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てらまち・ねっと



 昨日は、参院選の最中ということで、各党の政策比較の情報を見た。
 そのテーマは「格差解消」。今日は、その格差の象徴の一つの「子どもの貧困対策」。
 以下を記録しておいた。

●未来へ問う 2016参院選/3 子どもの貧困対策 親の働く環境整備を/毎日 2016年7月4日
●「食」の支え合い、各地で手探り 「子ども食堂」急増/朝日 7月2日

●【つくられた貧困】「自己責任論」を超えて 湯浅誠・社会活動家/西日本 6月27日
●子どもの貧困放置で「経済損失50兆円、財政負担20兆円」/〈AERA〉dot.ドット 7/ 1

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●未来へ問う 2016参院選/3 子どもの貧困対策 親の働く環境整備を
     毎日 2016年7月4日
 6月初旬の夜、福岡県内のシングルマザーの女性(43)の元をNPO法人フードバンク北九州ライフアゲイン(北九州市)の担当者が訪ねた。軽トラックの荷台から米10キロやパン、缶詰、野菜などが入った箱を降ろし、女性に手渡す。2週間置きに支援を受ける女性は「前回分はほとんどなくなった。特にお米が助かる」と喜んだ。

 中学生の一人息子と2人暮らし。息子の父親は、妊娠中に姿を消した。生活保護には頼らず、非正規労働を続けながら1人で息子を育ててきた。現在は時給750円のパートで会社の受付をこなし、休日はチラシ配りを掛け持ちする。それでも月の手取りは12万円ほど。給料日前は、安いモヤシをみそ汁や野菜炒めにする。「うちって貧乏なんかな」。友達の家から帰ってきた息子の何気ない一言が胸に刺さる。両親に譲られた古い家があるから何とか生活できる。

 ライフアゲインは女性のような困窮家庭46世帯と児童養護施設など61施設に企業や農家、個人から寄付された食料を無償で届けている。支援する家庭の半数以上は母子家庭だ。生活保護以下の収入で暮らす家庭も多い。

 親の介護でほとんど働けず、「おなかすいたよ」とぐずる小学生と保育園児の2人を連れ、山でツクシやツワブキを採ってしのいでいた母親もいた。ライフアゲインや他の支援団体が届けるバナナを、空腹を抱えた児童に渡している校長先生もいる。

 福岡のシングルマザーの女性がいま気がかりなのが息子の教育費だ。日本政策金融公庫の調査によると、高校入学から大学卒業までにかかる入学と在学費用は約900万円。女性にとっては6年分の稼ぎだ。「息子が希望すれば大学にも行かせてあげたいが、貯金は少なく、これ以上仕事も増やせない」と頭を抱える。

 子どもの6人に1人が貧困下にある日本。2014年には「子どもの貧困対策推進法」が施行され、国や自治体は、貧困状況にある子どもの教育支援などに取り組まねばならない。参院選でも各党がこぞって返済の要らない給付型奨学金の創設を掲げ、ひとり親や貧困家庭への支援拡充などに力を入れる姿勢を見せる。

 ただ、福岡の女性のように行政に頼らず歯を食いしばる親子を何人も見てきたライフアゲインの原田昌樹理事長(51)は、そうしたメニューをいくら並べても支援の網から漏れる人がいると指摘する。「本当に支援を必要とする家庭を漏れなく把握して支えるには、学校、行政、地域、NPOが情報を共有する連携の仕組みが必要だ」

 そもそも、子どもを抱えた親たちが貧困に陥らないで済む社会を目指すのが先ではないのか。「シングルマザーの多くは給料の安い非正規の仕事にしか就けず、非正規ゆえに働き続けられる保障もない。そういう人たちが安心して子どもを育てられる社会を国はつくってほしい」と望んでいる。【高芝菜穂子】=つづく
各党が掲げる主な子ども関連政策
自民  児童扶養手当の第2、3子以降の加算。幼児教育の無償化
民進  児童扶養手当を20歳までに。保育・医療等の自己負担軽減
公明  低所得者層への給食費補助充実。子ども医療費の無料化

共産  大学授業料を10年間で半額に。子どもの医療費無料化推進
維新  憲法改正による教育無償化。幼児教育も無償
社民  高校授業料の無償化。大学、大学院等の学費無償化

