンピック等でぶつ切りの放送になってしまったことは少し残念だった
「妻、小学生になる。」
この冬(と言おうか、今年を代表するような)一番の作品だった。要因は一話目から衝撃的な演技力を披露してくれた毎田暖乃という女優の存在だ。安達祐実や芦田愛菜に匹敵するだろう子役としての力は、単に演技力があるからという事ではなく彼女なくしてはこのドラマが成り立たなかったことでもある。このパーツが嵌った段階である程度作品の成功は約束されたようなものだった。それ程すごい女優をわたくしたちは観たことになる
結末に近づくにつれ在り来りなホームドラマになってしまったけれど、愛しい人を失った喪失感からの再生という骨太な主題はブレなかったので陳腐な終わり方にはならずに済んだんだことは良かった
愛する人への恋慕とか失くしたことによる喪失感なんかが脚本化されていて、うまく演出されてたならもっと凄いドラマになっていただろうに
あの世とこの世を見通す力がある喫茶店のマスター(住職)のキャラクターが序盤しっくりこなかったけど、終盤になるにつれこのキャラだからこそ重くならずに済んだんだと気付いた。意図したわけではないかもしれないが、そんなサブキャラまでもが上手くかみ合い相乗効果になっていた
主題歌「灯火」も涙を助長させる名曲だと思う
色々な奇跡的な巡り合わせで成り立っている部分はあるにせよ、丁寧に作られたドラマは見応えがあるものだ
「DCU」
ここまで酷いドラマはそう作れない
何で視聴率が良かったのか不思議だ。
低レベルな視聴者に甘えて、日曜劇場のブランドに胡坐をかくようではTBSの未来はない
時間の無駄をしなくて済んだ。早々にリタイアしたのは正解だった
「前科者」
プライムビデオでドラマ版を配信していたので観てみた
保護司が有村架純っていうのはちょっと若すぎるんじゃないかと思ったけど、対象者が若者であったからドラマとしてはちゃんと成り立っていたので楽しめた
一話が30分であるため中だるみも無いし、石橋静河の様に全編通して登場するキャラクターもあるから連続性もあるので一つ一つのエピソードの寄せ集めてきな雑さも感じなかった
NHKとかで作れそうな手堅いドラマだと思うのだけど
「カムカムエブリバディ」
川栄李奈のあっけらかんとしたキャラが朝ドラの風合いに合っていたように思う
3人のリレーで繋ぐ餡子の物語はラジオ英会話の縦糸より鮮明な気がしたけど、映画ラストサムライを彷彿とさせるエピソードでは断然と英語での会話が増えてきて何となくつながっていった。AKB時代おバカキャラで目立っていた川栄がネイティブのような英語会話をしているのを聞くと、耳の良い女優なんだなと感心する
最後の方で畳み掛ける辻褄合わせは無理があると思うし、朝ドラっぽく無かった
然し乍ら当初危惧していた割には結構面白い朝ドラだったと思う
「ミステリと言う勿れ」
序盤の警察との絡みが気に食わなかったのだが、門脇麦演じる謎の女性ライカが登場してからは俄然面白くなった。一人の女優が醸し出す雰囲気で物語の色合いが変わってゆくのは役者冥利に尽きるだろう
観る人によってはそこが面白いという事になるんだろうが、主軸のドラマがブツ切れで並んでいるから面白いエピソードや魅力的な登場人物であれば楽しめても、波がありすぎて一本のドラマとして勘定するには不適格だと思う
菅田将暉演じる変わり者の大学生の蘊蓄も、慣れてしまえば何だか鬱陶しい若造の講釈でしかなく、こちらの心を深く抉るような鋭さは無い
映画や演劇のようなドラマであるならこんな作り方も受け入れられるけど、あの月9だからなぁ・・・
続編や映画化となってもライカが登場しないのであれば観なくとも良いかな
「鎌倉殿の13人」
歴史オンチのわたくしでも観続けると面白くなってくるのが大河ドラマなんだろう
次から次に登場人物が出ては消えするけど、今のところ追いかけられそうだ
一番の要因は三谷脚本のスピードある展開とキャラクター付けが絶妙であることだ
まだまだ半分にも満たないところだが、最後まで楽しめそうな気がする
宮沢りえの存在の大きさを感じるのも、豪華キャスト故の発見だった