「彼女には穴がなくて生まれてきたんです」
日本語をそれなりにあやつるネパール人のガイドがそうつぶやいた。
ホーリーの日、信号で停まったぼくらの車の窓を叩いた彼女に、ガイドはいくらかのお金を渡した。
インドで彼女たちは「ヒジュラ」と呼ばれる。ガイドが言うように先天性半陰陽の者もいるが、ほとんどは自らの意思でヒジュラの集団に加入し、そこで完全去勢を行った男性のようだ。ヒジュラは、リーダーにより自身の姓を与えられ、自分の娘の様に育てられる。だいたい3人から15人ほどでひとつの家庭のように生活しているらしい。
ヒジュラは通常女装しており、女性のように振舞っている。昔から彼女たちは男にも女にも属さない神のような存在として考えられ、祝いの席で踊りを披露したり、祭りの際に聖職者としての役目を果たしているとのこと。
ところが、近年のインドでは経済の発展や科学の進歩により、人々の宗教心が薄れ始めており、若い世代はヒジュラを聖なる存在とは思わなくなった。彼女たちが関わっている祭事に参加することも少なくなってきたようだ。
近代化の波によって、伝統に守られていたヒジュラの社会的な地位と仕事が失われていった。これによって、ヒジュラは通りに物乞いをして生きていかざるを得なくなった。
車の窓を叩いたヒジュラにガイドはいくらかの喜捨をする。聞くと喜捨を断ると口ぎたくののしられたりするようだ。
ただでさえ、性に関しては宗教上の理由からかなり厳正に規制されているインド。インドがタイや日本のように、性についてオープンになることはまだまだ先だろう。性同一性障害の人々にとっては、アウトカーストとしてしか生きられない残酷な社会だ。
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