米価高騰を受けて、政府が備蓄米を放出するそうです。
このニュースが出た途端、近所のスーパーでは米が一段階値上がりしました。
約40年くらい前に読んだ小説、川西蘭著の『パイレーツによろしく』の中の一節を思い出しました。
このニュースが出た途端、近所のスーパーでは米が一段階値上がりしました。
約40年くらい前に読んだ小説、川西蘭著の『パイレーツによろしく』の中の一節を思い出しました。
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「満杯の食物倉庫の前で餓死していく子供の話を聞いたことがありますか?」
~中略~
「穀物市場の需要と供給が極端にアンバランスになったんですね。貧しい国の話です。飢饉で新規の供給が途絶えたわけです。あるのはストックだけ。するとどうなるかは明白です。価格が上昇する。どんどん上がります。金のある奴はそれでも買う。ストックを握っている人間はごく少量ずつしか売らない。時間の許す範囲で一番高く売れるように穀物を倉庫にしまっておきます。金のない人間は餓死するしかないわけです。まず、体力のない老人と子供が死ぬ。酷い話です。だけど、穀物ストックを握っている人間は、大雑把に言えば、経済学的には間違っていないわけです」
息をついだ。風呂上がりに呑んだビールが少し回っているようだ。
「ぼくはこの話を大学に入ったばかりの頃に聞いたんですけど、つくづく人間に生まれてよかったと思ったし、経済学部を選んだことを誇りに感じましたね」
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若かった自分は、このシーンをカッコ良く感じて好きだったのですが、米が需要分、十分にあるはずの日本に問題になるくらいの米の高騰が起こっていることは、穀物ストックを握っている人間の存在が見え隠れしています。
このたびの政府の備蓄米の放出(あとで返還義務がある)によって、価格が下がらなくても、何かがあぶり出されるとおもしろいのですが。
1980(昭和55)年の「カズノコ買い占め事件」のときは、国民全体の数の子離れにより、悪徳業者が倒産しましたが、このたびは、どうなるか楽しみです。
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