空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

BBCのロヒンギャ問題纏め記事

2017-10-19 11:46:25 | ビルマ/ミャンマー
BBC Myanmar Rohingya: What you need to know about the crisis 19 Oct 2017

The plight of hundreds of thousands of Rohingya people is said to be the world's fastest growing refugee crisis

 ロヒンギャ問題は、たしかに、世界で最も速く大問題化した難民問題のひとつだろう。さしあたりいま生きている人たちには、これほどアレな例は他に、なかなか思い起こせないだろう。

At least 288 villages were partially or totally destroyed by fire in northern Rakhine State in Burma after August 2017, according to analysis of satellite imagery by Human Rights Watch

 少なくとも288の村が焼かれた―と。

The imagery shows many areas where Rohingya villages were reduced to smouldering rubble, while nearby ethnic Rakhine villages were left intact

 すぐ近くの、ロヒンギャでない村は無事である。かなり真面目に選別して、かっちり滅ぼしている。なお

Amnesty International says the Myanmar military has killed hundreds of Rohingya and raped and abused Rohingya women and girls

 これについても、普通の迫害の際には、それなりの扱いをするところ、今回はわざわざ”破壊”さえ視野に入れているような雰囲気。
 …普通の性的迫害は、性的搾取といえる範囲をそうそう越えないはずのところ、今回はもう一歩、殺害寄りの行為をしているっぽい。

 …エスニッククレンジングをするなら、”劣等”に”種付けしてやる”のは、それは雑種を産む反民族的行為であるはずなのだ。ナチスドイツならそう言うはずだ(現実にはさておき)。しかし現実には、”劣等”を捕えた場合、しっかり・気楽に楽しむものだ。だが今回は暴力の程度がいま一歩…。
 …”ロヒンギャの女が以後孕めないように処置してやる”方向の暴行っぽい報告があるようでして…。
 ……だからこそ、より深刻なのである。

 …焼かれた村を赤いポイントで示してある地図。その地域的集中度合いが、既に物語るところがある。
 たぶん、低湿地に集中してる。

 バングラ側、難民キャンプが飽和して、makeshift campsがもりもり増大し、となりに難民キャンプと結合してしまった例があがっている。

 問題の解決にはどうすれば? と問われれば「China says the international community "should support the efforts of Myanmar in safeguarding the stability of its national development"」これは事実を言っているのではある。

 なにしろ、地中海難民危機に対してヨーロッパがした対策の一つは、アフリカ諸国への支援だという話もある。
 原住地でまあまあ安全に、まあまあ食えていれば、リスクとベネフィットを考えて、わざわざ海を渡ろうとはしないわけなのだ。

 この場合でも同様、ラカインがそこそこ満足できるくらい食えるようになれば、ロヒンギャへの「捨扶持」を惜しいと思わないくらいになれば、それはそれで落ち着くには落ち着く…問題の根本的解決にはならないが…のだろうが。それを実現するための資源がいろいろ足りてないのが現状か。

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7 コメント

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生活の基盤を失うのは大きな痛手だが (hilowmix)
2017-10-21 10:34:09
これほどまでに憎悪が拡大している状況では「引き離す」しかないのではないか。
幸い両国とも繊維産業がさかんなので、それぞれに工場団地でも建設して「不法移民殺しより工場で働くわ」「毎日ひやひやしているよりは、田畑を捨ててバングラ行くわ」とでもなればまだいい…のかも(夢想)。
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Unknown ()
2017-10-21 18:49:01
> 「引き離す」しかないのではないか
ミャンマー軍「然り」
アラカン民兵「着実に進めております」
ミャンマー国境警察「建前上にしても許すことはできませんので、国境は地雷で封鎖しました」
ナーフ川「それでコッチに来た人を、別に意図的に遠くに流しているわけではないんですが…」
返信する
Unknown ()
2017-10-21 19:00:33
> 「不法移民殺しより工場で働くわ」
これは真理であって、ごく一部のアレなひとはともかく、今日明日・一ヵ月後・一年後のおまんまのためにひとは動くはず。

…ですけど、恐らくこれが解決されていれば・解決される見込みがあれば、こんなことになってない、とも。

恐らくヤカインに工業団地をつくるには、たぶん
1) 道路がたりない
2) 工業用の水・資材がたりない
3) 工場を建てる資本がたりない
のだと思われる。
返信する
Unknown ()
2017-10-21 19:08:00
> 「毎日ひやひやしているよりは、田畑を捨ててバングラ行くわ」

とはいえ、バングラだって、全人口の2%程度だろうか、それほどの数の人々を新たに国民と認めるのも難でしょうし。
あと、おそらく、ロヒンギャの人たちの教育水準は低く抑えられていて、労働者として(再)訓練するコストが高くつくものと思うのです。
それをバングラに支払わせるのは、バングラとしては不公平感が高いのではないかなと思う。
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こういうときこそ (hilowmix)
2017-10-22 08:17:32
民間活力に期待したいところです。
仮に繊維産業だとすればユニクロやギャップ、ザラあたりに協力させるとか。で、日本政府や世界銀行がそれをバックアップし、インフラ構築支援。
ミャンマーとバングラデシュ政府は治安維持を主に担当。
…いや、これでもかなり夢物語ですよね。
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Unknown ()
2017-10-22 16:52:11
大問題の根源のひとつは、
1) 最近の労働は高度化してきて、18歳以上の義務教育終了後の人材を前提とするだろうこと、
2) 現地にはそんな潤沢な教育資源がなさそうな点、
かといって14~歳でもイケそうな単純労働からはじめようと思うと
3) 児童労働禁止の先進国基準に抵触して、企業もろとも『子供の教育の権利を奪って強制労働させる残虐行為』扱いされる
にもあるかなあ…。

現実にヤンゴンでやってたように、地道に道路の建設あたりから地道にインフラ構築していけば…とも思われるんですが、

…試みるには、ヤカインには、もう5年くらい遅かったかな、という気が。
いまさらやろうとしても、Arsaが「政府の手先め!」って、襲撃してくる恐れも。

でまあ、5年前というと、リーマンショックからの回復期のころ前後か。世間にあんまり金銭の余裕はなかったかも。
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Unknown ()
2017-10-22 16:58:04
> 仮に繊維産業だとすれば

あと,そういうのは「経済的侵略っていうのよ!」って,正義の人たちから怒られそう。

でも大昔の帝国主義まっさかりの時期と違って,最近はうまいこと発展できることもあるし,それにさしあたり仕事して食って家庭を維持して…っていう生活をひろく提供できるんだし,いーじゃんそれでも,とか思う最近の私。
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