
突然、真っ白い閃光が目をくらました。
「なんじゃろ」とうろたえる。ほどなくドドーというにぶい音に怖さを感じた。それを助長するかのようにガラス戸が不気味な振動を始める。これは、広島から40キロ離れたわが家で体験した、原爆が炸裂した瞬間の様子。
65年過ぎても忘れていない。その日、父は被爆直後の広島へ公務出張を命ぜられ、同僚と自転車で向った。
入市被爆した父は50代半ばで早世した。折に触れ「戦争のない世界」への願いを話していた。その願いにも思いをはせ、毎年、平和の鐘に合せて黙祷する。慰霊碑の「安らかなる」文字を思いながら。
(写真:原爆ドーム、NHK-TVより)