
小学校のころ家から学校までの間に「アイスキャンデー屋」が4軒合った。ガチャンガチャンという冷凍機をまわす音が道まで聞こえる。黒っぽいベルトが音にあわせてゆるゆると天井へ向けて登っては降りている。
店の前には真っ青に塗られたな箱が幾つも並ぶ。その中は真っ白に凍った壁があり、売り物のアイスキャンデーが詰まっている。そう製造直売所だった。家から直接買いにいく。食べるときはいいが、帰りにはまた汗をかく。それでも満足だった。
4軒のうち1軒は同級生の店でラムネも売っていた。その子とは仲がよく宿題をしようとよく道草をした。もちろん他にも目的があてのことだったが、太っ腹なお母さんは、宿題が終わったころに冷たいものを「取りにおいで」と呼んでくれた。
アイスキャンデーは和製語で、果汁や水に甘味・色・香りなどをつけて凍らせた棒状の氷菓子、と辞書にある。追加するとすれば、味が均一でなくグラデーション状で先端ほど美味かった。作り方に秘密かあった。最近の棒状氷菓子、形状は昔と変わらないがその高級感には驚く。
キャンデー屋4軒の今。1軒目は表具屋、2軒目は花屋、3軒目は戸締め、4軒目は道路拡幅で立ち退き。変遷を感じる。
(暑さの写真3:お店によっては1本30円差がある最新の棒状キャンデー)