日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

氷屋

2015年01月04日 | 回想

 
 この時期氷の話とはいささか疑問だが。子どものころ病んで熱が出る。今は冷蔵庫に製氷器があり市販の熱取り用の製品もいろいろあり応急処置はできる。昔は、まず水タオルで冷やす。ダメなら家の誰かが氷屋へ走る。買った氷をかち割りにして氷嚢に入れ患部へ当てる。薬味ではないが塩をひとつまみ加える。氷の小片を口に含ませてもらうと、病が逃げていくような爽快な気分になった。

 何度か買に行った氷屋がある。今、その通りに昔の面影はない。店は古いガラス戸が閉まっていて氷販売を続けているのか否かは分からない。しかし、昔ながらの赤地に白抜きの部分に氷の青文字を染めた布製の幟が軒下に3枚下がって風に揺れている。カキ氷復活の兆しがある、昨夏のニュースで見たがガラス戸は開くだろうか。

 今、製氷装置を持たない冷蔵庫はない。何昔も前は厚い板造りで全面に銅板を張り付けた分厚い扉の冷蔵庫があった。庫内の上部に氷塊を置き、時間をかけて冷やした。氷塊の補充を怠れればその用をなさないから、自転車で氷屋へ「1貫目ください」と買いにいく。大きな歯の鋸で切り分け「ハイ1貫目」、秤はしなかった。冷えたラムネの爽やかな味を思い出す。

 この年末年始、厳しい寒波からか雪山での遭難が相次いだ。高校の物理か化学の時間に、遭難した時に体力の消耗を防ぐため「氷を口にするな」、特に寒冷地では忌避することと習った記憶がある。1キロの氷が解けるには80キロカロリーの熱を必要とするというのがその根拠だった。命を救う物もその逆の働きもする場合がある、心しなければと思いながら久しぶりにオンザロックを飲む。
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