東大生が一番読んでいる歴史書だとか。
西洋から見た歴史ではなく、現地からの視点で歴史を科学的に分析する試みるユニークさが売りの本です。
ニューギニア人の「欧米人はいろいろなものを作り生活を便利にしてきたが、ニューギニア人は何一つ作り出せなかったのはなぜ?」という問いに真摯に向き合うところから始まっています。
なぜ、アメリカ原住民やニューギニア人がヨーロッパを征服しなかったのか、なぜ、その逆が起こったのか。ニューギニアの人々がヨーロッパに住んでいて、ヨーロッパの人がニューギニアに住んでいても、結果は同じだったのか、考察していきます。
結論としては、どの人種がどこに住んでいても、住んでいる環境によってもたらされる文明の進歩にはあらがえないということになります。
つまり、人種間の能力の差異はなく、環境によって征服される者と征服する者に分かれたと言うのです。
栽培・家畜化に適した植物や動物の自生状況、他の地域からの文化や文明の流入しやすさなどで、文明の発達の速度に差が生じたと考察していきます。
時勢なので病原菌に対する考察を抜き出してみましょう。
家畜化される動物の種類が多いユーラシア大陸では家畜からヒトにうつる疫病が発生し、それに伴い免疫も発達しました。
その疫病を持って、家畜化される動物がほとんどいなかった北南米大陸に進出した欧米人の持つ病原菌により、免疫を持たない原住民に壊滅的な打撃を与えることによって少数の人数で大きな帝国を征服できたのです。
かなり諄い文章で読みにくいですが、大陸の形なども文明の発展速度に大きな影響を与えているなど興味深い考察が多く、地球規模の人類史に一石を投じた本として読んで損はないと思います。