今日2009年11月18日、最高裁大法廷が、過去の最高裁判決を見直す判決を出した。
当の中心人物の「オンブズマン町長 澤山保太郎」氏がブログに報告している。
こころから拍手を送りたい。
午後4時を過ぎて、インターネットの新聞も報道を流し始めた。
最高裁の判示の中身は改めてするとして、この事案の経過をふりかえる。
【経過】
2007年1月 高知県東洋町の田嶋裕起町長が、原子力発電環境整備機構(原環機構)が公募している高レベル放射性廃棄物最終処分施設の建設地調査に、独断で応募書を提出したことが発覚。
2007年2月 臨時町議会が開かれ、田嶋裕起町長への辞職勧告決議案を賛成多数で可決。
2007年3月 田嶋裕起東洋町長リコールへ。
2007年4月 反対派の沢山保太郎氏(隣の室戸市議)が町長に立候補、当選。
2008年4月 東洋町の田島毅三夫町議(60)=4期目=に対し、町民有志が14日、リコール請求に必要な署名簿を町選管に提出。住民有志は「沢山保太郎町長が進める行財政改革にことごとく反対し、議員にふさわしくない」とした。
町選管は、代表の一人に公職者がいたことで「署名全部を無効」と決定。
地裁も「署名は無効」と判決。
この前提となった「54年最高裁判決」について、本日18日、最高裁は、過去の最高裁判決を見直し、「署名は無効との決定」を取り消した。
このあとは、住民による「リコール投票」が実施されることになる。
以下、町長コメントにリンク。
2009年11月18日 (水)
高知県東洋町リコール事件 コメント最高裁大法廷の判決について
2009年11月18日 東洋町長 澤山保太郎
一)今歴史的な最高裁の判決を厳粛な気持ちをもって受け止めました。
国民とりわけ公務員の参政権の重要な一角をなす直接請求権が正しい法令解釈によって確定されたものと考えます。 以下、リンク先=町長のブログを
本人訴訟で何度も最高裁に行っている私は、いっそう、身近に感じる。
(このブログの関連エントリーは)
2007年1月31日ブログ
⇒ ◆高レベル放射性廃棄物の地層処分。高知県東洋町長の応募、原子力発電環境整備機構・NUMOが受けとり
同2月10日ブログ
⇒ ◆東洋町長に辞職勧告。核廃施設問題。原子力発電環境整備機構に強行に申請して
同5月21日ブログ ⇒ ◆高知・東洋町 核拒否条例を全会一致で可決
(19日追記/判決全文にリンク) ⇒ ◆「公務員は直接請求、リコール署名の代表者になれない」は無効/最高裁大法廷が過去の判決を変更
人気ブログランキング→→ ←←ワン・クリック10点
5位、6位あたり
●54年の最高裁判例見直しか 高知県の町議リコール手続き訴訟
2009/06/24 【共同通信】
高知県東洋町議のリコール(解職請求)をめぐり、公務員の農業委員が請求代表者として集めた署名が有効かどうかが争われた訴訟で、最高裁第1小法廷(涌井紀夫裁判長)は24日、住民側の上告を受理、裁判官15人で構成する大法廷(裁判長・竹崎博允長官)に審理を回付した。
公務員は議員の解職請求の代表者になれないとする地方自治法施行令の規定が争点。規定は有効とした上で「農業委員が請求代表者に含まれている場合、署名は無効」と判断した1954年の最高裁判例を見直す可能性が出てきた。
大法廷回付は、新たな憲法判断や判例変更をする場合などに行われる。
昨年12月の高知地裁判決によると、住民有志は町議1人のリコール運動を展開、同4月に1124人分の署名を町選管に提出したが、町選管は代表者6人のうち農業委員1人が含まれているとして、すべての署名を無効と判断した。住民側は異議を申し立てたが、棄却され提訴した。
判決は54年の判例を踏まえ、住民の請求を棄却したが、住民側は地方自治法施行令について「解職請求権を制限するもので、規定は無効」などと主張し、上告していた。
●高知・東洋町議リコール請求:無効取り消し訴訟 上告審、大法廷に回付
