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てらまち・ねっと



 都知事の辞職が決まった。来週は6月22日(水)から」参議院選挙が始まり、開票日は7月10日。
 政権の安倍氏は、今頃「アベノミクスの成果」を宣伝している。
 アベノミクスは失敗の評価が多数、かつ、国民のゆとり感も伴っていないのに、どうしてか。
 改憲・安保という争点隠しと考えるのが妥当。

 ともかく、現政権があえてアベノミクスを宣伝するならと、より注目するのが、イギリスのEU離脱問題。
 もし離脱となったら、世界的に経済パニックの方向になり、日本で注視される「株価」が暴落するのは間違いなし。
 その円高・株価暴落状態が発生すれば、選挙期間中にアベノミクスを言えば言うほど自公の不利になる。
 野党は「アベノミクスの失敗が歴然」と分かりやすいし、国民の実感も同様となる。

 そのイギリスの欧州連合(EU)残留か離脱かを問う国民投票の行方はどうか。
「6月23日投票」ということで、日本時間では24日午前中に結果が判明するらしい。参議院選の開始の2日後。
 以前は、「残留」の世論調査結果が多かったけれど、ここにきて、逆転し、「離脱」が勝っている雰囲気。

 ロイター・コラムは★≪離脱と残留の確率は、純粋に五分五分だと考えている。日本では「大騒ぎの後、結局は残留」との見通しも聞かれるが、そこは甘く見積もらないほうが良い。英国では、知識人たちが普通に離脱の可能性を口にしている≫
 と日本の平均的な見方に警鐘を鳴らす。

 さらに★≪もちろん、経済的に一番大きな打撃を受けるのは震源地の英国であり、次に欧州だ。だが、足腰が弱まっている日本経済が、ブレグジット発の市場混乱から受けるダメージは、米国や中国よりも大きくなる可能性はある。≫
 とする。

 日本の貿易の相手としてのイギリスの位置は、極めて高い。どの程度かは次のデータ。
 ロイター・コラムの中のグラフの中の「日本の対英直接投資・輸出額」の「2015年地域別直接投」(後掲)では、1位米国、2位欧州、3位英国、4位中国。
 金額を見ると、1位米国5.4兆円、2位欧州4.2兆円、3位英国1.9兆円、4位中国1.1兆円。

 つまり、イギリスがこけたら日本もコケる、に近い経済関係になってしまっている、ということ。

 ダイヤモンド・オンライン・真壁氏★≪英国のEU残留は楽観できない、離脱なら世界恐慌の懸念も。・・現在、日・米・ユーロ圏を中心に主要国が金融・財政政策を総動員しており、追加的な経済政策の発動余地は限られる。景気が悪化した場合、景気を下支えできる手段はほとんど見当たらない。≫

 こんな、世界の流れと参議院選挙での争点の経過について確認した。

●大接戦のまま最終盤に=離脱派急伸、残留派に危機感-英国民投票/時事 2016/06/15
●英国:離脱派が調査でリード、大衆紙サンも支持-週末にオッズ逆転か/ブルームバーグ 月14日

●英国EU離脱投票、実は世代の「上vs下」が鍵を握る?/ニューズウィーク日本版 6月15日
●英、勢いづくEU離脱派 残留は若者層カギ /日経 6/16

●英EU離脱派が工程表発表 交渉と法案、20年までに /日経 6/166
●英、勢いづくEU離脱派 残留は若者層カギ /日経 6/16 

●英EU離脱派が工程表発表 交渉と法案、20年までに/日経 6/16
●英国のEU残留は楽観できない、離脱なら世界恐慌の懸念も/ダイヤモンド・オンライン 6月14日 真壁昭夫

● コラム:英国離脱で何が起こるか、5つの疑問=吉田健一郎氏/ロイター 6月15日
●【英国の選択 国民投票6・23(上)】 “トランプ化”する離脱派 「EUはヒトラーと同じ」…過激化する前ロンドン市長/  産経 6.15