生活  月2万6000円の子ども手当実現。高校授業料無償化
こころ 貧困対策やひとり親世帯への支援策の充実
改革  子どもの問題に対応する「こども庁」を新設

●「食」の支え合い、各地で手探り 「子ども食堂」急増
     朝日 2016年7月2日 河合真美江、中塚久美子、丑田滋
 全国で開設が相次ぐ子ども食堂。朝日新聞の調査では、活動資金をどう確保するか、困っている子に足を運んでもらうにはどうすればいいかを課題に挙げるところが多かった。貧困対策というイメージから抵抗感を持たれるケースもあり、各地で模索が続いている。

「子ども食堂」全国に300カ所 開設急増、半数が無料
全国の子ども食堂一覧はこちら

■「困窮者向け」印象強く
 「ハラ減った~。早く~」。6月の土曜正午、沖縄県中部の公共施設。われ先に飛び込む小学生らの声が響いた。

 3月から週3回開かれている無料の子ども食堂。この日は約50人が集まった。メニューはそうめん。ボランティアの女性数人が錦糸(きんし)卵やキュウリをのせ、つゆをかけていく。「朝ご飯食べてない」と、待ちきれず先に手をつける子もいた。

 配膳を手伝い、最後に食べ始めた中学3年の女子生徒(14)は母子家庭で、5人きょうだいの末っ子。兄姉は仕事やバイトで帰りが遅く、女子生徒が炊事、洗濯、掃除を担う。公民館で週2回開かれる無料塾にも通い、そこで夕食もとる。

 「家に食べるものがない時もあるからうれしい。大きな家族ができた感じ」

 2013年に子どもの貧困対策法が成立。関心の高まりを背景に昨年から子ども食堂が急増した。「夏休みには給食がなくなり、やせる子もいる」と長期休みを意識する声が目立ち、開設を急いだ食堂もあった。

 一方、「貧困の子が行く場所」という認識が、ハードルになるケースもある。

 東日本の山間部で今春、公民館で子ども食堂を開きたいと地区の区長に依頼にいった民間団体のメンバーは、問い詰められた。「なぜ、うちでやるのか。困窮者が集まる地域と思われる。どんな趣旨で開くのか」。他の地域で開いたときの新聞記事を後日持っていき、誰でも交流できる場と説明。「どんな子も楽しめるなら」と許可された。団体側は「きちんと説明できる態勢にしてから申し込むべきだった」と振り返る。

 九州でも昨年、公民館で開こう…

●【つくられた貧困】「自己責任論」を超えて 湯浅誠・社会活動家
      西日本 2016年06月27日
 私がホームレス支援を通して貧困問題に関わり始めた1990年代半ばは、「自己責任論」の嵐だった。2008年のリーマン・ショックや「年越し派遣村」を経て、政府が09年に初めて「相対的貧困率15・7%」を発表。子どもの貧困問題も「見える化」され、焦点が当たり始めた。当然、子どもに罪はないから、自己責任論という最初の大きなヤマを越えていると考えたが、必ずしもそうではなかった。

 子どもの貧困を解決するには親の生活を改善する必要がある。雇用や家計支援に話が及ぶと、「なぜ親がもっと頑張らないのか」「離婚なんてするからだ」という反応が一気に来る。

 貧困に関する自己責任論には「貧困はあなたの問題であって、俺の問題じゃないし、社会の問題でもない」という意識がある。それは同じ社会の一員という自覚に欠けた「社会的無責任論」だ。人はつながりの中で生きており、結局、自分に跳ね返ってくる。

 私の兄は筋萎縮性の難病で身体障害者だ。障害年金を受け取りながら社会福祉法人で働いている。もし「そんなところに税金を投入する必要はない」と言われて兄が働く場を失えば、母が一日中、家でケアすることになり、私や周りにいる人たちにも影響が広がる。

 生活保護やホームレスへのバッシングにも、経済的な生産性だけ見て「社会のお荷物だ」と排除する論理がある。そうやって障害者や高齢者、貧困家庭を排除しても問題は解決しない。

