市内の由緒ある大樹が「危険になった」ということで伐採されることが相次いだ。台風など強風や空洞化で倒れ、人はもとより周囲に被害が起きてはならないことは分かっている。しかし、いきなり「伐採です」と知らされても目の前の姿は昨日と変わりなく茂っており驚く。何か手立てはないのかと聞きたくなる。
吉香公園の県指定の天然記念物だったエンジュの木が、「樹勢の衰え、腐食の原因となるベッコウダケの繁殖、根元や幹の腐食、空洞化も進行し回復できる状態になく、強風などで倒木の可能性がある」と診断され伐採されされたのは、この春の染井吉野の咲く少し前だった。地上から3㍍を残し哀れな姿だった。切り口付近かに小枝が生えだしたのが梅雨前、その数は増えそして伸長し今は驚くほど茂っており、樹勢の衰えを疑う生命力を保っている。伐採は良かったのだろうか、現状ではそう思う。
一方で、染井吉野には外見からして、咲くのはもういいでしょう、と呼びかけたい老樹も多い。樹齢は60年だ80年だと言われるが、接ぎ木の宿命で空洞化は起きるという。これも倒れると大変なことになる。こちらも伐採されているが、幹の根元周囲が3㍍はあろうと思う伐採跡を見た。幹回りを少し残すだけで樹の中心部は空洞になっている。
これに似た姿をした老桜は多い。伐採の跡には若木の補充をして桜の岩国という伝統を守って欲しい。そう思いながら写真を撮っていると「今の国の政治とよう似とります」と通りかかったが婦人ひと言。大多数の国民願望とはかけ離れた中身の薄い政治をチクリ。伐採された老樹は今日まで花を楽しませてくれ政治に関わりはしなかったが、最後の務めをしたように思えた。今日までありがとう。