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●大接戦のまま最終盤に=離脱派急伸、残留派に危機感-英国民投票
      時事 2016/06/15
 【ロンドン時事】英国の欧州連合(EU)残留か離脱かを問う国民投票まで16日であと1週間。残留派と離脱派が一進一退の攻防を続けており、結果の予断を全く許さない接戦のまま最終盤戦に突入した。EU第2の経済規模の英国が離脱すれば、戦後続いてきた欧州統合拡大の流れが大きく逆行する歴史的な転機となる。また、離脱の場合の世界経済に及ぶ悪影響に対する懸念も日増しに強まっている。

 争点は多岐にわたるが、経済と移民問題が最大の焦点。残留派が「EU離脱は英経済の下に爆弾を仕掛けるもの」(キャメロン首相)と離脱による経済悪化リスクを強調する戦略を取っている。これに対し、離脱派はEU諸国からの大量の移民流入による雇用や福祉への脅威を訴え、「移民流入を制御するには離脱に投票するしかない」(ジョンソン前ロンドン市長)と主張する。

各種世論調査結果を集計するウェブサイト「What UK Thinks」によれば、13日時点で直近6回の調査結果の平均は、残留支持48%、離脱支持52%でわずかに離脱派がリード。残留派は一時優位に立ったが、5月下旬以降、離脱派リードの調査結果が目立ち、再び伯仲状態となっている。ブックメーカー(賭け屋)による離脱の予想確率も、5月末には20%を切っていたが、14日には40%台まで跳ね上がった。

●英国:離脱派が調査でリード、大衆紙サンも支持-週末にオッズ逆転か
                 ブルームバーグ 2016年6月14日
 英国が欧州連合(EU)離脱に向かっているもようであることを、新たに公表された世論調査結果が示唆した。3社による4つの調査で「離脱支持派」が「残留派」を上回った。

  EU残留・離脱を問う国民投票を9日後に控えた14日の金融市場では、英ポンドと欧州株が下落。一連の世論調査結果に加え、英大衆紙サンは第1面の論説で離脱支持を表明。残留派には打撃が重なった。


  サンは「米国やカナダ、オーストラリア、ニュージーランドを含む多くの優れた民主主義国のように、われわれはEUの外でより裕福で安全になれ、ようやく自らの運命を決められる自由を手に入れる。残留すれば、英国はわずか数年後には、容赦なく拡大するドイツ支配の連邦国家にのみ込まれるだろう」と主張した。
  ロンドン時間午前9時12分現在、ポンドは1%安の1ポンド=1.4132ドル。欧州株のストックス600指数も1%安。
・・・・・・(略)・・・

●英国EU離脱投票、実は世代の「上vs下」が鍵を握る?
         ニューズウィーク日本版 2016年6月15日
<英国のEU離脱投票が迫っているが、保守党と労働党の二大政党が「残留派」と「離脱派」に別れて党内分裂。EU離脱投票の行方を決めるのは、実は「右」対「左」の概念ではなく、どうやら階級や年齢層で分かれる「上」対「下」のようだ>
 ・・・(略)・・・

●英、勢いづくEU離脱派 残留は若者層カギ
       日経 6/16 
【ロンドン=小滝麻理子】欧州連合(EU)の離脱をめぐる英国の国民投票を1週間後の23日に控え、移民の制限や主権の回復を訴える離脱派が勢いを強めている。キャメロン首相率いる残留派は離脱の経済損失を宣伝する作戦が思うように効果を上げていない。投票の行方は、残留支持の多い若年層の動向がカギを握りそうだ。

 今週発表された5つの世論調査のうち4つは離脱支持が残留支持を上回った。・・・・・・(略)・・・

●英EU離脱派が工程表発表 交渉と法案、20年までに
          日経 2016/6/16
【ロンドン=小滝麻理子】ジョンソン前ロンドン市長らが率いる離脱派は15日、23日の国民投票で英国が欧州連合(EU)から離脱を決めた場合のその後の工程表や主な法案を発表した。2020年5月の次期総選挙までにEUとの貿易協定の再交渉にメドをつけ、EUからの移民の削減などに関する法制度を整えると主張している。残留派からは「根拠に乏しい」などの批判が上がった。

