AKB48 チームBのファンより

鈴木紫帆里さんを中心にAKB48 チームB について語るサイトです。

教科書に載せたいアイドル史の300曲 目次とアイドルの定義(ときめき研究家)

2025-02-15 21:56:42 | ときめき研究家
『教科書に載せたいアイドル史の300曲』を4回に亘って掲載したので、目次を作成しました。

『教科書に載せたいアイドル史の300曲』その1(70年代)
『教科書に載せたいアイドル史の300曲』その2(80年~82年)
『教科書に載せたいアイドル史の300曲』その3(83年~87年)
『教科書に載せたいアイドル史の300曲』その4(88年~2025年)

参考文献
・『歌謡曲名曲名盤ガイド1970s』(Hotwax)
・『歌謡曲名曲名盤ガイド1980s』(Hotwax)
・『アイドル楽曲ディスクガイド』(ピロスエ編)
・その他、LP・CDの歌詞カード、各アイドルのホームページ等

この『教科書に載せたいアイドルポップの300曲』を選曲するに当たり、有識者である数名の友人にも意見を求めたところ、まず「アイドル」の定義をする必要があると助言されました。
全く妥当な意見だと思います。痛いところを指摘されたと感じました。どこまでがアイドルに含まれるのか範囲を明確にしないと、選曲も何もあったものじゃないでしょう。実際、この人はアイドルなのか否か、迷うような存在は多数います。
小柳ルミ子は入れたが、山本リンダや安西マリアは入れないのか?
薬師丸ひろ子は入れたが、吉永小百合は入れないのか?
森高千里は入れたが、ZARDや岡本真夜やプリンセスプリンセスは入れないのか?
SPEEDやZONEは入れたが、安室奈美恵や浜崎あゆみやKiroroは入れないのか?
長年アイドルを鑑賞、研究して来たのに、その「アイドル」とは何か、明確な定義は未だできていません。その自覚はあります。その時々、曖昧な判断基準で線を引いて来ました。しかし、実はそれは非常に難しいことなのです。幾度も試みて、正解にはたどり着いていません。
でもいい機会なので、改めて、果敢に「定義問題」にチャレンジしてみようと思います。

【案1】
「アイドルとは聴き手にときめきを与える存在」
これが私個人にとって一番しっくり来て、簡潔な定義です。「聴き手」としているので歌手が前提となり、「ときめき」がキーワードとなって、主に若い女性歌手が該当し、オペラ歌手や演歌歌手等は含まないことも示しています。
この定義の難点は、あまりに主観的なことです。「聴き手」を「私」に置き換えれば、つまりは私がときめいたらアイドルなのだと言っています。「朕が国家なり」「俺がルールだ」と同じです。自分の趣味なのだから本来これでいいのです。でも、それを他人と共有しようと思ったら、もう少し詳しい言語化が必要になってきます。

【案2】
「アイドルとは年に数枚のシングルレコードを発売し、テレビの歌番組等での歌唱パフォーマンスを活動の根幹とした、主に10代から20代前半の女性歌手またはグループ。1970年代から1980年代が全盛期だった。」
極めて外形的な定義です。当時のアイドル歌手の活動内容を示すことで、バンドやグラビアアイドルなどを除外しています。もちろん現在のグループアイドル、地方アイドル等も「アイドル」という呼称ではありますが、テレビやレコードで「楽曲を鑑賞」する対象であった当時のアイドルとは大きく変質している気がします。ライブやイベントやSNSで本人たちを応援することが主体の「推し活」の対象なのではないでしょうか。

【案3】
「アイドルとは歌手ではあるが歌唱技術への依存度は低く、容姿、衣装、振付、動作、日頃の言動も含め『全身全霊』で『青春のときめき』を表現する者」
「歌手」と「アイドル歌手」の違いから定義してみました。一般的に「アイドルは歌が下手」と揶揄されることを逆手に取って、歌の巧拙は一要素に過ぎない総合的な表現者であるという主張も盛り込んでいます。
この「歌手」と「アイドル歌手」の関係は「本」と「絵本」の関係に例えられると思います。
文章だけの「本」ではなく、文章と絵が一体となっている創作物が「絵本」です。文章と絵のどちらが主でどちらが従ということはありません。挿絵の多い「本」などはボーダー上にあるでしょう。絵本が子供向けと思われているのは、アイドルが若者向けと思われているのに近いです。しかし、大人が見ても楽しい絵本が沢山あるように、大人の鑑賞に堪えうるアイドルも多数います。

