tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

シコふんじゃった。?(1991)

2006-11-25 20:09:06 | cinema

ぼくが映画を見るモチベーションの一つに、英会話がある。というのも、英語の聞き取りが得意じゃないのでその練習のためである。従って、DVDを良く見るし、字幕は英語。このため、例えばウディ・アレンの映画など会話が中心の映画では、会話を理解するのに手間取り、映画の内容の把握が疎かになる場合が多い。でも、日本語の字幕で見る気は無い。こんな調子だから、日本の映画を観ることは少ない。

ということで邦画は普段あまり見ないが、CinemaScapeというサイトで邦画の「シコふんじゃった。」の評価が思いのほか高いので観てみた。
父親のコネで就職も決まり、後は遊ぶだけと気楽に考えていた大学生の主人公(本木雅弘 )。ある日、卒論担当の教授から呼び出しを受け、教授の授業での代返がバレてしまった。そこで単位と引き換えに、部員が一人しかいない大学相撲部の3部リーグ対抗戦に出場して、相撲部の廃部を回避するボランティアをすることになる。なんとか人数を揃えた相撲部は、大会に参加。だが、醜態ここに極まる負けっぷりを晒し、打ち上げの席上で相撲部OBに思いっきり苛められる。「勝ちゃいいんだろ!勝ちゃ!勝ってやろうじゃねぇか!勝ってやるよ!絶対に勝ってやる!なぁみんな!」 と言い放つ主人公。次の大会で勝ちさえすれば、くだんのOBが頭を下げて前言を翻すということだ。
青春映画の王道パターン。最初は興味なかったが段々とのめり込み・・ってやつ。ジャニーズ映画と思っていままで敬遠していたが、面白い。相撲は、個人競技であるものの、対抗戦は団体戦である。したがって、その戦いの一つ一つにドラマがある。ちょうど、サッカーのPK戦みたいに一人一人の勝敗がドラマを形成し、勝負を決して行く。

この映画、1991年の周防監督による製作である。若貴兄弟全盛の時代か。実はぼくはこの時代、邦画を含めて映画をほとんど見ていない。このため、清水美砂があれほど魅力的だったとは気づかなかった。彼女は1997年の第50回カンヌ映画祭でグランプリ(パルム・ドール)を受賞した「うなぎ」にも出ているが、主人公に理解を示す心優しき女性をいつも演じているような気がする。役柄にあまり変化は無い。しかし、そこが彼女の魅力なのだろう。
「シコふんじゃった。」の映画では、出演者すべてがまっすぐな目線でカメラを見つめるシーンが多い。それゆえ、場の緊迫感、真剣に勝ちたいと言う気持ちが伝わってくる。観終わって、すがすがしい気持ちにさせてくれる映画である。
ところで、個人競技の団体戦で主将だけが負けて他は全部勝つって映画を誰かやってくれないだろうか。祝勝会の席で、優勝を祝いながらも、自分の試合の負けをかみしめるのって、結構、奥行きがあると思うがどうだろうか。絵的にはあまり面白くはないが・・・。