 例えば貧困の連鎖を放置すると、支援をすれば納税者になり得る子どもたちが、生活保護受給者となり、税金を使う側になる。「排除」は結局高くつく。

 多様な人を受け入れると、周りがそこから学び、地域の問題解決能力が上がっていく。それこそが豊かで強い社会だと思う。

    ■    ■
 私は、子ども食堂がその入り口になると考え、各地に広げる活動を5月から始めている。子ども食堂は、福祉の専門家で語られているだけだった貧困問題を、お茶の間に広げた。

 今はややブームと言える状況で、地域で息長く、学校などと連携していくためには自治会などの関わりが必要だ。公民館で月1回やっている高齢者サロンに子どもが来られるようになるだけでいい。共に過ごす場があると、「あの子は課題を抱えている」と見えなかったものが見えてくる。

 そんなアンテナが大人たちに立っていけば、地域で子どもを見守る力が育ち、解決力がついていく。それこそが地域および社会の、責任感のある引き受け方だろう。 =おわり

 ▼子どもの貧困の「見える化」 相対的貧困率(平均的所得の半分に満たない世帯で暮らす人の割合)を政府が初めて発表したのは、2009年10月。全体の貧困率は15.7%、子どもの貧困率は14.2%だった。

 それまでの歴代政権は「言われているほどの格差はない」(小泉純一郎元首相)などと貧困の存在を認めていなかった。08年のリーマン・ショック後に製造業などで「派遣切り」が増え、年末年始に東京・日比谷公園に失業者らが集まった「年越し派遣村」で深刻な実態が明るみに出た。貧困率の発表は民主党への政権交代直後だった。

 09年11月にはひとり親世帯の貧困率が54.3%に上ると発表。先進国の中で際立って高いことが判明した。以降、貧困の連鎖を止めるための子どもの貧困対策推進法成立(14年施行)などにつながっていく。

●子どもの貧困放置で「経済損失50兆円、財政負担20兆円」
        〈AERA〉dot.ドット  (更新 2016/7/ 1 16:00) by 編集部・深澤友紀 ※AERA  2016年7月4日号

参院選を前に格闘の政策は?
 政府支出はこんなに違う

 損失は50兆円以上、財政負担は20兆円──。日本の将来にかかわる大問題。この問題を各党はどう考えているのか。参院選を前に聞いた。

 子どもの貧困を何の対策もせずに放っておけば、15歳の1学年だけでも、経済損失は約2.9兆円におよび、国の財政負担は約1.1兆円増える──。日本財団と三菱UFJリサーチ&コンサルティングが昨年末、こんな試算を発表した。

 問題を放置すると、学力や進学率など教育格差が生まれ、将来の賃金格差にもつながる。「子供の貧困対策に関する大綱」によると、大学や専門学校などへの進学率は、全世帯が73.3%なのに対し、生活保護世帯は32.9%、児童養護施設だと22.6%、ひとり親世帯は41.6%と、経済状況によって進学率に格差があるのは明らかだ。貧困世帯の子どもは塾に通えないということもあるが、家庭環境に問題を抱えていて勉強に身が入らないという背景もある。

 試算では、進学率が今のままのシナリオと、貧困世帯の進学率が非貧困世帯並みに改善するシナリオを比べた。しかも、この推計はたった1学年分なので、これを子ども全体(18歳以下)で考えると、単純計算で国全体の経済損失は50兆円以上。さらに生活保護の支給などが増え、国の財政負担が約20兆円も増える。子どもの貧困は「かわいそうだから対策すべき」と思われがちだが、実は経済問題として解決すべき課題でもあり、当事者だけの問題ではなく、将来への投資として国全体が取り組むべき課題なのだ。

●所得再分配効果少ない
 そもそも日本で子どもの貧困格差がこんなにも深刻なのはなぜなのか。

 もちろん、親の所得格差が開いてきたことが理由に挙げられるが、首都大学東京教授で、同大が15年に設立した「子ども・若者貧困研究センター」のセンター長を務める阿部彩さんは、教育と社会保障の問題点を指摘する。本来なら、教育は経済格差を緩和する機能を持つべきなのに、日本では経済格差がそのまま学力差になる。

「同じように毎日学校に通っていてどうしてこんなに学力格差が出てしまうのか。学校での教え方について、もう一度見直す必要がある」(阿部さん)