毎日新聞 2009年6月25日
高知県東洋町の町民9人が、町議のリコールの請求代表者が農業委員だったことを理由に提出した署名すべてを無効とした町選管の決定を取り消すよう求めた訴訟の上告審で最高裁第1小法廷(涌井紀夫裁判長)は24日、審理を大法廷=裁判長・竹崎博允(ひろのぶ)長官=に回付した。農業委員などの公務員はリコールの請求代表者になれないとの地方自治法施行令の規定を基に、同種訴訟で署名の有効性を否定した1954年の最高裁判例を見直す可能性が出てきた。
原告のうち5人は08年4月、田島毅三夫(きさお)町議(62)のリコールのため、請求に必要な有権者の3分の1を上回る1124人分の署名を集め提出。しかし町選管はすべての署名を無効とし、異議申し立ても退けていた。1審・高知地裁は08年12月、判例を踏襲して請求を棄却していた。
●高知・東洋町議リコール署名訴訟、最高裁大法廷審理へ
2009年6月24日 読売新聞
高レベル放射性廃棄物の最終処分場誘致問題などを巡る高知県東洋町議に対するリコール(解職請求)を求める署名が無効かどうかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(涌井紀夫裁判長)は24日、審理を、15人の裁判官全員で審理する大法廷(裁判長・竹崎博允長官)に回付した。
公務員である農業委員会委員がリコールの代表者となって集めた署名は無効とした1954年の最高裁判例が変更される可能性がある。
1審判決によると、同町の農業委員ら住民6人は2008年4月、田島毅三夫(きさお)町議のリコールを求めて署名を集め、1124人分の署名簿を同町選挙管理委員会に提出したが、選管は翌5月、署名をすべて無効とし、住民側の異議申し立ても棄却する決定をした。
住民側は決定の取り消しを求めて提訴したが、高知地裁は同年12月、最高裁判例に基づき請求を棄却したため、地方自治法の規定に基づき、最高裁に上告した。
●高知・東洋町議リコール訴訟で弁論期日指定 最高裁大法廷
イザ 2009/07/15
高知県東洋町の町議に対する住民の解職請求(リコール)で、町選管が署名を無効とした決定をめぐり、署名活動をした住民が争っている訴訟の上告審で・・・
訴訟の争点は、公務員の農業委員が、リコール代表者の1人として行われた署名の効力。最高裁は昭和29年、「農業委員が請求代表者に名を連ねることが署名収集に影響を及ぼす可能性は否定できない」などとして無効と判断。これが判例となってきた。
地方自治法施行令は、農業委員などの公務員はリコールの代表者になれないと規定。住民側はこれを無効などと主張したが、1審高知地裁は「適法かつ有効な規定」と判断、住民側請求を棄却し、住民側は上告した。同法には「地裁判決に不服があるときは、控訴はできないが最高裁に上告できる」と定められている。
●町議リコールめぐり18日判決 高知、署名の有効性が争点
2009/11/04 【共同通信】
・・・ 1954年の最高裁判決は「農業委員が請求代表者に含まれている場合、署名は無効」と判断したが、この判例が今回見直される可能性がある。
町側は「54年の判例に基づき、署名を無効と判断した」として、上告棄却を求めている。
一審高知地裁判決によると、住民有志は町議のリコール運動を展開、昨年4月に1124人分の署名を町選管に提出したが、町選管は代表者6人のうち農業委員1人が含まれているとして、すべての署名を無効とした。
News & letters 東洋町長日誌
町長のブログ
反核町長沢山保太郎の町長日誌。全国初のオンブズマン町長として徹底した「情報公開」「住民参加」を実行しています。人口3000人の東洋町が世界に評価される町になるために毎日町民とともに奮闘しています
●2009年6月28日 (日)
【速報】東洋町の議員リコール事件が最高裁大法廷に
News & Letters/131
