「山は暮れて 野は黄昏(たそがれ)の 芒(すすき)かな」
「狐火の 燃(もえ)つくばかり 枯尾花(かれおばな)」 ともに与謝蕪村 。
ススキの古名の尾花(おばな)は、花穂の形が動物の尾に似ていることからついた名。
昔、あちこちにあったススキの草原。次第に土地が肥えてゆくことから樹木が生えて来てススキの野原は縮小してゆく。
つまり、ススキは空き地のパイオニアである。現在、ススキと勢力を競っているのがセイタカアワダチソウ。
どうも、関西と関東の空き地の植生を比べると、関東のほうが若干ススキが多く残っており、関西ではセイタカアワダチソウに押されて敗退ぎみのようである。このセイタカアワダチソウは北アメリカ原産の帰化植物。もともとは観賞用に導入されたとの説もあるが、急速に広がったのは大二次世界大戦後。蜜源植物として優秀であるので養蜂業者が積極的に種子を散布したとの話もある。和名の由来は、同じ属のアキノキリンソウの別名であるアワダチソウよりも草丈が高いことによる。ススキがんばれ。まけるな。
ススキを詠んだ万葉歌には忍ぶ恋歌が多い。ススキの穂は鞘をぷっくりふくらませるが、鞘がかたくてなかなか破れない。この「鞘のふくらみ」に人々は今にもはちきれそうな自分の想いを重ね合わせたらしい。
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