
受話器を取る。「おぉー元気。毎日暑いねえ。ことしゃあ特別暑いようじゃが。相変わらず忙しゅうしとるかいねえ」と若いときから変わらない、元気で威勢のいい声が届く。
この声は「同期集まれ」という召集。彼の声や風貌から「オヤジ」というのが高校時代の呼び名だった。それは今も続く。オヤジの呼びかけには体調が悪くない限り都合をつけて集う。
夏はビヤガーデン。冬は、年金受給前は小粋な小料理屋のこともあったが今は居酒屋に変わった。恒例になった飲み会だが、メンバーの3人はガンで早世した。
メンバーは元会社員やひとり社長など。会社もいろいろ経験もいろいろ、現役のころはそんな話が面白く、「これはいただき」という仕事の秘密もあった。今は「孫も大きくなると大変」と憎まれ口を話しながらも孫の話で「好々爺」。
毎回、次の集いを楽しみに分かれる。今年は古希、向こうの山から湧き出た雲を見ながら、どんな話が湧き出るのだろうかと、その日を楽しみにしている。
(写真:暑い、と言わせる空と雲)