フェンネル氏の奇妙な生活

気付いた世界の中の小さな出来事と水彩画と時たま油絵と思いついたことを爺さんが一人語りいたします。

パンプが歩いた。

2009-02-01 01:20:48 | Weblog
誰も,そんな事が現実だとは思ってもいなかった。リハビリは,ベッドの上で体に寝返りをうたせたり、足を曲げたりするだけだったから。この、2,3日前くらいからベッドのフチに腰を掛ける練習をしてたけど。1ヶ月も寝たきりの92歳の老人だから、足の筋肉は萎え歩行は、まだまだ時間がかかるだろうとみんな思っていた。ところが,この老人は、ベッドに腰掛けようとした際にベッドからスルリと滑り落ち介護士さんの横をツツッと歩いて通り抜けた。これには、みんなビックリ。「歩けるんだ」との声も出なかった。まるで,奇跡か魔女みたい。慌てて,ベッドに腰掛けさせたら「ああ,お腹がすいた」とのたまう。「咀嚼訓練もそろそろ始めましょうか。先生に聞いてみます」と介護士さん。パンプは、天井を見上げはっきりした声で「ひこうきにのって」と言った。ひこうきじゃなく、パンプが乗るのは,箒でしょうと思っていると、また、「ひこうきにのって」と言った。ひこうきに乗ってどうするの?と聞くと「アメリカへビールを買いに行こう」といったので、大爆笑だった。アルコールは一滴も飲めないのに発想が面白い。ビールなんかアメリカに行かなくても近所のスーパーにありますからと思いつつも痛快。このアグレッシブさが元気の秘訣なんでしょうか。西の魔女は死んだけど南の魔女は、不死身です。
コメント (2)
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