 離脱派がEU離脱後の英国の青写真を包括的に発表したのは初めて。離脱派に対する「希望ばかりで具体性に欠ける」との批判に対応した。

 発表文によると、仮に離脱が決まった場合、ビジネス界、法曹界などを交えた超党派のチームをつくり、英国のあり方を協議する。そのうえで貿易協定などEUとの新たな枠組みの交渉を進める。

 残留派は「EUとの交渉には時間がかかり、今後10年は英経済の不確実性が続く」と訴えてきた。これに対し、離脱派は今回、「20年までに交渉を終わらせる」との見通しを示した。

 関連する重要法案も20年の総選挙までに整備する。EUに支払っている予算を減らし、浮いた財源を公的医療の充実や、家計に対する減税に回すと主張している。新たな法制度を整え、EUからの移民を制限したり、欧州司法裁判所の判決の効力が英国に及ばないようにしたりするという。

●英国のEU残留は楽観できない、離脱なら世界恐慌の懸念も
         ダイヤモンド・オンライン 2016年6月14日 真壁昭夫 [信州大学教授] 【第432回】
英国がEUを離脱したらどうなるか
 6月23日、英国のEU離脱=Brexit(ブレグジット)を問う国民投票が実施される。投票が近づく中、各種世論調査などを見ると、EU残留派と離脱派がほぼ拮抗している。

 一時、英国民はEUに残留によるメリットを評価し、「離脱は選択しない」との見方が有力だった。しかし、最近の世論調査の結果を見る限り、その見方は楽観過ぎるかもしれない。ロンドンのアナリスト連中に聞いても、予断を許さない状況だという。

 金融市場では、大手投資家が英国のEU離脱のリスクに備えて、ポンド関連のオペレーションを控えるなどの影響が出始めている。実際に英国の離脱が現実のものになると、そのインパクトは計り知れない。影響はEU域内にとどまらず、世界全体の政治、経済、金融市場に無視できない大波となるだろう。

 足元の世界経済を概括すると、米国の景気回復が世界経済を支えてきたものの、その米国経済の先行きにもやや陰りが出始めている。そうした状況下、英国のEU離脱をきっかけに世界の金融市場が混乱すれば、世界の経済が大きな低迷に陥りかねない。

 やや荒唐無稽だが、もし英国がEUを離脱することになった場合、具体的に、どのような影響が発生するか、(1)金融市場への影響、(2)英国離脱がEUに与える影響、そして、(3)世界経済へのリスクの3つの視点からシミュレーションしてみる。

短期の視点ではポンドや英国株の急落
 足元の英国の世論調査を見ると、EUへの残留賛成派、離脱派は見事に拮抗している。調査の時期などによって結果にはばらつきも見えるが、EU離脱を支持する割合が残留支持を上回るケースも目立っている。

 特に、離脱派としては、キャメロン首相のライバルであるボリス・ジョンソン前ロンドン市長が離脱を説いていることが重要とみられる。そうした動きが、当初、想定していたよりも英国のEU離脱が実現する可能性を高めているといえるだろう。

 仮にEU離脱が選択された場合、どのような影響が金融市場に及ぶのかを考えてみる。一般的に、英国のEU離脱が、ポンドや英国株を急落させ、世界の金融市場が一斉にリスク回避に向かう“リスクオフ”につながるとの見方が多い。それは、短期の視点に基づいた予測といえる。

 ただ、国民投票で離脱が多数になっても、離脱のプロセスはすぐに進むわけではない。国民投票で離脱決定後、2年間はEUのルールが英国に適用される。そのため、短期的な混乱の後、どう市場が動くかも十分に考える必要がある。

 EU離脱すれば ロンドンの市場機能は低下
 各国はEU残留に懐疑的になり EU崩壊につながる
 欧州統合という壮大な実験を 終焉させるほどのマグニチュード

 無視できない 世界経済への影響

 英国がEU離脱を選択した場合、世界経済に対する影響も無視できない。

 足元の世界経済を見渡すと、今後の成長を牽引できる国が見当たらない。これが世界経済にとって、最大の課題だ。

 リーマンショック後、世界経済の牽引役を担った中国などの新興国経済の成長率は、低下しており、経済状況は不安定だ。中国を中心に新興国では債務が膨張し、景気の下方リスクは高まっていると考えられる。

