空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

学校の外国人/留学生対応

2014-05-28 17:27:37 | ノート
MSN産経 外国人の入学「できません」 埼玉の専門学校が要項に明記 県の是正指示にも「学校の方針」 2014.5.23 13:38

MSN産経 外国人「入学できません」から一転「削除します」 埼玉の専門学校「誤解招いた」 2014.5.23 15:25

生徒の募集要項に「外国人の入学はできません」と記載していた学校法人「今昌(こんしょう)学園」の今井明巨理事長は23日、「差別や排斥の意思はなく誤解を招いた」として、文言撤回の意向を文部科学省や県に伝える方針を明らかにした
今井理事長は「過去に外国人受験者はなく受け入れのノウハウもなかったが、要請に対し態度がかたくなだった」と謝罪。「教育上、望ましい文言ではなかった。全ての受験生に同じ機会を設け在校生の今後にも影響がないよう努めたい」と話した

 とりあえず、この学校さんにはやや見識が足らず、しかし炎上し始めた時点で火消し行動ができるほどには現実に対する対応力があることはわかった。

NHK 埼玉の専門学校が外国人の入学拒否 5月23日 12時14分

「今昌学園」の役員はNHKの取材に対し、「外国人を受け入れないのは就職まで面倒をみることができないためで、昭和47年の設立以来受け入れていない」と話しています

 下手に炎上が長続きすると、いまいる在学生の就職に響きかねない、という判断もあろうか。

 さて大前提として

下村文部科学大臣は「外国人であることで差別があってはならない。意欲や能力、志がある人に対しては日本人、外国人を問わずチャンスを提供するべきで外国人という理由で入学を拒否することは大変遺憾だ。埼玉県に適切に指導してもらいたい」と話しました」(NHKによる)

 ―は当然のことである。

 なのだが、在日韓国人や在日朝鮮人やあたりなら問題ないとして(なぜなら、彼らは基本的に日本語が十分に通じるだろうから)、それ以外の教育(言語)背景があるひとが来ると、ちと学校の能力的に対応しかねる点が多々でるであろうことは、これも当然のこととして押さえておかねばならぬ。

 問題の発端は、しかし

朝日新聞 埼玉の専門学校、外国人の入学拒否 今後は方針転換 2014年5月23日13時17分

県学事課によると、2012年11月、県立高の教頭から「募集要項に外国人は入学できないと記載があり、生徒から相談があった」と連絡があった。同校では当時、3年生のペルー国籍の男子生徒が調理師専門学校の入学を希望していたという。同課は昨年1月と8月、理事長宛てに「本人の能力や適性をもって公正に選抜してほしい」という依頼文を送るなどしたが、理事長は「地元の日本人を鍛えることが開校以来の方針」として拒否したという

毎日新聞 埼玉の専門学校:外国人入学を拒否「開設以来の方針」 2014年05月23日 07時45分

◇ペルー人男性、シェフ目指し志望を断念

 ―日本語が母国語になっちゃってるレベルの子をはずしたことにある様子(「「自分の母語は日本語だし、税金も納めてこの街の住民として暮らしている…」毎日による)。
 
 不合理な差別というべきであり、改善されるべきということになる。さらには

取材に対し、今井理事長は「(取材は)受けられない。理由はない」「募集要項にある通りだ。別の学校に行けばよい」と話したが、県内の教育関係者によると「不法滞在の学生が増えたら困る」と理由を説明しているという

 第三文、これはアウトですね。偏見に満ちた態度だとか、排外主義者の態度だとか言われても否定しがたい。

 まあその、地方の専門学校であって、学校の主たる課題は地元産業界に調理師を必要なだけ供給するにあろう(朝日の「理事長は「地元の日本人を鍛えることが開校以来の方針」として」を参照)。私学なんだし、その課題に合うように適宜調整なさい、ということかと。

 実際のところ、財務上健全に経営できているなら、以前あったような名ばかり留学生による”水増し”はしないで済むだろうし。


 実際ねえ、田舎の学校にとって、『おお汝、教育機関よ、一切の差別はならぬゆえ、汝、外国人を受け入れよ』とやられると、きっついですよ。国公立の学校レベルなら、まあ書類を書いて経費コンテストに勝利すれば余分な予算を獲得できる見込みがより大きいでしょうが―これが市立・県立や私立ではどうだろう。日本語が十二分に通じれば全く問題ないんですが(だから今回は不当な差別扱いになった)、何らかの学習支援とか必要となると―

 ―その当人に必要経費を請求することはできず、他の学生等から徴収した学費等々でそれをまかなうことになる。この場合、実際上急造のカリキュラムを受けさせられる当の学生は満足な教育を受けられず、他方ほかの学生たちは本来自分たちに投下されるはずの労力を搾取される格好になる。先生たちは非常な労力を要求されて、この場合だと誰も幸せにならない。

 まあ公的機関だからなんとかせい、といいたくなる気持ちはあろうか。
 今回はそうなったわけですが。

 しかし、そこまで行くと、下手すれば際限ないんであって。
 その辺のお店のひとたちまで、”公共のためにあるのは変わらないだろう”と、数ヶ国語対応を要求されかねないとか。

 とりあえず近所のお店のおばちゃんは、東南アジア留学生への対応をしきれず、半泣きになってたりしたようです。英(単)語ならなんとかなるのに、とか言ってました。

 それを、「これが正義だ、汝、対応せよ、従え、受け入れよ」とやられると、もう本気で泣くしかない。あるいは、逆噴射しかねない。

 …ということで、「問題の所在はどこかしら」「理想的な解決はなにかしら」「その場合、現実的にはどんな問題が起きそうかしら」「現実的な落としどころはどこかしら」という課題が作れそう。正義論の話でやれそうかな。

 以上の話題は、結構いろんな論点を拾えて、教育的ではある。


 以下の記事の話はダメだ:

毎日新聞 暴行容疑:留学生に卵投げつけ、少年3人逮捕 佐賀・鳥栖 2014年05月27日 12時19分(最終更新 05月27日 14時17分)

佐賀県鳥栖市の路上で留学生に生卵を投げつけたとして、県警鳥栖署は26日、鳥栖市と福岡県久留米市の18~19歳の少年3人を暴行容疑で逮捕した
被害に遭ったのはネパール、ベトナム、スリランカからの留学生男女計19人。アルバイトの行き帰りなどの自転車で通行中に大型の乗用車が近づいてきて幅寄せし、止まった留学生に、乗用車の男らが「あなた、どこから来た?」「何人?」などと尋ね、国名などを答えると生卵を投げつけたり、マヨネーズをかけたりしたという。エアガンを発砲されたり、砂利を投げつけられたりしたケースもあったという

 論外。

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