●【事業仕分け】シナリオがあるような無いような、プロレスに似た妖しい魅力 きょうもネットで生中継中
47トピックス
中継されない場外戦にも目を凝らしたい 【熊本日日新聞のコラム】
…「こらおもろいわな。何で自民党の時にせなんだか」。自民党の谷川秀善参院幹事長が悔やんでいた。デジタル化でチャンネル数が増えたテレビも放送すればいいのに、と思う。実況は古館伊知郎さん。それもプロレス中継をしていたころの名調子がいい▼何せ、筋書きも振り付けも、財務省が描いたと評判だ。シナリオがあるような無いような、セメント・マッチ(真剣勝負)のようで、談合しているような、プロレスのそんな怪しい魅力。事業仕分けにもどこか、通じるものがある▼政治ショーとの指摘が確かとしても、公開が進めば国民は、おのずと見巧者になっていくものだ。まずはプロレスに倣い、今のところ中継されない場外戦にも、目を凝らしたい。 (2009年11月24日付「新生面」)全文
問われるのは仕分け人の大局観 【山陰中央新報のコラム】
日ごろ「無駄も間違いもない」と大見えを切っていた役人の目には仕分け人の振る舞いは、さぞ傍若無人と映ることだろう。質問を繰り出す仕分け人に「一方的に言われるのは心外。私にも言わせて」と言い返す場面もあった▼ともあれ第1ラウンドは終わった。戦後行政の大掃除を掲げる鳩山政権が、ここでひるむようでは先行きは危うい。しかし一刀両断の刀さばきも行き過ぎれば無駄な血が流れる。問われるのは仕分け人の大局観である。(2009年11月20日付「明窓」)全文
理系首相だから大丈夫? 【西日本新聞のコラム】
勝手が違っただろうに、なかなかの応戦ぶりだった。宇宙飛行士の毛利衛さんのことだ。日本科学未来館の館長として先週、予算の「無駄」を削る行政刷新会議の「事業仕分け人」と対峙(たいじ)した…毛利館長の施設はコスト削減を迫られる程度で済んだ。が、科学技術予算には概して厳しい。科学技術予算は目先の損得勘定になじまない。「技術立国」が揺らぐような仕分けが交じる心配は、東大工学部出身の首相が率いる政権だから無用とは思うが…。(2009年11月17日付「春秋」)全文
ぜいたくな空間 【沖縄タイムスのコラム】
休日だというのに人影はまばら。広々とした空間は民間施設ならあり得ないぜいたくさ。真新しい設備や機器が置かれているが、頻繁に利用されている形跡はない▼鳴り物入りで整備された公共施設を見学して何度か感じたことがある光景だ。しかし、そこに投じられた経費が自分の懐から出たお金の一部であることに思いは至らなかった…廃止や削減と判定された事業一覧を見るとかつて見学した施設などがどういう名目で、幾らかかっていたのかと、いまになって思う…(2009年11月17日「大弦小弦」)全文
やまびこ 【愛媛新聞のコラム】
政治に対する官の優位を象徴する「やまびこ方式」という言葉が、自民党の中川秀直元幹事長の近著にある。予算を獲得したい省庁が自らは表に出ず、自治体などに陳情させて議員を動かし、財務省へ働きかけることだ▲「選挙民の直の声だと思っていた陳情は、官僚が用意した台本にすぎないのか」。…▲来年度予算概算要求を削る行政刷新会議の事業仕分け…変化を印象づけるのには十分だ▲ただ刷新会議内では「これって主計局の下請け?」と疑問が根強い。…これってやまびこ?▲政治主導をうたう鳩山政権には仕分け結果をうけた予算編成こそ正念場。痛みに国民の理解を求める役目まで、官僚には頼めないのだから。(2009年11月17日付「地軸」)全文
社会の大きな変化には、いったん大きく振れて、やがて振り戻して… 【山口新聞のコラム】
…補正予算の執行停止、来年度予算の事業仕分けなどには、乱暴に感じるものもある。しかし、目的はいいが、それを実現する適切な方法が見つからないまま、予算が付いた事業も多いようだ▼この60年、日本の政治には大きな変化はなかった。特にここ十数年は小泉ブームを除くと、「ぬるま湯」の中にいた感がある。国民がそこから思い切って飛び出すことを選択したのだから、多少の変化の痛みは仕方がないのかもしれない▼社会の大きな変化には、いったん大きく振れて、やがて振り戻して適当な変化幅になることが多い。やりすぎるぐらいでないと、変化しないものだろう…(2009年11月15日付「四季風」)全文
