昨年の夏、農研機構花き研究所(茨城県つくば市)の研究チームが、朝顔の老化を抑制することに成功したとの記事を目にした。
老化にかかわる遺伝子の働きを抑えたら、約24時間花がしおれずに咲いていたそうだ。
https://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/flower/053017.html
本来、朝顔のDNAは、受粉を助ける昆虫が活動する時間帯に合わせて開花する戦略をとっていたはずだ。夜も萎まずあくる朝まで咲くとなると、今度は花弁を食べに来る虫たちにやられかねないことになる。ただでさえ、朝顔はアルカロイドで自身を防御している。
志賀直哉の随筆『朝顔』の中に、朝顔も葉が毒虫に刺された時の薬なる」という一文がある。
「蚊や蚋は素より百足でも蜂でも非常によく効く。葉を三四枚、両の掌で暫く揉んでいると、ねっとりした汁が出て来る。それを葉と一緒に刺された個所に擦りつけると、痛みでも痒みでもすぐ止まり、後、そこから何時まで汁が出たりするような事がない」
つまり、これは朝顔の葉に含まれるアルカロイドの作用。
「朝顔」は直哉が71歳の時、伊豆熱海に住んでいた時に書かれた小品だ。
その内容は、庭の生垣に植えた朝顔のこと、住んでいる環境のことなどが描かれている。
孫娘の宿題の押し花のために朝顔を用意する直哉は、もう普通のおじいちゃん。
若かりしころの尖った感性はみじんも見られない。
朝顔の花一時。はかないものの喩えで、明け方に咲いた花は1日もたない。「一時間か二時間といっていいだろう」と直哉が書いている。
朝顔の花のみずみずしい美しさに気付いた直哉は、不意に自分の少年時代を思い浮かべる。
少年時代に、すでにそのみずみずしさを知っていて、それほどに思わず、老年になって、それを大変美しく感じたのだろうとしている。
直哉先生は、24時間咲く朝顔を見てなんというのだろう。。
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