 また、税や社会保障制度については、数年前まで国の所得再分配によって、子どもの貧困率がアップするという逆転現象が起きていた。

「所得再分配」といえば、税制や社会保障などを通じて、所得の高い人から低い人へ富を移転させて貧困を削減することが期待されているのに、日本では低所得層の社会保険料や税の負担が大きいうえに、子育ての負担を減らす社会保障の給付が少ないために再分配後の貧困率が高くなってしまっていたのだ。

阿部さんによると、児童手当拡充の効果などで09年に逆転現象が解消されたが、それでも再分配効果は他の先進諸国と比べて依然小さいという。

「貧困世帯への支援はもちろんですが、貧困に陥っていないギリギリのところで頑張っている世帯にも手厚い給付や負担の見直しが必要です」(阿部さん)

 深刻化する子どもの貧困問題に対し、13年に「子どもの貧困対策法」が成立し、翌年には「子どもの貧困対策大綱」が策定された。

 大綱によると、当面の重点施策は、「教育支援」「生活支援」「保護者の就労支援」「経済的支援」「実態調査」の5分野だが、これまでにある施策ばかりで目新しいものはなく、有識者でつくる内閣府の検討会が提言した「給付型奨学金」の創設や児童扶養手当の支給対象年齢延長は記載されなかった。

●各党が注力するテーマ
 国の対策が不十分な中、政府は経済界の協力を募り、民間資金をあてにしようとしていた。

 それが今年3月に民主党(現民進党)の蓮舫代表代行が参院予算委員会で費用対効果の悪さを指摘した「子供の未来応援基金」。子どもの貧困対策のために寄付を募り、子どもの支援活動をするNPOへの支援などに充てる計画で、政府は広報などに約2億円の予算を充てて昨年10月から寄付を呼びかけてきたが、今年2月までに約2千万円しか集まらず、蓮舫氏は「2億円を基金に入れれば良かった」と訴えた。

 本来は民間頼みではなく、国が率先して貧困対策に取り組むべきではないのか。今回の参議院議員選挙では、各党は子どもの貧困問題をどう考えているのか。アエラは、6月1日現在で5人以上の国会議員を有する7党に向け、政策アンケートを実施した(右の表)。

 まずすべての党が参院選に向けた公約に「子どもの貧困対策」を掲げていた。今回アンケートを実施しなかった党でも、「日本のこころを大切にする党」は6月3日に発表した「政策実例」の2項目で貧困対策とひとり親世帯への支援策の充実を掲げ、「新党改革」は「2016約束」の中で給付型の奨学金の創設などを明記。子どもの貧困解消は各党が注力するテーマだ。

 7党には、高齢者向けの政策が重視され、子育て世代と比較して予算も多くつく「シルバー民主主義」の現状についても、どう考えるか聞いてみた。

 国立社会保障・人口問題研究所によると、年金や介護など高齢者向けの13年度支出は54兆6247億円。一方、児童手当や保育所整備などの子育て向けの支出は6兆568億円。対GDP比で見ても、高齢者向けは11・31%、子育て向けは1・25%と9倍の開きがある(左上のチャート)。背景には、高齢者が有権者の4割を占め、そのうえ下の世代と比べて投票率が高いことがあると考えられている。

●世代間対立ではなく
 各党は、「世代間の給付と負担の公平の確保を図っていく」(自民)、「高齢者向けを削って子ども向け予算に回す、という発想では問題の解決にならない。両方増やす」(共産)、「社会保障の重点は子ども・子育て支援にシフトさせるべき」(維新)、「(高齢者と子育て世代への予算配分は)1対1にできれば良い」(生活)などと回答した。

 消費増税の延期による社会保障費の不足については、政権与党からは「優先順位を考える」(自民)、「あらゆる財源を捻出する」(公明)と心もとない回答が。野党側は「金融所得課税の5%引き上げ」(民進)、「所得税の累進性の強化、法人税率の引き上げなどで税収を増やす」(社民)と、税制改革で新たな財源を確保すべきと回答した。

 前出の阿部さんは言う。

「貧困は高齢者層でも深刻で、世代間の対立をあおるのは違う。年齢ではなく所得階層でしっかり負担と給付を見直すことが大切です。また、圧倒的に予算が少ないことが問題。消費増税が延期されましたが、負担が将来に持ち越されただけで政治の責任逃れ。日本の未来を考えて、国民に『負担してください』と言える政治家を選ばなければ、問題は解決しません」
(編集部・深澤友紀)


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