全国初! 電子投票無効判決確定で再選挙実施
電子投票が無効になった可児市の市議選は、2005年8月14日(日)に告示されました。
定員24人に27人が立候補
今回の可児市の電子投票問題について、経過や私の考えをまとめます。
◆《経過》 2003年4月に実施された岐阜県可児市の電子投票選挙は、投票所の機械がトラブルを起こすなど混乱しました。
市民の選挙無効の訴えに対して、県選管はこれを棄却しました。裁決の全文/2004年9月10日付け岐阜県公報
2005年3月に名古屋高裁が選挙無効の判決を言い渡しました。2005年3月9日・名古屋高裁判決全文
そして、7月8日、最高裁が県選管の上告を棄却しました。
◆《行政側の考え》 高裁での敗訴を受けての岐阜県選管の上告理由の要点は以下のようです。
①電子投票は機械で行う以上、トラブルが絶対に起こらないとはいえない。電子投票特例法自体が、機械的な事故は不可避であることを想定している。
②投票機の異常が発生した際の対応として、その異常を短時間で解消することや正確な復旧時間を提供することはほとんど不可能。これらの対応ができなかったことを過誤とするなら電子投票は、実質行えない。
③当該選挙が無効となれば、投票した者の投票行為が全く無に帰することになることや当選者の地位を奪うことになり、選挙人及び被選挙人の参政権を損なうことになる。
④電子投票の特殊性を検討せず漫然と従来の紙での投票と対比する考え方で判断すると、今後電子投票の採用が躊躇されてしまう。
⑤電子投票の経験の蓄積がほとんどないこと、また、電子投票機器の特質を踏まえると、市選管の対応を管理の過誤と評価するのは、不可能を強いるものである。
◆《裁判所の判例にみる選挙無効の考え方》
過去に選挙無効と確定した各判決には、それぞれ、個別の事由があります。他方で、それら判決の原点・共通点は、それぞれの個別の「選挙」において、有権者および候補者一人ずつの権利を守る、その裏返しとして、投票管理者らは法令や規則に適式に対応したか、それらにおいて明白な逸脱があると認定されれば、選挙無効になると理解されます。
これからすると、上記の岐阜県選管の主張を読んで、私は、「これでは上告の理由にならない。そのことだけで勝つだろう」と思っていましたが、 そのとおりでした。
◆可児市の場合
いうまでもなく、今回の可児市の選挙無効判決は、電子投票そのものを否定したものではありません。
しかし、他方で、今回の可児市のトラブルは、従来の「紙投票」におけるトラブルとは違うもの、つまり、システムトラブルは単に一票だけでなく多数の票を一気に無権利状態にする大きな可能性をはらんでいることを実証しました。
◆《よくある考え》について
○ 機器に関しては今後の改善の可能性があること
一般論としては、今後の改善がされることは十二分に期待できます。
しかし、その実証試験の実験台にある自治体の有権者がなることを、どの程度了解しているのか。トップ判断ではすまないと思います。こと「一票」に関することだから。しかも、選挙の執行には多額の税金を使います。
結局、住民投票でOKが出れば、実験を、つまり、リスクを引き受けてもいい、とでもいうしかありません。
○ 特例法の不備を補っていくこと
紙投票と違って、システムトラブルは単に一票だけでなく多数の票を一気に無権利状態にする可能性をはらんでいるのですから、もし電子投票をどうしても実施するなら、「不備が補われてから」、とすべきです。
それがなされる前に電子投票を実施することは、そのリスクを有権者が引き受けてもいい、そう確認された場合(になら許されるの)ではないでしょうか。
◆ 結局、今のシステムや機器のレベル、法令の整備状況、職員のレベルなどを考えたら、私は、今は「紙投票」しかないと思います。
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余談-① 高裁で選挙無効を言い渡されて県が上告したことを受けて、以前、可児市の議員の一部が、国会議員らに「最高裁への働きかけ」を要望していたらしい。
「三権分立」の大原則のところ、その「一」にいるものが、他の「一」に作用しようと考えるところに、日本の地方自治の現状をみた思いだった。
余談-② 2年前に当選した市議らは、供託金も返還されず来ました。そして最高裁判決の翌日失職。当選しても、任期は、約2年。(前記は選挙無効確定後に返還)
◆今回は、市民が法律に基づいて始まったばかりの電子投票投票をひっくり返してしまいました。市民が弁護士を立てずに本人訴訟でここまでやってしまうのだから、凄いことです。
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