平成21年6月29日、最高裁第1小法廷は東洋町の住民からあがってきた議員リコールの署名簿の事件を最高裁大法廷に回付しそこで審議することを決定しました。
これは画期的なことであります。最高裁大法廷は、15人の裁判官全員が出席し、年に1回程度しか開かれていません。
弁護士でも一生に一度もこの法廷に出ることはないと言われる程の超難関です。
東洋町の住民はこの開かずの門を堂々とこじ開けました。不当に制限されていた国民の参政権という基本的人権の回復に大きな貢献をすることになります。
まだ、判決は下っていませんが、これまで毎年数万・数十万件ある裁判事件の中で、最高裁大法廷が開かれるのは、下級審での事件が憲法違反であるとか、過去の最高裁判例が間違っていたとか、歴史的な重大な事件に限られています。
現在最高裁大法廷にかかっているのは、ここ数年の期間では東洋町の事件を除くとたった2件だけであります。
今回の田島毅三夫町会議員のリコール請求事件では、町民1100名以上が正しく集めた署名簿を東洋町選管山岡七三十四委員長らが、全て無効としたことから始まりました。
住民らはこの無効決定を不服として高知地方裁判所に訴えましたが、高知地裁は、昭和29年の最高裁判例を盾にして住民の訴えを退けたのです。それで住民は高裁を飛び越えて最高裁に上告しました。最高裁第1小法廷は、推定では、半世紀前の最高裁判例を間違いとして是正し、東洋町住民の訴え(署名簿は全部有効)が正しいと判断したものと考えられ、それで大法廷に回して決定するということであろうと思います。
29年の最高裁判例、東洋町選管、高知地裁らの判決では、農業委員ら公務員が署名収集などリコール請求の代表になるのは地方自治法令に違反しているからその署名簿は無効だというものでした。
住民側はしかし、公務員が請求代表者になってはいけないという法令規定は現行法令にはどこにも存在していない、仮にそのような規定があったとしてもその規定は政府が勝手に作った政令にすぎないから憲法違反である、という主張を掲げて最高裁の判断を仰ごうとしているのであります。
田島毅三夫議員へのリコール請求は別として当時の山岡七三十四委員長らの東洋町選管や強引にそれを引っ張って間違った決定を段取りした松延選管書記長らの責任が問われます。
なお、言うまでもなく最高裁の判決が下りて住民の勝利が確定した暁には、東洋町住民による投票(過半数)によって、田島毅三夫議員を辞めさせるかどうかが決せられます。
●2009年10月29日 (木) 最高裁の門を2度くぐった/東洋町長日誌
News & letters 東洋町長日誌
この10月、1ヶ月に2度最高裁の門をくぐった。
1つは四国銀行の不正融資事件・・・・・・・・・ |
●公務員の不祥事 2007/01/16 16:48
2007/01/16 16:48
核廃棄物処分場の建設地調査、町長が独断で応募/高知
原子力発電環境整備機構(原環機構)が公募している高レベル放射性廃棄物最終処分施設の建設地調査に、高知県東洋町の田嶋裕起町長が昨年3月、独断で応募書を提出していたことが15日明らかになり、町長は「財源が得られると知り応募した。当時は知識が乏しく、軽率だった」と話していることが判明した。
反対派住民団体や町長の説明によると、町長が提出したのは、施設の設置可能性を既存資料で調べる「文献調査」への応募書で、3段階ある調査の第1段階に当たる。
応募書は昨年3月20日付で、調査区域を明記し、町長の公印が押されていたもので、コピーを反対派住民が入手して、発覚した。
2007/02/09 07:30
町長の独断応募に強い反発 辞職迫る声/高知
高レベル放射性廃棄物最終処分場の候補地選定に向けた文献調査に全国で初めて応募、受理された高知県東洋町で、田嶋裕起町長が独断で書類を提出したことが問題化しており、町議の中には辞職を迫る声が強く、住民は処分場建設を阻止する条例制定に向けた活動を始めたことが判明した。