10.ジャックの生涯

2006-11-24 20:03:14 | 日記
1927年、上海のフランス租界に赴任していた建築技師の父・ローラン・マイヨールと、ピアニストの母マルセルの二男として生まれたジャックは、毎年夏になると家族で佐賀県の唐津へ休暇に訪れた。それから十三歳までは上海で過ごすが、彼の東洋的な哲学的思想はこの経歴がもたらしたものと考えてよいであろう。第二次世界大戦を機に一家は父の故郷のマルセイユへ引き揚げた。戦後は父親の建築事務所に就職するが、21歳の春、マルセイユを飛び出して北欧やラップランドを放浪する旅に出る。途中、デンマーク美人の妻・ヴィブケと出会い、長女ドッティと長男ジャン・ジャックが生まれるが後に離婚。さらに、旅は続き、炭鉱員やルポライター、皿洗いなど職を転々としながら世界を巡ったらしい。
1957年マイアミの水族館でクラウンと呼ばれる一頭のイルカと出会ったジャックは、クラウンの水泳法からヒントを得て、一呼吸で最大3分半の水中滞在やフィンを使用した150m泳法を編み出した。その後、バハマのケイコス諸島で素潜りによるロブスター漁を始めたジャックは競技としてのフリーダイビングを開始。
1970年代末に出会ったエンジェリーナ・バンディーニとの恋愛と失恋。映画「グラン・ブルー」の公開と大ヒット。「グラン・ブルー」は、大ヒットしたことで関係者間に金銭的な問題を引き起こし、ジャックと監督のリュックベッソンは以後絶交する。また、映画「グラン・ブルー」で描かれたジャックの物静かな哲学的な青年のイメージと、現実では自我が強くて、探究心旺盛で、行動的な自分との間の葛藤や、老いから来る孤独感などが重なり、晩年には絶望感を募らせていたと言う。また、映画の中では、彼が日頃から伝えたかった地球保護のメッセージが一つも反映されていないことも原因のようである。自殺したのは74歳の時だった。ジャックの遺体は、電話に出ないのを不審に思った隣人のマリーナ・ドナーティ(61)によって発見された。検死によると死亡日時は、前日までさかのぼるという。警察官が部屋で見つけた手紙には火葬して欲しいとの遺志があったらしい。
映画「グラン・ブルー」の結末は、人によって解釈が異なるが、ジャックは、深い海の底でガイドロープから手を離し広大な海へ向かっていった主人公の行動を「自殺」と捉えている。彼は、グラン・ブルーの上映会のトークショーで、「私は映画のように妊娠した女性を置いて自殺したりしません」と語ったと言う。謎は深まるばかりである。なぜ、自殺と対極にあるジャックが、死を選択したのか。彼が何故「グラン・ブルー」で主人公が選択したように海で死なず、陸の上で孤独に首をつらざるを得なかったのか。

間違えたボタン

2006-11-23 17:23:16 | bad news
この間,いろんなボタンの掛け違いがあって,他のセクションに派遣社員で来ていた方が仕事を辞めた。廊下ですれ違った時など,二言三言,世間話をしてくれる一本気の技術屋のおじさんだった。彼が風邪で休んだその日に,契約延長の問い合わせが派遣会社からあり,どういう訳か,あれよあれよという間に彼の勤務態度に問題ありとなってしまったらしい。採用時の派遣契約にない実験補助の仕事をさせようとするうちの会社も会社だが,風邪で寝込んでいる彼に,電話でクビを申し渡した派遣会社のねーちゃんもねーちゃんだよな。自分より若いそのOLに,電話でいきなりそんなことを言われたら,誰でも怒り狂うはず。まして,技術屋さんは自分のキャリアや仕事にプライドを持っている。派遣会社は人材を扱う会社なんだから,もう少し人を大切にしろよと思う。もっと,うまく対処する方法があったはず。というのも,発端はけっして彼の勤務態度が悪いと言ったわけじゃないらしく,様子を見ましょうという程度のことだったらしいのだから・・・。
そのクライアントアテンダントの彼女が,別件の営業でぼくのところにやってきた。一応,ぼくにも彼が辞めることになった理由などを彼女が説明してくれたが,今回の件は,彼女なりにショックが大きかったらしい。<もう過ぎたことだから,気にしても仕方ないでしょ・・・>もっと,前向きに考えて欲しくてぼくがそう言うと,彼女は涙を目にあふれさせた。
傍で見ていると,どうにも両者の言葉の行き違いとしか感じられない。クライアントの意見をそのまま鵜呑みにして,すばやくアクションを取るのも大切なことかもしれないが,人の人生のかかっていることである。もっと,慎重に,彼の風邪が治ってからじっくり話し合うことでも,充分に間に合ったはず・・・。ぼく自身,この先は派遣会社に身を任すことになるかも知れず,どうなるかハラハラしていたのだが・・・。結構,人材派遣会社って,冷たい仕打ちを平気でする。彼女と話していて,どうにも,やりきれない想いのする一日だった。