いろいろ試みましたが、この「定義」を考え続けることが1つの研究テーマでもあり、私のライフワークとも言えるでしょう。そこで、今回は暫定的に、この「300曲」選定の分母としての定義を下記の通り定めました。
【この「300曲」選定の分母としての定義】
「アイドル」の定義は、「青春のときめき」を主要なテーマとする歌謡曲を定期的にリリースし、地上波テレビの歌番組で歌唱技術のみに依存せず全身全霊でのパフォーマンスを披露した主に10代~20代前半の女性歌手とする。
※「ときめき」は聴き手の主観ではなく、歌のテーマのキーワードとして盛り込んだ。客観要素も入れることで、テレビ歌番組に出ない(出られない)バンド、地下アイドル等は除外。年齢要素は抑えとして入れるが、結婚後の松田聖子など例外もある。
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教科書に載せたいアイドル史の300曲④(88年~2025年「アイドルを探せ」)

2025-02-15 16:13:17 | ときめき研究家
おニャン子解散後にデビューしたアイドルは、めっきり小粒になる。
88年デビューでは、藤谷美紀(1988デビュー)は切ない『転校生』(1988)、坂上香織(1988デビュー)はセンチメンタルな『レースのカーディガン』(1988)、西田ひかる(1988デビュー)は元気な『Nice Catch』(1988)、中山忍(1988デビュー)は囁くような『小さな決心』(1988)、吉田真理子(1988デビュー)は聖らかな『とまどい』(1988)、麻田華子(1988デビュー)は十代前半らしいストレートな『Doubt!』(1988)、姫乃樹リカ(1988デビュー)は澄み切った声で『硝子のキッス』(1988)、北岡夢子(1988デビュー)も切り裂くような声で『告白』(1988)、本田理沙(1988デビュー)は下世話な『Lesson2』(1988)などで活躍したが、大きなヒットには至らなかった。
89年デビューでも、田村英里子(1989デビュー)は王道の『ロコモーション・ドリーム』(1989)、田山真美子(1989デビュー)は爽やかな『青春のEVERGREEN』(1989)、河田純子(1989デビュー)は刹那的な『輝きの描写』(1989)、CoCo(1989デビュー)はキャピキャピした『はんぶん不思議』(1989)が印象に残った。
WINK(1988デビュー)が、無機質な振り付けの『愛を止めないで』(1988)でブレイク、『涙を見せないで』(1989)もヒット、そして『淋しい熱帯魚』(1989)で89年度レコード対象を受賞したのが、アイドル全盛期である80年代への挽歌となった。
その後、長いアイドル氷河期が続くこととなる。

90年代で正統派のソロアイドルとして認知されたのは、高橋由美子(1990デビュー)『step by step』(1990)、早坂芳恵(1990デビュー)『絶対part2』(1990)、宍戸留美(1991デビュー)『コズミックランデブー』(1991)、酒井美紀(1993デビュー)『永遠に好きと言えない』(1993)など少数である。
一方で、グラビアアイドル、CMアイドル、アイドル女子アナなど、歌を歌わないアイドルが広く活躍するようになった。しかし音楽史としてのアイドル史では、歌を歌うアイドルしか扱わない。
歌手が本業で、3ヶ月に1枚のペースで新曲を発表するような、古典的アイドルは見当たらなくなった。しかし、魅力的なアイドルは、いろいろな所から現れた。現代音楽のバルトークやシェーンベルクやサティのように。
従来いわゆる「ミュージシャン」はアイドルと一線を画していたが、森高千里(1987デビュー)は自らのアイドル性を自覚し肯定的に捉えていたと考える。南沙織をカバーして『17才』(1989)を歌ったのがターニングポイントだ。その後は90年代を通じて、中学生の作文のように素朴で力強い自作歌詞を、硬質な声でクールに歌い、アイドル的な共感を得た。女友達と沖縄旅行に行く歌『私の夏』(1993)や、成就しなかった恋をしみじみ歌う『渡良瀬橋』(1993)など名曲が多いが、『私がオバさんになっても』(1992)が彼女の世界観を最もよく示している。
SPEED(1996デビュー)もミュージシャンとして扱われているが、浜崎あゆみや安室奈美恵とは異なるアイドル性を持っていた。『ホワイトラブ』(1997)のハイトーンが印象的。4人組少女バンドZONE(1999デビュー)の『secret base~君がくれたもの』(2001)もアイドルポップの範疇に入るだろう。
1990年頃から、女優で歌にも積極的に取り組む者が多数現れ、専業歌手を凌駕した。小川範子(1987デビュー)の『涙をたばねて』(1987)はパンチの効いた歌唱。後藤久美子(1987デビュー)の『Teardrops』(1987)、石田ひかり(1987デビュー)の『エメラルドの砂』(1987)、和久井映見(1990デビュー)の『My lonely goodbye club』(1990)、観月ありさ(1991デビュー)の『伝説の少女』(1991)、松たか子(1997デビュー)の『明日、春が来たら』(1997)、深田恭子(1999デビュー)の『最後の果実』(1999)はそれぞれ個性的な作品と歌唱だった。
なかでもインパクトが大きかったのは、宮沢りえ(1989デビュー)と広末涼子(1997デビュー)だ。宮沢は全盛期にヘアヌード写真集を出して驚かせ、歌手デビューは当時全盛だった小室哲哉作品の『ドリームラッシュ』(1989)で、同時代の少女たちへのメッセージソングを歌った。広末の『MajiにKoiする5秒前』(1997)は、清純かつキュートで洗練されていて完璧な作品だ。多くのアイドルに曲を提供してきた竹内まりやの集大成的名曲。