1月25日の町議会全員協議会で田嶋町長が突然、「応募する」と宣言し、議員からは「これが民主主義か」と非難の声が上がり、10人中6人は反対を意思表示した。15日には住民の6割、2000人以上の反対署名が提出されていた。
2007/02/14 08:44
核廃棄物最終処分場白紙撤回求め要請書、署名渡す/高知
東洋町が高レベル放射性廃棄物最終処分場の第1次調査(文献調査)に応募したことに反対する県内外の団体が7日、応募の白紙撤回を求め、田嶋裕起町長に要請書と約2300人分の署名を提出したが、田嶋町長は「勉強を続ける」と従来の姿勢を崩さなかったことが判明した。
要請書には「町民の6割以上が反対署名をし、周辺自治体にも不安と不信が広がっている中で、町長が民意に答えるには応募を白紙に戻すしか方法がない」と盛り込んでおり、県原水協の和田忠明事務局長らは「『住民の合意なしには応募しない』という約束を破られ、住民は怒っている」と批判したが、田嶋町長は「財政支援もあり、勉強する価値はある。国の原子力政策について考えるきっかけになればいい」と釈明した。
2007/02/15 11:08
放射性廃棄物めぐり、東洋町長の辞職勧告可決/高知
高レベル放射性廃棄物の最終処分場建設に向けた第1段階調査(文献調査)に応募した高知県東洋町で9日、臨時町議会が開かれ、田嶋裕起町長への辞職勧告決議案を賛成多数で可決したことが明らかになった。
また、放射性廃棄物持ち込みに反対する決議案も可決した。この問題で町議会が態度を表明したのは初めてになる。
2007/03/23 21:18
東洋町長リコールへ、反対派が証明書の交付申請/高知
高レベル放射性廃棄物最終処分場の第1段階調査(文献調査)に応募した高知県東洋町の反対派住民が、田嶋裕起町長の解職請求(リコール)に向け、署名集めに必要な代表者証明書の交付申請書を町選管に提出したことが判明した。
住民たちは今後、証明書の交付を受け、署名活動を開始する。請求には、選挙人名簿登録者数2996人(今月2日現在)の3分の1(999人)以上が必要で、有効署名を添えて本請求し、60日以内に住民投票があり、過半数の賛成があれば田嶋町長は失職することになる。
2008/04/18 13:26
東洋町議リコール請求、1125人の署名提出/高知
東洋町の田島毅三夫町議(60)=4期目=に対し、町民有志が14日、リコール請求に必要な署名簿を町選管に提出したことが明らかになった。
リコールの是非を問う住民投票の実施には、有権者(2925人=先月1日現在)の3分の1以上の署名が必要で、有志は1125人の署名を提出しており、今後、選管が有効署名をチェックし、縦覧期間を経て、早くて今月末には町選管に本請求することになる。
住民有志は「沢山保太郎町長が進める行財政改革にことごとく反対し、議員にふさわしくない」などとして、先月中旬から署名を集めていた。
2008/05/10 21:41
住民12人が町選管に「リコール署名無効」異議申し立て/高知
東洋町の田島毅三夫町議(60)のリコールを求めるために集めた署名が無効とされた問題で、署名集めをした町民有志12人が8日、町選管に対し異議を申し立てたことが明らかになった。
申立書では、町選管による審議は不十分で、無効処分決定までの過程に適法な手続きがとられていないこと、処分の法的根拠が全く示されていないこと、さらに処分自体が法令違反の3点を理由に挙げている。
また、山岡七三十四・町選管委員長が口頭で説明した「請求代表者に農業委員1人が名を連ねており、地方自治法や公職選挙法に抵触する」との無効理由に対し、農業委員がいることで、署名すべてが無効になるような規定はいかなる法令にもないと指摘し、農業委員は署名簿の仮提出の段階で請求代表者を辞退しており、公選法は今回は適用外などと反論している。