9.ジャックとイルカ

2006-11-22 20:46:14 | 日記

ジャックとフリーダイビングの関係を語る上で、イルカの話を抜きにすることはできない。
Idelson Gnocchi Publisher Ltd.のホームページよりジャックの言葉を引用する。

“One day babies of the future will be reconnected to the aquatic evolutionary past. They will be totally in harmony with the sea and diving and playing at great depth with their marine cousins、 holding the breath for a long period of time and giving birth in the sea even in the presence of dolphins. Homo Delphinus is not just a concept.”
”http://www.thejacquesmayol.com/MayolBiography.htmより”

”未来の子供たちは、いつか、過去に進化した水棲動物と再び交流するだろう。彼等は海と調和し、水中で長い時間息をこらえることができ、イルカと同じように水中で生まれ、深く海中に潜りイルカと遊ぶであろう。ホモ・ドルフィナスは概念だけではない。”(筆者訳)


8.呼吸

2006-11-21 20:22:26 | 日記

以上のように、フリーダイビングは一歩間違えば死に至るスポーツである。したがって、ジャックを含め、その教え子のフリーダイバー達は、潜る前に儀式とも思えるような非常に神経質なまでのコンディション管理および精神集中を行う。ジャックはヨガの呼吸法を行っていたことで有名であり、1990年代のチャンピオンであるウンベルト・ペリッツァーリもまた、ジャックのトレーニング方法に影響を受けて、気功法やその他様々な分野から、フリーダイビングに応用できる呼吸法を試みていた。
ジャックは、海に潜る前に30分ほど息を整える。結跏趺座に足を組みながら右手で鼻を摘むようにしてゆっくりと深く呼吸する。それはヨガの呼吸法のひとつスカハプルバク呼吸法に似ており、その呼吸する姿は、インド・チベットの高僧を思わせる。このヨガの呼吸法は、心身のリラックスに非常に有効であると言われている。人体は交感神経と副交感神経により常時コントロールされて、環境の変化などに対応できるようになっている。交感神経は外敵の攻撃に対して逃げたり、反撃を加えるために副腎のアドレナリン分泌を亢進し、心拍を速め動脈を収縮させて血圧を上げるなどの働きをする。これと対称的に、副交感神経は血圧を低下させ末梢の循環を改善するなど休息の状況を作る。
我々は、何をするのにも自分の行動は自分で意識していると思っている。しかし実際には自律神経の働きで心拍動や呼吸、消化など基本的な生命維持機能は自動的に行われている。同様に怒りや緊張などの精神状態の変化や運動をした時にも、心拍や呼吸数は必要なだけ自律的に変化する。このように通常は自律神経(交感神経や副交感神経)によって制御されている心拍や呼吸であるが、心臓と違って呼吸は意識してコントロールすることができる。ゆっくりと呼吸をすると、交感神経の緊張状態がとけて副交感神経が優位になる。すなわち、ゆっくりと息をするだけで自律神経を介して心身をリラックスした状態に変化させることができるのだ。
ヨガでは、実際にはゆっくり呼吸するばかりでなく、腹式呼吸、正式には横隔膜式呼吸と呼ばれる方法を用いる。この呼吸法は、その名の通り横隔膜を上下させる事で、肺のまわりのスペースを大きくしたり小さくしたりして息を吐いたり吸ったりする方法である。実際、ジャックやウンベルト・ペリッツァーリは、潜る前の準備段階で横隔膜引き上げ「お腹をペチャンコ」にして息を吐く。その後、横隔膜を今度は引き下げて吸気する。その時お腹がポコンと膨らむのが見える。ジャックは潜水すると心拍数が減少したらしく、潜水三分後には40回/分と半分に落ちていたらしい。その結果水深3メートルのプールに4分9秒も潜っていられたとの記録がある。