一方で、専業アイドル歌手は、1990年頃から大人数グループのライブ活動が見られるようになり、それを熱心なファンが支えていた。そんな中で、モーニング娘。(1997デビュー)はつんく♂がプロデュースした大人数アイドルグループで、大きなブームを起こした。『LOVEマシーン』(1999)は、大ヒットして日本を元気にした歌。ノリが良く言葉遊びのような歌詞は『恋のダンスサイト』(2000)、『ハッピーサマーウエディング』(2000)にも引き継がれた。『ハッピーサマーウエディング』と『瀬戸の花嫁』は同じウエディングソングでも隔世の感がある。『ザ☆ピース』(2001)ではささやかな日常と選挙と平和を同列に明るく歌った。
モーニング娘。は、ハロープロジェクトという広がりに発展し、現在も様々なユニットやソロ歌手を展開している。その中でも、松浦亜弥(2001デビュー)の『桃色片思い』(2002)や『Yeah! めっちゃホリデー』(2002)は、アイドル歌手として完璧なパフォーマンスだった。彼女以外にソロでは藤本美貴の『ロマンティック浮かれモード』(2002)が王道のアイドルポップ、ユニットではBuono!(2007デビュー)の『初恋サイダー』(2012)がロック色の強い代表曲だ。

ハロプロの活躍こそあったが、21世紀、アイドルはコアなファンが楽しむ特殊な趣味になりつつあった。
Perfume(2005メジャーデビュー)は突然変異のアイドルと言える。『ポリリズム』(2007)は、電気的に変換した音声で無機質な曲を歌った。
秋元康が、おニャン子クラブから20年の時を経てプロデュースしたAKB48(2006デビュー)は、秋葉原で公演を開始してほどなく『会いたかった』(2006)で人気に着火、その後国民の誰もが知るアイドルグループになった。カラオケで多くの人が歌った『ヘビーローテーション』(2010)、流行語にもなった『フライングゲット』(2011)、一般人の動画投稿がブームになった『恋するフォーチュンクッキー』(2013)、朝ドラ主題歌『365日の紙飛行機』(2015)など、ファン以外の一般人にも認知されるヒット曲が生まれた。一方で、握手券や投票権を目当てにCDの大量購入を誘うAKB商法や、メンバーを過酷な競争に駆り立て、恋愛を禁止するグループ運営には賛否両論があった。
ももいろクローバーZ(2009デビュー)も多くのファン(もものふと称した)がいて、AKB48と人気を二分した。『いくぜっ!怪盗少女』(2010)などのヒット曲がある。
AKB48の公式ライバルとして結成された乃木坂46(2012デビュー)は、AKB48と入れ替わるようにグループアイドルの頂点を極めた。初期の名曲で地下鉄乃木坂駅の発車メロディーにもなっている『君の名は希望』(2013)、特撮ヒーローの主題歌のような中毒性がある『インフルエンサー』(2017)などのヒット曲がある。その姉妹グループ欅坂46(のちに櫻坂46)(2016デビュー)も、現代のプロテストソングと言える『不協和音』(2017)などで存在感を示している。
その他にも多数のグループアイドルが生まれ、活動しているが、ファン以外にも認知されるヒット曲は生まれにくい環境にある。ライブやイベントで彼女たち本人を応援する「推し活」は盛んだが、過当競争状態で限りあるファンを奪い合っている。また、ソロでのアイドル歌手活動は一層困難だろう。アイドルポップという音楽ジャンルが持続可能なのか否か、今、その分岐点にある。
2010年前後のアイドルシーンと、1980年代アイドルシーンを背景にした朝ドラ「あまちゃん」の挿入歌『潮騒のメモリー』(2013)を300曲目として挙げたい。劇中で、小泉今日子、薬師丸ひろ子のソロ歌唱が披露されたが、それぞれの持ち味を発揮したパフォーマンスだった。また、能年玲奈と橋本愛のデュエットも現役アイドルっぽいパフォーマンスだった。優れた楽曲はアイドルの魅力を引き出すし、時にカバーされて蘇る。そういうアイドルポップの魅力を具現化した楽曲だったと言える。(了)
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