町民らは今月7日、署名が「無効」となったことで精神的苦痛を受けたとして、町選管や山岡委員長ら4人を相手取り、慰謝料計4284万円の支払いを求めて高知地裁に提訴している。
2008/06/04 07:19
東洋町議リコール請求「署名無効は参政権侵害」町民有志が選管提訴/高知
東洋町議のリコールを求める署名が「無効」とされた問題で、町民有志9人が2日、町選管(山岡七三十四委員長)を相手取り、無効に対する町民の異議申し立てを棄却した町選管の決定を取り消すよう求める訴訟を、高知地裁に起こしたことが明らかになった。
訴状によると、町民有志は4月17日、請求に必要な1124人分の署名簿を提出したが、町選管は「解職請求代表者の中に、代表になれない農業委員が入っていた」などとして先月2日、すべての署名を無効と決定した。
これに対し、原告は同8日、異議申し立てをしたが、町選管が棄却し、原告は「選管の決定は重大な誤り」としたうえで、「無効決定は住民の参政権を侵害するものだ」としている。
原告の一人は、「訴訟は署名を生かすための最後の手段。町民の意思を無駄にしたくない」と話しており、一方、町選管事務局は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。
| Trackback ( )
|
ただでさえ財務省主導と批判される「事業仕分け」。
財務省の視点を指南する極秘マニュアルが仕分け人配布されていたと報道された。
もちろん、これらについて、仕分け人側の反論もある。
ともかく「民主党はマニフェストに掲げた政策についてはぎりぎりで主張を押し通した。」とされる。
が、長期事業や科学技術関係には否定的な視点があるし、児童劇を全国で公演・上映する事業は、仕分け人12人の否定的な判定にもかかわらず、民主党の議員が「私の政治判断として要求通りとしたい」としたことは、事業の中身はともかく、旧態然としている。
それら報告は明日提出されるという。
(ネットライブ中継サイト・アドレス 「事業仕分けが開始され次第、視聴可能となります」とされている。)
(2010年10月 追記 アドレスが2回変更された。今は
事業仕分け 平成21年11月実施分(第1弾)についてはこちら
)
人気ブログランキング→→ ←←ワン・クリック10点
5位、6位あたり
【共同通信/行政刷新会議による事業仕分け結果の詳報は次の通り】
5日目 ⇒ 16日の仕分け結果の詳報
4日目 ⇒ 16日の仕分け結果の詳報
3日目 ⇒ 13日の仕分け結果の詳報
2日目 ⇒ 12日の仕分け結果の詳報
1日目 ⇒ 11日の仕分け結果の詳報
●事業仕分け、前半作業終了 廃止・見送りと「埋蔵金」で約1.3兆円
日経 11月17日 21:38
政府の行政刷新会議(議長・鳩山由紀夫首相)の作業グループは17日、2010年度予算の概算要求の無駄を洗い出す「事業仕分け」の前半の作業を終えた。廃止や予算縮減などを求めた事業の削減総額は4千億円規模となった。国が財源を拠出する独立行政法人や公益法人の基金、特別会計の積立金などいわゆる「霞が関埋蔵金」からの国庫返納要求は9千億円規模に上り、財政に与える効果は合わせて1兆3千億円程度となった。
同日までに作業グループが議論した事業数は11日から計5日の作業日程で約240に達した。グループを統括する民主党の枝野幸男元政調会長は同日、無駄のある事業には8つの種類があると説明し、仙谷由人行政刷新相に仕分け対象外の事業も再点検するよう促す考えを明らかにした。
具体的には省庁や局にまたがる事業、基金による事業、独法・公益法人向け支出、特別会計の事業などを挙げた。独法などを経ずに国から地方自治体に補助金が直接いく仕組みの検討も促した。IT(情報技術)関連の調達やモデル事業、広報・啓発をうたう事業も無駄が多いと指摘した。
●予算要求カットは4500億円 「事業仕分け」前半終了
2009/11/17 23:08 【共同通信】