 過去数年の間、米国の景気回復が不安定さを補い、世界経済を支えてきた。しかし、米国の経済がいつまでも堅調な回復を維持できるわけではない。第2次世界大戦後、米国は平均的に約5年の景気拡張を経てきた。2009年6月、米国経済がボトムアウトしてから、はや7年が経過している。

米国の企業業績の動向などを見ると、景気回復のペースは徐々にスローダウンしている。5月の雇用統計の数字を見ても、米国経済の先行きに対する懸念は高まりやすい。

 最も懸念されるシナリオは、英国のEU離脱と米国経済のピークアウトが重なることだ。その場合には、世界経済は大きな苦境に直面する恐れがある。


景気が悪くなれば 下支えの手段はほとんどない
現在、日・米・ユーロ圏を中心に主要国が金融・財政政策を総動員しており、追加的な経済政策の発動余地は限られる。景気が悪化した場合、景気を下支えできる手段はほとんど見当たらない。

 英国がEU離脱に傾くと、欧州の金融市場は大きく荒れるだろう。市場を統合し、需要を喚起するための欧州統合が崩壊したことへの失望が高まるからだ。

 そうしたリスクシナリオを防ぐためには、主要国の“協調”が不可欠だ。G7を中心に、各国が一時的な財政支出を許容し、需要の喚起を重視する姿勢を鮮明に打ち出すことが求められる。それが危機の波及を食い止めるために重要だ。

 しかし、5月の伊勢志摩サミットでも明らかになった通り、各国間の考え方の違いは大きく、協調体制を築くことは容易ではない。英国がEU離脱を選択するなら、各国の内向き志向はさらに強まり、協調は更に遠のくだろう。

 その中で、世界的な金融市場の混乱が発生すれば、1930代のような厳しい景気後退に陥る懸念が残る。国民投票が実施される23日に向けて、投資家のリスク削減が進み、金融市場が不安定になる可能性にも注意が必要だ。

● コラム:英国離脱で何が起こるか、5つの疑問=吉田健一郎氏
         ロイター 2016年6月15日
[東京 14日] - 6月23日の英国民投票で、仮に欧州連合(EU)からの離脱が選択された場合、どのような展開が想定されるのか。みずほ総合研究所・欧米調査部の上席主任エコノミスト、吉田健一郎氏に、日本経済への影響と併せて、予想されるシナリオを聞いた。

同氏の見解は以下の通り。
Q1)英国民投票でEU離脱が選択される確率は。
離脱と残留の確率は、純粋に五分五分だと考えている。日本では「大騒ぎの後、結局は残留」との見通しも聞かれるが、そこは甘く見積もらないほうが良い。英国では、知識人たちが普通に離脱の可能性を口にしている。

各種世論調査を見ると、5月初旬から中旬にかけては、その前月にオバマ米大統領が訪英して、EU離脱の悪影響について警告したことなどが影響したのか、残留派が優勢だった。だが、その後、離脱派が再び盛り返している。背景には、離脱派が国民感情に訴えやすい移民問題に焦点をより明確に絞ってきたことがある。

残留派はこれまで、EU離脱に伴う不確実性の高まりが英国の景気や雇用に悪影響を与えると強調し、話を有利に進めてきたが、最近は、移民急増が雇用や安全への脅威になると主張する離脱派に押され気味だ。6月14日には、英国で最大の発行部数を誇る大衆紙ザ・サンが、読者にEU離脱に投票するよう訴えた。態度保留者のシェアも大きく、最後の最後まで結果はどちらに転ぶか分からないと考えて、備えたほうが良い。

Q2)仮に離脱が選択された場合、その後のプロセスはどうなるのか。
次の注目ポイントは、キャメロン英首相がEU理事会に対して、いつ脱退を通告するかだ。・・・・・(略)・・・

