動物小説の古典的名作。
1/4の犬の血が混じった犬オオカミのホワイトファングの半生が描かれています。
この人は、オオカミか犬になったことがあるのかと思わせるくらい動物の視点で描かれていました。動物は、「なぜ?」という疑問は持たず、こういうときはこうなったという経験と本能的な衝動から行動することが徹底されています。
人からしつけられる社会的ルールも、なぜそうなのかという観点が抜けているので、飲み込むのに時間がかかるのです。
自分より弱い生き物は肉であり殺戮を好むホワイトファングは、人間と共に暮らす中で、社会のルールを学んでいきます。あるときは、犬同士の社会に人間の手で干渉されることにより、互いに憎しみ会いながら生活し、あるときは闘犬として他の犬を殺すために飼われ、そして、最後には、ほんとうの主人と出会うことになります。
しかし、孤高の殺戮者であるホワイトファングが、人間社会に溶け込むのは容易なことではありませんでした。
子供の頃から虐待されて壊された精神の再生に一石を投じるような、人間社会に通じる問題提起も含まれていると感じました。