政府の行政刷新会議は17日、2010年度予算概算要求の無駄を洗い出す「事業仕分け」前半の最終日の作業を終えた。一般会計への予算計上を認めない「廃止」「凍結」「特別会計への移管」などの判定を下した事業は、初日からの5日間で計51事業、約2200億円。。「予算削減」とした事業のうち、「半減」などと幅を明示した事業の削減額は計約2300億円で、概算要求の圧縮額は合わせて約4500億円にとどまった。
前半の作業では、独立行政法人の基金や特別会計の剰余金など“埋蔵金”の返納要求が相次ぎ、総額は約9千億円に上った。予算カットと合わせた財政効果は1兆3千億円を超える計算になる。
事業仕分けは24~27日に後半作業を行い、これを受け財務省が各省の予算要求を査定し政府予算案を編成する。鳩山内閣はこの過程で概算要求段階から少なくとも3兆円を削減したい考えで、判定結果を予算編成に反映させるとともに、仕分けの対象にならなかった事業の削減にも生かす方針だ。
17日午後の作業では、防衛省が概算要求で853億円を求めた領空侵犯の監視や、ミサイル防衛(MD)を運用する新自動警戒管制システム(JADGE)などのリース料や開発料について20~30%の削減を要請。仕分け人は「コスト意識に欠けている」と指摘した。
●事業仕分け前半終了、埋蔵金9139億円発掘
読売 2009年11月17日20時41分
・・・
行政刷新会議は19日の会合で「仕分けチーム」から前半5日間の結果の報告を受け、仕分けの内容を正式決定する。ただ、同会議の決定には法的拘束力はなく、閣僚らの抵抗も予想される。
●事業仕分け、1兆円規模確保へ 第1弾の作業終了
朝日 2009年11月18日0時8分
・・・
基金では、社会福祉施設の整備などを支援する独立行政法人・福祉医療機構の基金2800億円を、運営実態が非効率なことなどを理由に全額国庫に返納するよう要請した。
ただ、基金からの国庫返納には、法律改正などの手続きが必要になるほか、来年度の必要経費を除外できる基金もある。来年度予算での最終的な活用額はまだ不透明だ。
●事業仕分け:「聖域」にもメス…前半終了
毎日新聞 2009年11月18日 0時43分
●事業仕分けで極秘マニュアル=財務省の視点を指南-政治主導に逆行・行政刷新会議
時事 2009/11/17-15:09
政府の行政刷新会議が2010年度予算概算要求の無駄を洗い出す「事業仕分け」で、事務局が極秘の査定マニュアルを作成し、民間有識者など仕分け人に配布していたことが17日、明らかになった。財務省の視点に基づき、仕分け対象事業の問題点を列挙、各担当省庁の主張に対する反論方法まで具体的に指南する内容。政治主導を掲げた事業仕分けが、財務省主導で進んでいる実態が明らかになった格好だ。
・・・
査定マニュアルは、事業仕分け前に「参考メモ」として仕分け人に配布され、事業ごとに「論点」を提示し、問題点などが個条書きされている。マニュアルに従えば、対象事業に詳しくない仕分け人でも、厳しく問題点を指摘できる仕組みだ。
●【事業仕分け】マニュアルが存在していた! 背後に財務省の影
サンケイ 2009.11.17 23:44
行政刷新会議の事務局が事業仕分け作業にあたって作成したマニュアルの存在が17日、明らかになった。
マニュアルは事前に仕分け人に配布され、これをもとに仕分け作業が進められた。マニュアル作成について、仕分け作業の統括役を務める民主党の枝野幸男元政調会長は同日、「情報を共有するために私の判断で作った」と述べたが、マニュアルの背後には財務省の影がちらついている。実際の仕分け作業でも民主党マニフェスト(政権公約)に基づく一部の政策を除けば、財務省のお膳(ぜん)立てに従った判定が目立っている。
仕分けマニュアルは対象事業の問題点を列挙した上で、担当省庁の反論に対する再反論の方法までも指南した内容。そこに盛り込まれた具体例からは、財務省が好みそうな「成果主義」「行政効率」「受益者負担」などの原則が浮き彫りになっている。