廃止や削減が成果だと安易に考えないでほしい 【新潟日報のコラム】
…1時間弱で「一件落着」だ。「そんな無体な。しばし説明を」。官僚の叫びが聞こえそうだ。テレビでは1972年に「必殺仕掛人」が始まり、「仕置人」「仕事人」などと必殺シリーズが続く▼今年の流行語大賞の候補に「仕分け人」が急浮上しそうな勢いだ。事業仕分けは展開が速く、悪代官退治にも似た快感を抱く人もいることだろう。「小泉劇場」に倣い、鳩山一座は「仕分け人劇場」で勝負か▼ずっと密室で行われてきた予算査定を「事業仕分け」に衣替えさせ、公開するのは歓迎だ。ただ廃止や削減が成果だと安易に考えないでほしい。無駄排除の次の見せ場こそ真価が問われるのだ…(2009年11月14日付「日報抄」)全文
公開査定バトル 【東奥日報のコラム】
…場外からは「しょせん政治ショーだ」「与党のパフォーマンスにすぎない」と冷ややかな声も漏れる。しかし、八百長なしの言論戦を勝ち抜くには相当な力が要る。分析力、洞察力、説得力を駆使するこれは総合格闘技と言えるかもしれない。古参議員お得意の寝技はもう通じない。一歩を踏み出した公開査定バトルには目利きの観客がいる。是非を判断するのはあくまでも国民だ。ありがたいことにブーイングを浴びせる自由がある。これも試合をオープンにしてくれたおかげだ。凡試合をしようものなら「引っ込め」とやじり倒してやろう。(2009年11月12日付「天地人」)全文
日本版グラスノスチ(情報公開) 【神戸新聞のコラム】
久しぶりに見る顔ぶれだった。旧ソ連のゴルバチョフ元大統領に、ポーランドのワレサ元大統領。ベルリンの壁崩壊から20年、記念式典に沸く市内の映像を見る◆あのころ、世界を席巻したロシア語に「ペレストロイカ」がある。改革を意味し、ゴルバチョフ氏が唱えた。…東西冷戦の終わりを象徴する言葉である◆「改革」を突き詰めると、もう一つのロシア語に行き当たる。「グラスノスチ」。情報の公開をさす。長い間、密室の中で決められていたことが、公の場に引っ張り出される。その意味で…鳩山政権の事業仕分けは、日本版グラスノスチといえる…旧ソ連のグラスノスチは、東側の人々を突き動かした。日本のグラスノスチはどうだろう。せっかくの機会だから、じっくり見たい。(2009年11月11日付「正平調」)全文
鳩山政権が削り損なえば地方はピエロになってしまう 【山陰中央新報のコラム】
…鳥取県が、権限や財源の枠を飛び越えて、県と市町村の関係を見直そうと設置した地域主権研究会…成功するかどうかは新政権の姿勢にかかっている、と言っても過言でなかろう▼研究会はもともと、「市町村を重視し、国と地方の二重行政を解消する」という民主党の政権公約に沿って始まった。ところが、当の民主党。幹事長と首相の二重権力があからさまで、国政の無駄を排除する行政刷新会議は、事業仕分け役の国会議員が大幅縮小され、前途多難だ。…▼公約を信じて始めた鳥取県の改革だが、政権の約束が破られることでもあれば、自己成就は完結できず、道化役者だったことになってしまう。(2009年11月5日付「明窓」)全文
世論ははっきりしている:国債に頼るな・無駄を削れ 【神戸新聞のコラム】
…見方で違うといえば、鳩山内閣の支持率もそうである。高い水準を保っているのか、国民の不満がうかがえるのか。衆院予算委員会でも取りざたされたが、はっきりしているのは赤字国債増発反対の声が多いこと。まずはしっかり事業仕分けをやれ、ということだろう…(2009年11月4日付「正平調」)全文
出だしで大きくつまずいた 【河北新報のコラム】
「始めよければ終わりよし」。このことわざに従えば、どうも先が思いやられる。出だしで大きくつまずいたのだから。作業は中断し貴重な日数を浪費した▼予算の無駄遣い一掃を目指し行政刷新会議が発足させた「事業仕分け」チームの人選問題だ。民主党新人議員14人の起用に、寝耳に水の小沢一郎幹事長がだめ出し。結局、議員は32人から7人に減らされた▼政府と党の意思疎通が不十分だったのは確かだが、懸念された政府と党による権力の二重構造という不安要素が頭をもたげてきた。…(2009年11月4日付「河北春秋」)全文 |