ぼくが映画を見るモチベーションの一つに、英会話がある。というのも、英語の聞き取りが得意じゃないのでその練習のためである。従って、DVDを良く見るし、字幕は英語。このため、例えばウディ・アレンの映画など会話が中心の映画では、会話を理解するのに手間取り、映画の内容の把握が疎かになる場合が多い。でも、日本語の字幕で見る気は無い。こんな調子だから、日本の映画を観ることは少ない。
ということで邦画は普段あまり見ないが、CinemaScapeというサイトで邦画の「シコふんじゃった。」の評価が思いのほか高いので観てみた。
父親のコネで就職も決まり、後は遊ぶだけと気楽に考えていた大学生の主人公(本木雅弘 )。ある日、卒論担当の教授から呼び出しを受け、教授の授業での代返がバレてしまった。そこで単位と引き換えに、部員が一人しかいない大学相撲部の3部リーグ対抗戦に出場して、相撲部の廃部を回避するボランティアをすることになる。なんとか人数を揃えた相撲部は、大会に参加。だが、醜態ここに極まる負けっぷりを晒し、打ち上げの席上で相撲部OBに思いっきり苛められる。「勝ちゃいいんだろ!勝ちゃ!勝ってやろうじゃねぇか!勝ってやるよ!絶対に勝ってやる!なぁみんな!」 と言い放つ主人公。次の大会で勝ちさえすれば、くだんのOBが頭を下げて前言を翻すということだ。
青春映画の王道パターン。最初は興味なかったが段々とのめり込み・・ってやつ。ジャニーズ映画と思っていままで敬遠していたが、面白い。相撲は、個人競技であるものの、対抗戦は団体戦である。したがって、その戦いの一つ一つにドラマがある。ちょうど、サッカーのPK戦みたいに一人一人の勝敗がドラマを形成し、勝負を決して行く。
この映画、1991年の周防監督による製作である。若貴兄弟全盛の時代か。実はぼくはこの時代、邦画を含めて映画をほとんど見ていない。このため、清水美砂があれほど魅力的だったとは気づかなかった。彼女は1997年の第50回カンヌ映画祭でグランプリ(パルム・ドール)を受賞した「うなぎ」にも出ているが、主人公に理解を示す心優しき女性をいつも演じているような気がする。役柄にあまり変化は無い。しかし、そこが彼女の魅力なのだろう。
「シコふんじゃった。」の映画では、出演者すべてがまっすぐな目線でカメラを見つめるシーンが多い。それゆえ、場の緊迫感、真剣に勝ちたいと言う気持ちが伝わってくる。観終わって、すがすがしい気持ちにさせてくれる映画である。
ところで、個人競技の団体戦で主将だけが負けて他は全部勝つって映画を誰かやってくれないだろうか。祝勝会の席で、優勝を祝いながらも、自分の試合の負けをかみしめるのって、結構、奥行きがあると思うがどうだろうか。絵的にはあまり面白くはないが・・・。