実際の仕分け作業でも、短期に成果があがらない事業は冷遇された。特に文科省は長期的視野に立った事業が多く、予算全体の約7割が仕分け対象となった。教育、人材育成の関連する事業の「廃止」について、同省幹部は「『コンクリートから人へ』という政権の方針はどこへ行ったのか」と不満を漏らす。
また、「行政効率」という面で、広告宣伝費や複数の省庁にまたがる事業や民間に移行可能な事業は整理統廃合される傾向にある。法務省が要求した「裁判員制度の啓発推進費」も「最高裁や弁護士会と重複している」との批判を受けて、予算計上見送りとなった。
一方、歳出規模の削減を進めたい財務省に対して、民主党はマニフェストに掲げた政策についてはぎりぎりで主張を押し通した。とりわけ社会保障関連予算は、マニフェストに「自公政権が続けてきた2200億円の削減方針は撤回する」と記述されており、仕分けでも厚遇されている。仕分け対象として取り上げられる数も少なく、削減額も小幅にとどまっている。
エネルギー関連事業にもこの傾向が表れている。民主党は、マニフェストで「原子力利用について着実に取り組む」としている上に、鳩山由紀夫首相は2020年までの温室効果ガス25%削減を掲げており、原子力発電の推進は欠かせない要素だ。17日の仕分け作業では、高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の運転に慎重な意見が相次いだにもかかわらず、仕分け結果では、運転再開を容認。民主党の方針に沿った結論となった。
仕分け作業は、公開の場で行うことによって予算編成の透明化を図るという建前になっている。しかし、見えない部分にからくりがあり、そもそも仕分けの俎上に載せた事業の選定は、財務省の作成したリストがもとになっている上に、仕分けマニュアルにも財務省の意向が色濃く反映されたふしがある。あらかじめ財務省が書いたシナリオに沿い、一部に民主党の独自色を加えたのが今回の仕分け作業の本質だ。(小田博士)
●事業重複の排除などが課題-事業仕分け前半終了で
2009/11/17 22:35
・・・
事業仕分けの統括役である枝野幸男衆院議員は終了後のブリーフィングで、事業仕分けについて、「予算が有効に使われているのかということについて、今までこんなに問題になってこなかったのか」と印象を述べた。・・・
質疑応答で、記者から「プレゼン能力に左右されるのでは」と問われた枝野議員は、局長などの責任者がプレゼンテーション能力を持っていなかったことが明らかになったとし、「必要なことを納税者に分かってもらうことも大事」と述べた。
このほか枝野議員は、財務省から仕分け人に極秘のマニュアルが渡されているとの一部報道について、各省庁から事前のヒアリングなどを整理してまとめたもので、「財務省主導ではなく、わたしの主導でつくったもの」とした。
●「能なしでもできる」発言など仕分け人が謝罪
2009年11月16日19時38分 読売新聞
・・この日はほかにも、データの誤りなどで訂正や謝罪が続いた。
一方、仕分け人の判定結果を取りまとめ役が覆すケースも出た。国の審議会が推薦する児童劇を全国の児童館などで公演・上映する「優良児童劇巡回等事業」に関し、仕分け人12人の判定は「廃止」1人、「自治体や民間に任せる」3人、「予算削減」6人、「要求通り」2人だったが、民主党の菊田真紀子衆院議員が「子供たちに直接夢や希望を与える事業は大切にすべきだ。私の政治判断として要求通りとしたい」と結論づけた。
●事業仕分け初の満額 児童劇巡回事業
東京 2009年11月17日
●「仕分け人」熊谷氏、海東氏語る 行政刷新会議 前半の作業終える
京都 11.17
前半5日間の作業を終えた政府の行政刷新会議の事業仕分けに、京都、滋賀から民間「仕分け人」として参加した熊谷哲・京都府議と海東英和・前高島市長が作業の手応えや課題を語った。
