元大本営参謀の辻正信が手記の中で、米国人女性が書いた『大地』を「東洋の事象に精通しシナの真の姿を描き出しあまりなき眼識に深い敬意を捧げる」と絶賛し、「日本人のシナ通と自称する連中が如何にも浅簿であり、盾の反面しか見ていない」とまで書いていたので、そんなにすごいのかと思って読んでみました。
確かにすごかった。
主人公の貧しい百姓の王竜(ワンルン)が奴隷の女を妻に迎えるところから始まります。
王竜の土地への執着が、巨万の富を築き上げていきます。
富を築き上げても、金持ちは金持ちなりの悩みを抱えながら生きて行く姿は、中国・東洋というより、すべての人間に共通したものでしょう。
その中に中国独特の文化や風習が描かれていて、共産化以前の中国大陸のようすが垣間見れて興味深く読めました。