日露戦争講和に尽力した外相 小村寿太郎の活躍を描きます。
日本の圧倒的な勝利に終わった感が強い日露戦争ですが、日露双方の視点から見ることによって、51対49くらいのギリギリの勝利だったことが感じられました。
暗号解読、スパイ活動、世論操作などの裏側の戦いから、世界各国の介入をも思案しながら、息詰まる交渉が繰り広げられます。
ポーツマス条約が調印されたあとも、満州の鉄道をめぐるアメリカ資本の野望を阻止し、国内にあふれる過激な条約反対運動に対処しながら、欧米帝国主義社会に割って入っていった日本の姿を垣間見ることができました。
韓国併合時の欧米列強や清国との駆け引きも描かれていて、外交戦の醍醐味が味わえました。
吉村昭の日露戦争ものでバルチック艦隊の苦難の航海を描いた『海の史劇』もいっしょに読むとより理解が深まります。