熊谷氏は、厚生労働省の事業を担当する第2WG(ワーキンググループ)でコーディネーターとして議論を仕切り、「予想以上に出来た仕分けもあれば、出来なかったものもある。今回示した考え方で事業を点検すれば3兆円以上の削減効果はある」と期待感を示した。ただ官僚の対応は「事業の目的や必要性は滑らかに話すが、具体的な現場の状況や数字、事業の成果は把握していない」と苦言を呈した。
わずか1時間の議論による判定や財務省の関与など作業への批判に対しては「仕分けをする事業の選定や聞き取り調査など見えないところで膨大な時間をかけている。財務省が提示してきた以外に自分たちが入れた事業は半分近くある。財務省が振り付けをしているかは、議論を聞けば理解してもらえる」と反論した。
鳩山由紀夫首相が事業仕分けは今回限りとの見方を示すことに「今年は自民党政権時代のさびやあかを落としている段階。毎年やることで深い部分の問題点が浮かび上がり、仕分け作業の信頼性も高まる」と強調した。
海東氏は市長在職中に町村合併で膨らんだ予算を削減するため事業仕分けを導入した。熊谷氏とともに第2WGに参加し「特定の天下り先を経由する事業が多い。現場に予算が下りるまでに多くの部分が中間団体に消えていた」と驚く。事業廃止による影響について「現場の人は困惑するかもしれないが、国からの金の流れをただすことは現場がより活動しやすい仕組み作りの第一歩と考えてほしい」と説明する。
事業を所管する省の副大臣や政務官が仕分け人側の席に就いていることには「省益に立って話をするのはおかしい。今のままなら官僚側の席から意見を述べるべきではないか」と疑問を投げかけた。今後の課題は「例えば地方自治体への移管の場合、受け皿は近畿などブロック単位なのか、都道府県、市町村単位なのかもっと細かい部分まで言及した方が良い。受ける側には大きな問題だからだ」と語った。
●「事業仕分け」への疑問
data-max 2009年11月16日 08:44 更新
・・・・
13日の仕分け作業では、次世代スーパーコンピューター開発のための予算計上見送りや、電子ビームから発生する放射光を利用して様々な研究・実験をする「スプリング8」など科学技術分野への補助も削減対象となった。小学校の理科の授業に対する文部科学省の事業費廃止にまで踏み込んでいる。「聖域」はないと言いたいらしいが、これは誤りである。
資源が少ない我が国の産業は、高度な技術力に支えられて世界での地歩を固めてきたのではなかったか。自・公政権下の方針とはいえ「技術立国」の方向性が間違いだったとは思えない。
民主党の蓮舫参院議員などはスパコンの開発について、舌鋒鋭く「大金をかけて世界一の性能にこだわる必要はない」とまで言い切ったが、未来へのビジョンも示さぬまま、何でも削減では共感を得ることはできまい。仕分け人からは、日本の産業界がどのようにして世界を相手にして行けばいいのか、といった方向性は語られていない。
理科支援員等配置事業は、子どもの理科離れを改善するため、小学校の5・6年生を対象に、研究者などを理科支援員や特別講師として派遣するもので、10年度には5,000校以上分として予算が計上されていたが、仕分け人は「すべての子どもに平等な機会を与えるべき」「抜本改革が先」などとして「廃止」と判定した。「抜本改革」の内容については、もちろん仕分け人の仕事の範疇には含まれていない。予算を削った後の教育現場への責任も明確にすべきであろう。
仕分け人たちが、官僚相手に予算を切り捨てる様は、確かに水戸黄門ばりの格好良さがある。しかし行政刷新会議の「事業仕分け」には拘束力がない。無責任に予算を削るパフォーマンスに終わるようでは、国の活力を失いかねない。明確なビジョンを示した上で、整合性のある仕分け作業をすべきである。【頭山】
| Trackback ( )
|
 |
|
|
|
|