
世界大戦とは、第1次世界大戦~第2次世界大戦までを指しています。話の都合上、その前後の戦争のことも語られています。
第一次世界大戦は、歩兵と砲兵の戦いでした。塹壕に立てこもる敵の防衛線を突破するために、いろいろな砲兵戦術が発達していきますが、砲兵の力を最大限に発揮させるためには、豊富な(過剰なと言った方がいいかもしれない)弾薬と、航空写真偵察でした。
偵察により綿密に敵の防衛陣地の割り出し、効率的に砲撃を行なわなければなりません。また、砲弾の消費も半端ではすまされず、十二分な弾薬を叩き込まないと制圧できませんでした。
戦車などで突破できたとしても、その後の防衛では砲兵の力が必要不可欠であり、戦車を撃破できるのは砲兵でした。
砲兵の役割は多種多様で、補給・指揮権なども十分に与えないと戦争に勝つことができません。
そして、第二次世界大戦では、ドイツ軍の電撃戦で機動戦が一躍脚光を浴びましたが、それを止めたのが、巨大な砲兵王国ソ連でした。
相手に十分な準備が無く、奇襲の効果が高い状態での機動戦は有効な先方でしたが、砲兵戦力が十分に整ってしまうと、粉砕されてしまいます。
大戦後半では、砲兵力の差が勝敗を分けました。
と言うように、砲兵を中心に考えられた戦史です。
確かに、ドイツ軍が重戦車を生産したのは機動戦を捨てた愚かな行為だと言う解説がよくされていましたが、わたしは違和感がありました。プロの軍人がそんな愚かなことをするか? と思っていたのです。
この本を読んだら、機動戦が通用しない戦場になったので、火力と防御に重点を置いた装備に方向転換をしたと考えれば腑に落ちます。
また、ウクライナの戦況も、砲兵への補給、空中からの偵察の優劣を考えれば、納得できる状況の変化を認めることができました。
火力戦が近代の戦争では主力な戦い方であるということです。
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