フェンネル氏の奇妙な生活

気付いた世界の中の小さな出来事と水彩画と時たま油絵と思いついたことを爺さんが一人語りいたします。

2014-08-07 07:17:55 | Weblog

     橋を描いた
     村へ架かる橋を下から見上げて
     そこにちょうど女の人が
     橋を渡って行くのが見えた
     何年前に建てられた橋なんだろう
     遠い昔の戦でも焼け落ちなかった
     と自慢げに土地の古老が言う
     いまはもうなくなってしまった
     川の水を懐かしむように

     昔、秋の収穫祭の前じゃったと
     敵がこの村を襲うて来たのは。
     ちょうど街に出ておった女が
     それを聞きこの橋を渡って
     村に走りこんで「敵が来るぞ」と
     叫んで死んだそうな。
     村のみんなは一人たりとも村には
     いれん覚悟でこの橋を渡って村の外で
     戦って村を守ったという。
     それ以来橋の上を村に向かってくる
     一人の女を見たものには幸せがくる
     とこの村ではそんな言い伝えが残ってるんだ
     あんた、見たのか
     それはよかった。きっといいことが
     あるだろうと古老は目を細めた
     


コメント
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