AKB48 チームBのファンより

鈴木紫帆里さんを中心にAKB48 チームB について語るサイトです。

乃木坂46『サヨナラの意味』とカップリング曲を聴く。(ときめき研究家)

2016-12-12 21:17:21 | ときめき研究家
『サヨナラの意味』。
橋本奈々未がセンターを務める、彼女にとってのラストシングル。前作『裸足でSUMMER』と同様に、じわじわと良さが判って来るような地味な曲だ。地味だけど一本芯が通った力強さを感じる。
サヨナラを乗り越えて、強く生きていくという決意を爽やかに歌っていて、「サヨナラに強くなれ」というのが印象的なフレーズだ。それから、2番のAメロ部分の歌詞、「列車の轟音の中で君が何か言ったけど聞こえない、答えを待つ君にそっと頷いた」という部分は秀逸だ。言いたいことが通じたのか通じなかったのか不明でもやもやするが、恐らく気持ちは通じたのだろうし、もはやこの時に言葉は不要なのだろうから、それでいいのだ。
大サビの「遠くに見える鉄塔」とは、AKB48『やさしさの地図』や『向日葵』にも出て来た鉄塔で、世界の秩序を守っているものの象徴と読み解く。今日別れた仲間も、これからも同じ空の下で生きていく。

『孤独な青空』。
ポジティブそうな曲調とは裏腹に、シリアスなテーマを歌っている。本当の親友などいない、悩みを打ち明けたり激論を交わすような関係は避けている、いわば群衆の中の孤独だ。「青春はいつだって虚しい」などと悟ったようなことを朗々と歌っていて切なくなる。『太宰治を読んだか』のように、人生を語る友ができた人は幸せだ。人はいつも一人、それを自覚しながら生きていく。

『2度目のキスから』。
2度目のキスからは冷静になれ、ムードに流されるなという教訓を歌う。ユーモラスで楽しい歌。「恋の駆け引きシリーズ」と言ってもいい。「若くない」を「若くにゃい」と歌っているのは、わざとなのか、滑舌が悪いだけなのか、ふざけた感じが出ていて良いと思う。

『あの教室』。
久しぶりに再会した同級生(異性)と、母校を訪ね、思い出を語っている歌。お互いに好きだったことを今さら告白し、もう帰れないなどと言いながら、何かが始まる予感に胸躍らせている、そんなときめきが伝わる歌だ。自転車の2人乗りは、AKBグループの楽曲に頻出する幸福な行為だ。

『ブランコ』。
ラップ調の歌い出しから、通常のメロディーになっても起伏を抑えて、淡々と流れる歌。
秋元康はシーソーの方が好きなアイテムだったが、ここに来てブランコを取り上げている。静かな曲調に静かな情熱が歌いこまれている。

『君に贈る花がない』。
好きになった君にはもう恋人がいて、それは僕の友達だという、よくある三角関係の歌。
『片思いの対角線』のように身を引くスタンスの歌で、『嵐の夜には』のように強引に奪いに行く歌ではない。どちらが正解ということではなく、どちらを選んでも心に傷は残る。だから歌になるのだ。

『ないものねだり』。
橋本奈々未のソロ曲。シャンソン風というのか、アンニュイな感じのデリケートなメロディーが続く。橋本の歌声は、そっけなく、艶っぽくなく、投げやりな感じさえする。よく言えば自然体。卒業ソングという気負いもなく、上手に聞かせようとか、可愛く聞かせようとかいう欲を全く感じない。
しかし、歌詞の内容と同じく、「今持っているものだけで充分、ないものねだりはしたくない」という執着のなさが彼女の魅力なのだとすれば、それを如何なく発揮しているとも言える。
不思議なメンバーの不思議なパフォーマンスだ。

それにしても、橋本の卒業・引退発表には驚いた。理由が「お金のために働いていたが、もうお金はいらなくなったし、母親から無理しなくていいと言われたので辞めます」という主旨だったと思うが、身も蓋もない。
職業差別をする訳ではないが、まるで風俗で働いていたかのような言い方で、彼女にとってアイドルとはそういうものだったのかと思うと、寂しい気持ちになる。
もちろんプロの芸能人だから、パフォーマンスが素晴らしく、見る人・聴く人の心をときめかすことができれば、心の中はどうであっても構わないという考えもある。人格と作品は別物だ。私も本来そういう考えだ。人間性が最悪であっても素晴らしい小説を書いた作家や、魅力的な交響曲を作曲した作曲家がいたのと同じことだ。私が以前からもっと橋本のアイドルとしてのパフォーマンスに注目して見ていれば、作家や作曲家と同様に、アイドルも心の中と切り離して、魅力的でありえるかどうかという事例検証が行えたはずだが、それ程彼女に注目していなかったので残念ながら判断できない。もし生田絵梨花が橋本と同じようなことを言って辞めるとすれば、まさしく彼女はプロの芸能人だと断言できる。
しかしアイドルという存在は、生身とパフォーマンスのギリギリの狭間で勝負する存在であって、作家や作曲家とは少し違うかもしれない。薬物で逮捕されたミュージシャンは復帰できるが、アイドルは難しい。
それに、どうせ辞めるのなら、そんなことをわざわざ公言しなくてもと思う。多くのファンは裏切られたような気持ちになるのではないか。せめて「最初はお金を稼ぐためにアイドルになったが、やっているうちにファンの喜ぶ姿を見て、やりがいも感じていた。アイドルとしてやれることはやり切ったので引退する。」くらいに言ってくれた方が、彼女のファンや他のメンバー、スタッフなど、みんなが幸せな気持ちになれただろう。

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2 コメント

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補足 (kizudarake)
2017-01-03 17:11:13
僕が応援していた仲川遥香、橋本奈々未の両名ともいなくなり、
もしかしたらアイドルの追っかけを終えそうな予感がしています。

ときめき研究科様の橋本奈々未へのコメントについて多少補足をさせてください。

発言が一番ドラスティックな部分を切り取られています。

「ファンの声援のおかげで5年間頑張ってこれた」
「自分が関わるとは想像もできなかった仕事に携われてすごく楽しかった」
などの、発言もちゃんとしていますが、TVメディアでは取り上げられていません。

2014年に病気で活動を一時中断しています。
その時は仕事を続けたいけど、治るかわからないからもう辞めよう
と思ったところに沢山のファンの声援があったので続ける決心をした
と言っています。

そこから2年で様々な経験をした上で、今回の決断に至ったことも
発言してます。
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失礼しました (ときめき研究家)
2017-01-04 22:17:26
kizudarakeさん
コメントありがとうございます。
橋本さんの卒業・引退については、一般的なメディアの報道しか見ておらず、ドラスティックな発言の印象に衝撃を受けていました。
彼女なりの様々な思いがあってのことなのに、その一部だけがデフォルメされて報道されていたのですね。
でもkizudarakeさんのようなファンの方には伝わっているようなので、だったら良かったと思います。
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