私の予想では、離脱が決まったら、やはり公約通り、キャメロン首相は速やかにEU側に通告し、脱退・新協定交渉に入るのではないかと見ている。ちなみに、EU加盟全28カ国の合意があれば、交渉の延期は可能だ。協定がないままでの英国離脱は、EUにとっても経済的な打撃が大きいため、2年で話がまとまらずとも、何らかの妥協点が見出されるのではないかと考えている。

Q3)英国とEUの新協定はどのようなものになりそうか。
 ・・・・・(略)・・・いずれにせよ、ポイントは、EU単一市場へのアクセスというメリットと引き換えに、英国がEU法をどこまで受容するかということだ。メリットとデメリットは、いわずもがな、トレードオフの関係にある。ただし、同じことは、EU側にも言える。英国との関係維持によって得られる政治経済的メリットと引き換えに、どこまでEU法に関する英国のわがままを許容するかと言うことだ。

Q4)英国離脱の場合、EUはどのように変質していくか。
間違いなく言えることは、EU懐疑派の勢いに拍車がかかることだ。ただし、残留が選択された場合でも、程度の差こそあれ、懐疑派の勢いは増すだろう。例えば、フランスの極右政党である国民戦線(FN)が今、何を強調しているかと言えば、6月23日の結果にかかわらず、英国民の半分近くは離脱に賛成しているという点である。・・・・・・(略)・・・EU崩壊が始まったとまで捉えるのは行き過ぎだろう。

Q5)ブレグジットの日本経済への影響をどう見るか。
日本経済への影響は、3つに大別できる。まず、英国・大陸欧州の需要減少を通じた輸出など貿易への影響。次に、不確実性の高まりに伴う企業投資などへの影響。そして、リスク回避の円高・株安など金融市場を通じた影響だ。このうち、3番目の経路が、景気下押し圧力として最も懸念される。

貿易を通じた直接的影響は、世界経済のセンチメントがブレグジットを機によほど悪化しないかぎり、限定的だろう。そもそも日本の輸出に占める英国のシェアは低い。ただし、金融市場を通じた影響は、即座に日本に波及する可能性がある。リスク回避で円高・株安が進めば、企業収益がダメージを受けるほか、消費や物価を下押しし、デフレ圧力を強める公算が大きいからだ。

当社の分析では、ブレグジットの場合、ドル円相場で約2円から約6円の円高が進む恐れがある。単一のショックにとどまらず、多層的にショックが続けて起きれば、振幅はさらに大きくなるだろう。また、予測値は月末値なので、日々の値動きがもっと激しくなる可能性には警戒が必要だ。

もちろん、経済的に一番大きな打撃を受けるのは震源地の英国であり、次に欧州だ。だが、足腰が弱まっている日本経済が、ブレグジット発の市場混乱から受けるダメージは、米国や中国よりも大きくなる可能性はある。
(編集:麻生祐司)

*本稿は、吉田健一郎氏へのインタビューをもとに、同氏の個人的見解に基づいて書かれています。
*吉田健一郎氏は、みずほ総合研究所・欧米調査部の上席主任エコノミスト。1996年一橋大学商学部卒業後、富士銀行(現みずほ銀行)入行。対顧客為替ディーラーを経て、04年より、みずほ総合研究所に出向。エコノミストとして08年―14年にロンドン駐在。ロンドン大学修士(経済学)。

●【英国の選択 国民投票6・23(上)】 “トランプ化”する離脱派 「EUはヒトラーと同じ」…過激化する前ロンドン市長
     産経 2016.6.15
 英国の欧州連合(EU)離脱を問う国民投票が10日後に迫った13日、EU残留派に衝撃が走った。ほとんどの世論調査で、離脱派が支持を広げている実態が明らかになったのだ。

 調査会社「ユーガブ」は13日、離脱支持が残留支持を7ポイント上回る46%となったとする最新の結果を公表した。2日前に公表された結果で離脱派のリードはわずか1ポイントだけだった。

