AKB48 チームBのファンより

鈴木紫帆里さんを中心にAKB48 チームB について語るサイトです。

AKB48『翼はいらない』は2つの歌へのアンサーソング。(ときめき研究家)

2016-06-02 20:27:47 | ときめき研究家
6月1日発売のシングル『翼はいらない』を聴いた。
発売前にも歌番組やミュージックビデオのショートバージョンで見聴きしていたが、一応CDでフルコーラスを聴いてから感想を書こうと思って、待っていた。

フォーク調の曲で、このタイトルから、有名な『翼をください』へのアンサーソングであることは明らかだ。
「願いが叶うなら翼がほしい。翼を広げて大空を飛んで行きたい。」と朗々と歌い上げる『翼をください』は、一フォークソングの枠を超え、多くの人々に歌われ、教科書に載ったり、サッカー日本代表の応援歌になったりもしたスタンダードナンバーである。その曲を意識して、反対の意味の歌詞をつけたフォークソングで勝負して来たのは挑戦的だと思う。
「翼があってもどこに行きたいのかわからない。翼がなくても歩いて行く。今持っているものだけで幸せだ。」と歌う『翼はいらない』は、現代という時代を反映していて、現実的で堅実なメッセージソングだ。

確かに、どんなに願っても人間に翼は生えないので、『翼をください』は現実逃避的で空疎な歌だと言える。辛い現実、閉塞した社会に失望し、せめて空想の中で自由を謳歌したいという当時のフォークソングに共通する一種の弱々しさはある。(それが悪いと言っている訳ではない。)一方、メロディーは突き抜けたように清々しく、力強い。だからこそ、広く長く歌い続けられるスタンダードになったのだろう。

それに対して『翼はいらない』は、現実逃避せず、空想ではなく、自分のできることを地道にやって幸福を目指すのだという、非常に物わかりのいい若者の歌だ。こういう若者が多いので、社会変革を目指す学生運動は盛り上がらず、留学する学生も減り、結婚もしない、免許や車も持たない風潮が広がっているのだろう。(それが悪いと言っている訳でもない。)
『翼はいらない』のミュージックビデオでは、学生運動の集会で『翼はいらない』を歌っているが、完全にミスマッチだ。社会変革を叫ぶ連中の前で、今の社会を是認して大人しく生きていくと宣言するのはそぐわない。実際の1972年には生まれなかった歌だろう。しかし、最後には学生たちも一緒になって歌っているのは、これも爽やかで前向きな気持ちになれるメロディーの力だろう。

ところで、『翼はいらない』は、もう1曲別の曲のアンサーソングでもあるだろう。その曲は『365日の紙飛行機』だ。その曲も「紙飛行機になって自由に空を飛びたい」という思いを歌っていて、『翼をください』と似ている。つい最近自分たちが歌い、幅広くヒットした曲の全く正反対の歌詞の歌をしれっと出してくるあたりが、挑戦的で「何でもアリ」のAKBの真骨頂だと言える。

50代の私は、フォークソング全盛時とは微妙にずれてはいるが、こういうノスタルジックなフォーク調の曲には惹かれてしまう。『思い出せない花』『渋谷川』にも惹かれたが、『翼はいらない』も気に入った。
素朴なメロディーがいいし、「A A’ B A」という単純な曲構成も好ましい。『真夜中のギター』『白い色は恋人の色』『花嫁』など、当時のフォークソングの多くも同じ構成だ。
1点だけ難を言えば「つばさーはいーらないー」というサビ部分の歌詞が、間延びした感じで、少しダサい。
歌いだしの「翼があったらー」「翼が生えたらー」はそう思わないので、「いーらないー」の「いー」が良くないのだと思う。何回も聴いたり歌ったりするうちに慣れては来ると思うのだが。

ミュージックビデオは、厳格な時代考証などを求めたりしてはいけないのは承知だが、学生運動のリーダー役の指原が茶髪なのはさすがにありえないと思ってしまった。

歌番組でのパフォーマンスは、フォークダンスを模したような振付だった。『アッカンベー橋』のミュージックビデオを思い出したが、激しいだけのダンスではなく、メンバーの顔もよく見られるので良いと思った。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする