HKT48のニューシングル『控えめ I love you!』は、相変わらず全4種類発売。初週売り上げが27万枚と言っても、27万人が買ったという訳ではない。一方、配信で購入している人もいる。CD販売数は、1人1枚しか購入しなかった時代のヒット曲と比較できる指標ではなくなった。AKBグループ内での相対比較をする上では有効な指標であるが。
今回、カップリング曲を含め全6曲は、どれも魅力的な曲ぞろいだ。
と言っても、今回新たに創られた曲は、『控えめ I love you!』『アイドルの王者』『私はブルーベリーパイ』の3曲と思われ、いつものシングルよりは少ない。そのことも各曲のクオリティの高さに繋がっているのではないか。
『控えめ I love you!』。
いかにもシングル曲らしい、素直なアイドルソング。部活をする彼を遠くから見つめているだけで幸せという、典型的な片思いソングだ。気持ちを告白するなんて思いもよらない、彼の邪魔をしたくない、密かに思うだけで充分だという、恋に恋して、両想いを恐れる、まだ臆病な少女の独白だ。「ごめんね片思いして」という歌詞から、菊地桃子『Summer eyes』の「ごめんね好きだったこと」を思い出した。
歌詞の最後「私に気づかないで」というのがこの歌のポイントだ。無論それは「私に気づいて」という真意の裏返しだ。
アップテンポな曲調で、キャッチーなメロディーを繋ぎ合せていて、耳に残る。しかし敢えて言えば、『初恋バタフライ』や『スキ!スキ!スキップ!』の圧倒的な疾走感、詞と曲の一体感には少し及ばない。高い水準で安定しているのだが、少しずつパワーダウンしているのではと危惧する。
『アイドルの王者』(チームH)。
AKB48の37thシングルの企画として、『なんてったってアイドル』のような「アイドル賛歌」を推奨する記事を書いたが、採用されなかった。しかし、ここに投入して来たのか。HKT48シングルのカップリングとして、チームHが歌う『アイドルの王者』は、まさに「アイドル賛歌」だ。
「スキャンダルの爆弾」何発食らっても輝き続ける、アイドルとしての覚悟を歌いあげている。指原にはぴったりの歌だが、できれば他のメンバーにはスキャンダルの爆弾はない方がいいかな。
曲中「いろんなグループが『生息』する」と歌っているが、「上野から御徒町に生息」と歌っていたアメ横女学院の『暦の上ではディセンバー』からの引用だろう。GMT47がチーム8として実現したように、ドラマ『あまちゃん』と現実のAKBグループはコラボしている。
『夏の前』(チームK4)。東京モノレールのCMソングとして7月から使われていた。今回の6曲の中では一番気に入っている。
爽やかな初恋ソング。オルゴール調のイントロから、アップテンポな中にも切なさがブレンドされたような慣れ親しんだ曲調だ。歌詞も「視聴覚室から教室に戻る時」とか、学校生活のディテールがリアルだ。かつての『偶然の十字路』『君の背中』などに歌の雰囲気が似ている。それらの歌で「アンダーガールズ」の中心的存在だった多田愛佳がチームK4のキャプテンであることは、「偶然」だけではないだろう。
若いメンバーが、年齢相応の学校生活の喜怒哀楽を歌う、アイドルソングとして基本的な内容だが、それがかえって新鮮に感じられる。「毎日一緒に帰ろう」と彼女が言った時の至福感に共感して、涙が出そうになった。
夏の前に付き合い始めたこの歌の2人は、夏の盛りにはプール帰りに丘の上の神社で夜まで語り合う(『青空カフェ』)ような、可愛らしい交際を進展させるのだろう。
『夕立の前』『夏の前』と名曲が続いた。三部作として『○○の前』をもう1作期待したい。
『私はブルーベリーパイ』(ブルーベリーパイ)。
彼にブルーベリーパイを作って食べさせる歌。自分自身と、自分の恋心をブルーベリーパイに例えて歌う。竹内まりやの『不思議なピーチパイ』、北原佐和子の『スイートチェリーパイ』へのオマージュと言える。
これまで選抜にも入っていないフレッシュなメンバーが歌っているが、元気が良く、もちろん可愛らしい。
「青春は酸っぱいもの」というストレートな青春定義も素敵だ。「ちょ、ちょ、ちょっと食べてよ」「も、も、もっと褒めてよ」という台詞も、ドキドキした感じが出ていて可愛い。
『生意気リップス』(なこみく)。
春の埼玉スーパーアリーナのコンサートで既に披露されていた。2人の魅力が最大限に発揮された完璧な楽曲だ。ガキんちょが背伸びをして生意気なことを言っている可愛らしさがたまらない。「私たちももう若くないし」という台詞も秀逸。
この時のこの2人にしか歌えない、季節限定商品。アイドルはそもそもそういったものだが、特に短い旬の一時を切り取った秋元康の仕事は見事。今回CD化されたことは、文化財を後世に残す意味でもよかった。
『今君を想う』。
この曲も春の埼玉スーパーアリーナのコンサートで披露されていた。移籍する中西と谷の「卒業ソング」だ。HKT48としては初めての「卒業ソング」で、2人だけでなく、残されるメンバーも参加して、全員で別れを惜しみ、エールを送る、感動的な曲になっている。AKBグループのこれまでの「卒業ソング」の中でも出色の出来だと思う。4タイプあるCDの全てのタイプに収録されているだけのことはある。