□□ 「主権と民主主義をEUから取り戻そう!」
 英東部サフォーク州イプスウィッチ。7日午後、EU離脱派の人気者、ジョンソン前ロンドン市長が演説すると、大きな拍手がわき起こった。同じ頃、ロンドンでキャメロン首相が「離脱派の主張は事実でない」と訴えていたが、前市長は「正しいのはわれわれだ」とすかさず反論した。

 「EUへの拠出金をNHS(無料の国民保健サービス)に」「EUは(ナチス・ドイツの)ヒトラーと同じ」「労働技能や英語力を点数化するオーストラリア方式で移民制限を」…。終盤に来て前市長の発言はエスカレート、離脱派は勢いを増している。

 残留派はオバマ米大統領らの「支援」を得て離脱の経済リスクを訴え、支持率で優位に立っていた。潮目が変わったのは5月末。昨年の移民純総数が30万人を超え、政権が目標とした10万人を大幅に上回ったと発表されてからだ。

離脱派は「移民問題」に争点を絞り、「EUにとどまれば、移民は抑制できない」と攻勢をかけて一気に形勢を逆転した。

 英国では、東欧から移民が増え続けることで職を奪われ、住宅が不足し、NHSなど社会保障が圧迫されているとの不満が根強い。とりわけ大英帝国時代に郷愁を抱く高齢の白人や労働者にその傾向が強い。本音は「移民や難民を受け入れたくない」のだ。大学を卒業したものの就職できず、職についても生活水準が落ちた中間層に離脱支持が急速に広がった。

□□ 英財務省や世界貿易機関(WTO)などは、離脱による経済的な損失に警鐘を鳴らしている。
 「それでも離脱派の勢いが衰えないのは現状に不満を抱く中間層が増えたからだ」。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのサイモン・ヒックス教授(政治学)はこう分析し、「ユーロ危機でEUの構造的な問題を知った彼らは離脱派に転じ、怒りの矛先を移民とEUに向けている。たとえコストを払っても打開すべきだと考えている」と指摘した。

 欧州大陸と一線を画す英国の欧州懐疑主義もある。英国は欧州共同体(EUの前身)加盟から2年後の1975年、離脱の是非を問う国民投票を実施。「英国病」不況のどん底だったため、堅調な欧州経済への魅力から残留が67・2%と離脱を上回った。

英国はそれでも共通通貨ユーロには加わらず、「統合」には距離を置いた。離脱へ2度目の“挑戦”となる今回、難民問題や債務危機を抱えるEUに幻想はない。あるのは失望だ。

 「無責任な離脱を選択すれば、歴史上の汚点になる」。与党・保守党のメージャー元首相と、最大野党・労働党のブレア元首相が9日、北アイルランドでそろって唇を震わせた。

 「EUに毎週3億5千万ポンド(約545億円)拠出させられている」「トルコがEUに加盟し移民が押し寄せる」と、国民の不満や危機感に訴えるジョンソン氏を、メージャー氏は「宮廷の道化師」と指弾した。拠出金は大半が補助金などで還元され、トルコがEUに加盟する見通しはない。

 「内向きの大衆迎合的ナショナリズムに訴えるジョンソン氏ら離脱派は(米大統領選で共和党候補の指名が確定した)トランプ氏と共通性がある。それは世界の政治トレンドだ」。労働党のブラウン前首相は、こう警告した。

◇【用語解説】英国の国民投票
 英国が欧州連合(EU)に残留すべきか離脱すべきかを問う。23日実施。投票資格があるのは、英国またはアイルランド、英連邦諸国の国籍を持ち英国内に居住する18歳以上の男女。海外在住の英国人で過去15年間に選挙人登録を行った人も投票できる。4500万人を超える見込み。インターネット上で投票者登録手続きが9日締め切られた。EUへの不満の高まりを背景に、キャメロン首相率いる保守党が昨年5月の総選挙で実施を公約に掲げた。キャメロン氏ら残留派は経済面や安全保障上の利点を訴える。一方、前ロンドン市長、ジョンソン下院議員ら離脱派は、EUからの主権回復や移民抑制などを主張する。

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