可児市の電子投票選挙について3月に無効判決が出た。それについての私のブログ
これに関して、敗訴した岐阜県選挙管理委員会が、5月11日、最高裁判所に上告理由書を提出した。新聞各紙が報じ、「最高裁の判断は8月か」とする報道もされている。
私はそんなに遅くならないと思う。
ともかく、理由の概要が公表されたので、岐阜県民ネットワークのWebページに載せた。
2005年5月11日公表の県選管の上告理由の概要
私なりに県の上告理由概要の要点をさらに絞ると次のようだ。
①電子投票は機械で行う以上、トラブルが絶対に起こらないとはいえない。電子投票特例法自体が、機械的な事故は不可避であることを想定している。投第の記録が確実に行われることが保障されていない状況であったことは、誰にも判別できなかった。
②投票機の異常が発生した際の対応として、その異常を短時間で解消することや正確な復旧時間を提供することはほとんど不可能と言えるが、これらの対応ができなかったことを選挙管理上の過誤とする判決に従えば、投票の機会の保障を拡大する機能を有する電子投票は、実質行えないことになる。
③このことは、公職選挙法が目指している「投票の機会の拡大」、憲法第15条の保障する参政権に含まれる「投票の機会の実質的確保」に反する、違憲、違法の判断と言わざるを得ない。
④管理上の過誤とそれを理由として再度役票に来なかったこととの因果関係が必要とされるところであるが、その検討がなされていない。選挙権は、権利性が非常に強い国民の権利であることから、その行使は国民の任意に委ねられていると解すべきであり、再度投票に来なかった者の全てを管理上の過誤にすることは、広きに矢する判断である。
⑤当該選挙が無効となれば、投票した者の投票行為が全く無に帰することになることや当選者の地位を奪うことになり、選挙人及び被選挙人の参政権を損なうことになる。
⑥投票を断念した選挙人の数の雑認に当たり、選挙人の自由意思により投票を断念した選挙人について何ら言及していないことは、自由な意思での投票行為の取捨を重視する憲法第15条の解釈に反していると言うべきである。
⑦電子投票の最初期に行われた、今後のリーディングケースともなる重要な事件である。トラブルが発生したときの対応等について、電子投票の特殊性を検討せず漫然と従来の紙での投票と対比する考え方で判断すると、今後電子投票の採用が躊躇されてしまう。
⑧電子投票の経験の蓄積がほとんどないこと、また、電子投票機器の特質(電子機器のトラプル発生の可能性を完全に排除することは困難であり、かつ、原因の解明も困難である場合が多いこと。)を踏まえると、市選管の対応を管理の過誤と評価するのは、不可能を強いるものである。
⑨裁判所の判断も、このような電子投票の特殊性を加味して判断されるべきであり、電子投票において電子機器のトラブルが発生した場合、選挙を無効としないために、現行法上可能であった対策が指摘されるべきである。
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上告受理申立書も、おおむね同様の内容のようで、それを理由に公表されなかったようだ。
この上告理由では、今の法令や現状では電子投票はできない、と認めているようなもの。
これで、高裁判決を覆せると思いますか ?
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