北海道を旅する楽しみの一つに、JR北海道の車内誌「The JR Hokkaido」がある。特急電車の車内やツインクルプラザなどで無料で配布している。また、東京では神保町の「書泉グランデ」で入手が可能だ。その中に掲載されている小説家小檜山博氏のエッセイがある。
いつも泣かせる人情話を書いてくれるが、1月号は彼のファースト・デートの思い出だった。
社会人になって間もなくの彼は、見初めた女性をデートに誘う。デートの前には給料の前借をして服装を整え、デート費用も用意。そして、待ちに待ったデートの日。
待ち合わせの喫茶店で彼女を待つも、待てども待てども、彼女は来ない。デートで行くつもりだった封切映画の上映も終わり、彼は肩を落としてとぼとぼ岐路に着く。
当然、心の中は、いいかげんな返事で彼の心を持て遊んだ彼女に対する怒り。彼は、憤懣やるかたなく、自棄酒を飲みに行く。
飲み屋で、冷静になって考えてみたら、待ち合わせの喫茶店は、別の場所。
あわてて彼が、その喫茶店にかけつけると、そこに泣き顔の彼女がいた。
彼女はなんと7時間も彼のことをそこで待っていたのだ。
小檜山博氏は、今の時代じゃ携帯電話があるから、待ちぼうけなど起こらないだろうと書いている。そして、彼女が7時間も待ってくれなかったら、彼は彼女と結婚してなかったかもしれないと・・・。
7時間の待ちぼうけかあ。ぼくは待たせるより待っている方が好きで、いつも、相手が来るかどうかドキドキしながら待っていることが多い。言われてみれば、待ち合わせ場所も約束せず、携帯で連絡を取り合って待ち合わせできる現代は確かに便利で気が楽だが、そのぶん、人を待っている時のドキドキする感じが無くなってしまった。
気に入った写真や記事がありましたら応援のクリックよろしくお願いします。
にほんブログ村