tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

12.宿命

2006-11-28 20:18:46 | 日記
海の中での生存は、思ったよりも難しい。小魚類を餌とするイルカ達の捕食法はさまざまなパターンがある。同種のイルカでも棲む海域によってエサとなる魚の生態が違うので、環境に合わせた方法で捕食している。しかし、個体よりも集団で捕食することが多い。群れで魚影の下に入り込み、魚を水面まで追い上げ取り囲んでしまい、その魚群の中に突進してパニックになった魚を捕る豪快な漁を行う。クジラやイルカの老衰により死亡した漂着死体がまったく観察されないのは、年老いた個体は群れに留まることができず、単独で行動せざるを得ないからだ。群集生活を送る野生動物がその群れを離れれば、それは直ぐに死を意味する。単独で取ることができる餌の量は知れているからである。また、外敵に襲われれば一個体ではひとたまりもない。いずれ、泳ぐ能力の衰えた年老いた個体は、ダルマザメなど天敵の餌食とならざるを得ない運命なのだ。
また、座礁個体の内の約1/3には、尾ビレが千切れて無くなっているものがある。以前は、サメによるものと考えられていたが、定置網に掛かった個体の尾を漁師が切り落としているのが事実のようだ。また、定置網以外の場合でもイルカを捕獲した場合は、漁のジャマをされないように尾を切り落とすらしい。泳ぐ能力の低下した個体を1/3ほど持つ群れ。こうした群れが外敵に襲われれば、必然的に集団で浅瀬に逃げ込まざるを得ないのかもしれない。ジャックの主張は、この点に関しても人間が自然の動物に手出しをするなという警告を込めてのことである。