
昼過ぎなのに黄昏時を思わせる暗い感じは、予報通り降りだした雨のせいだ。葉の残り少なくなった並木と、しとしとと降る雨が妙に似合う。先日まで歩車道の見境なく舞い落ちていた紅葉はその盛りをすぎ、雨のせいかも知れないが今日は見当たらない。
この通りで紅葉が観賞出来始めたのは最近のこと。それまでは道路管理者の計画に沿って紅葉前に剪定がされていた。折角の並木通りなのにと、地元の皆さんの要望で剪定の時期が変わり秋の紅葉が見られるようになった。
紅葉を見て愛でながら通れるのは、並木沿にお住まいの方が影で苦労されることを知っておこう。それは「葉っぱの片付け」。歩車道に散った「葉っぱ」を掃き集められる姿を何度も見ている。
錦帯橋付近にお住まいの方から「桜紅葉が終わる頃になると、家の前の道路の落葉清掃が大変だ」と聞いたことがある。これも訪れた方を気持ちよく迎えることに連なっているのだと考える。
訪れた人たちが美しいと思うその裏では幾つかの目に見えない働き、無償の働きもあることを改めて感じる。どこか観光に訪れたら感謝しながら愛でる、そんな目で見ると新しい発見があるかもしれない。
(写真:しとしとと降る雨に濡れる晩秋の並木)