そんな曲でも、谷のどこかオバさんくさい歌い方は微笑ましいし、「思い出が足りないから早く帰って来てね」と歌うなこみくのKY感にもほっこりする。
今回、カップリング曲を含め全6曲は、どれも魅力的な曲ぞろいだ。
と言っても、今回新たに創られた曲は、『控えめ I love you!』『アイドルの王者』『私はブルーベリーパイ』の3曲と思われ、いつものシングルよりは少ない。そのことも各曲のクオリティの高さに繋がっているのではないか。
『控えめ I love you!』。
いかにもシングル曲らしい、素直なアイドルソング。部活をする彼を遠くから見つめているだけで幸せという、典型的な片思いソングだ。気持ちを告白するなんて思いもよらない、彼の邪魔をしたくない、密かに思うだけで充分だという、恋に恋して、両想いを恐れる、まだ臆病な少女の独白だ。「ごめんね片思いして」という歌詞から、菊地桃子『Summer eyes』の「ごめんね好きだったこと」を思い出した。
歌詞の最後「私に気づかないで」というのがこの歌のポイントだ。無論それは「私に気づいて」という真意の裏返しだ。
アップテンポな曲調で、キャッチーなメロディーを繋ぎ合せていて、耳に残る。しかし敢えて言えば、『初恋バタフライ』や『スキ!スキ!スキップ!』の圧倒的な疾走感、詞と曲の一体感には少し及ばない。高い水準で安定しているのだが、少しずつパワーダウンしているのではと危惧する。
『アイドルの王者』(チームH)。
AKB48の37thシングルの企画として、『なんてったってアイドル』のような「アイドル賛歌」を推奨する記事を書いたが、採用されなかった。しかし、ここに投入して来たのか。HKT48シングルのカップリングとして、チームHが歌う『アイドルの王者』は、まさに「アイドル賛歌」だ。
「スキャンダルの爆弾」何発食らっても輝き続ける、アイドルとしての覚悟を歌いあげている。指原にはぴったりの歌だが、できれば他のメンバーにはスキャンダルの爆弾はない方がいいかな。
曲中「いろんなグループが『生息』する」と歌っているが、「上野から御徒町に生息」と歌っていたアメ横女学院の『暦の上ではディセンバー』からの引用だろう。GMT47がチーム8として実現したように、ドラマ『あまちゃん』と現実のAKBグループはコラボしている。
『夏の前』(チームK4)。東京モノレールのCMソングとして7月から使われていた。今回の6曲の中では一番気に入っている。
爽やかな初恋ソング。オルゴール調のイントロから、アップテンポな中にも切なさがブレンドされたような慣れ親しんだ曲調だ。歌詞も「視聴覚室から教室に戻る時」とか、学校生活のディテールがリアルだ。かつての『偶然の十字路』『君の背中』などに歌の雰囲気が似ている。それらの歌で「アンダーガールズ」の中心的存在だった多田愛佳がチームK4のキャプテンであることは、「偶然」だけではないだろう。
若いメンバーが、年齢相応の学校生活の喜怒哀楽を歌う、アイドルソングとして基本的な内容だが、それがかえって新鮮に感じられる。「毎日一緒に帰ろう」と彼女が言った時の至福感に共感して、涙が出そうになった。
夏の前に付き合い始めたこの歌の2人は、夏の盛りにはプール帰りに丘の上の神社で夜まで語り合う(『青空カフェ』)ような、可愛らしい交際を進展させるのだろう。
『夕立の前』『夏の前』と名曲が続いた。三部作として『○○の前』をもう1作期待したい。
『私はブルーベリーパイ』(ブルーベリーパイ)。
彼にブルーベリーパイを作って食べさせる歌。自分自身と、自分の恋心をブルーベリーパイに例えて歌う。竹内まりやの『不思議なピーチパイ』、北原佐和子の『スイートチェリーパイ』へのオマージュと言える。
これまで選抜にも入っていないフレッシュなメンバーが歌っているが、元気が良く、もちろん可愛らしい。
「青春は酸っぱいもの」というストレートな青春定義も素敵だ。「ちょ、ちょ、ちょっと食べてよ」「も、も、もっと褒めてよ」という台詞も、ドキドキした感じが出ていて可愛い。
『生意気リップス』(なこみく)。
春の埼玉スーパーアリーナのコンサートで既に披露されていた。2人の魅力が最大限に発揮された完璧な楽曲だ。ガキんちょが背伸びをして生意気なことを言っている可愛らしさがたまらない。「私たちももう若くないし」という台詞も秀逸。
この時のこの2人にしか歌えない、季節限定商品。アイドルはそもそもそういったものだが、特に短い旬の一時を切り取った秋元康の仕事は見事。今回CD化されたことは、文化財を後世に残す意味でもよかった。
『今君を想う』。
この曲も春の埼玉スーパーアリーナのコンサートで披露されていた。移籍する中西と谷の「卒業ソング」だ。HKT48としては初めての「卒業ソング」で、2人だけでなく、残されるメンバーも参加して、全員で別れを惜しみ、エールを送る、感動的な曲になっている。AKBグループのこれまでの「卒業ソング」の中でも出色の出来だと思う。4タイプあるCDの全てのタイプに収録されているだけのことはある。
そんな曲でも、谷のどこかオバさんくさい歌い方は微笑ましいし、「思い出が足りないから早く帰って来てね」と歌うなこみくのKY感にもほっこりする。