報償費
報償費
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報償費(ほうしょうひ)とは支出の内容を明らかにする必要がなく、機密の用途に充てる費用予算に計上される経費。機密費とも呼ばれる。
• 1 概要
o 1.1 内閣官房報償費
o 1.2 外務省報償費
o 1.3 捜査報償費
• 2 関連項目
概要 [編集]
内閣官房報償費 [編集]
内閣官房報償費は国政の運営上必要な場合、内閣官房長官の判断で支出される経費。内閣官房機密費とも呼ばれる。会計処理は、内閣総務官が所掌(閣議決定等に基づく各本部等については当該事務局が分掌)する。
支出には領収書が不要で、会計検査院による監査も免除されている。
原則、使途が公開されることは無い。毎年約12億円ほどが計上されている。
以前から「権力の潤滑油」などと呼ばれ、不透明な支出に疑惑の目を向けられていた。しかし、近年の外務省や都道府県警察本部の報償費が裏金としてプールされたり、横領されていた問題の発覚を受け、元内閣官房長官塩川正十郎が「外遊する国会議員に餞別として配られた」、「政府が国会対策の為、一部野党に配ってい」、「マスコミ懐柔の為に一部有名言論人に配られていた」など、内閣官房報償費の実態をテレビで暴露する。報償費の使い方にマスコミや一部野党による批判や追及が激しくなり、与野党政治家主催のパーティー券購入や会食、紳士服の購入、さらには官房長官による私的流用疑惑なども噴出する。
これを受け、会計検査院も管理が不十分と指摘する。政府は1998年には支出の基準(内規)を設けた。
外務省報償費 [編集]
外務省報償費とは外交政策において必要な場合、支出される経費。外務機密費とも呼ばれる。全省庁の中で最も高く、毎年50億円近く計上されている。
2001年に外務省機密費流用事件が発覚し、世間から大きな注目集めた。また、外務機密費の三分の一近くが秘密裏に内閣官房報償費に上納されている疑惑が存在する。国会議決を経ない上納は経費の流用を禁止した財政法違反に該当すると指摘されている。
捜査報償費 [編集]
捜査報償費は、警察が聞き込みや張り込みなどの捜査活動を行う際にかかる諸費用や、情報提供者への謝礼に使用できる経費のこと。国と県の予算からそれぞれ支出される。
高知県警のほか、北海道警、福岡県警、愛媛県警、宮城県警など全国各地で裏金化の疑惑が噴出している。裏金問題で、予算の適正を調査するため、行政府の長が報償費の予算執行を停止される事態に発展した事例も存在する。 |